●第77回秋季関東高校野球大会1回戦
~山学高 後半追いつかれ延長タイブレークを制す~
~つなぐ打線と、6投手の継投で強力打線を抑える~
「第77回秋季関東地区高校野球大会」は10月26日、神奈川県で開幕。秋季山梨県予選4連覇14度目の出場を決め、4年連続の選抜出場を目指す山梨学院高は27日大会2日目に、サーティーフォー保土ヶ谷球場で東海大相模(神奈川2位)と対戦。1位の横浜高とともに投打に優れ今大会優勝候補に上げられる。後攻山学の先発は1年生の藤田蒼海。堅守で知られる味方の失策でピンチを背負う場面があったが1回から4回2/3まで1安打無失点で好投。打線も東海の好投手を相手に2回に8番平野天斗が適時打で1点を先制。4回にも横山悠の二塁打を後続の梅村団の犠飛で2点目。投手は継投した大友が6回に1点を許すと、その裏すぐに先頭の4番横山の左前打を機に6番の梅村が敵時打で1点を取り返した。なおも平野が2点目の適時打。さらに相手の悪送球で1点を加え3点を追加するも、7回表、継投した加藤優空が3本の安打から2点を返され5-3と差を縮められた。その裏、山学は満塁の好機を無得点で終わると、東海は9回、8回から継投した1年生菰田陽生に対し、強豪の矜持を見せ満塁から押し出しで1点差に詰め寄ると続けて適時打を浴びせ同点に追いつき、延長タイブレークに入った。先攻の東海に継投6人目の板東慶寿が2三振の無失点に抑える好投。その裏、山学は5番田村颯太郎が三塁線に巧みなバントで無死満塁に。続く梅村団が二塁内野安打で1点を奪い、サヨナラ勝ちを収めた。2戦目は千葉黎明(千葉1位)と4強を懸けて対戦する。
■来春の選抜出場を懸けて、強豪揃いの関東15校が激突開始―
「第77回秋季関東高校野球大会」が10月26日、神奈川県を舞台に開幕した。来春の選抜甲子園出場校選考の重要な選考資料になる大会には開催県の神奈川県から3校、山梨、神奈川、埼玉、千葉、茨城、群馬からそれぞれ2校、計15校が出場する。強豪校が揃う関東大会出場校は2021年の東海大相模高に続き、昨年の選抜甲子園に優勝した山梨学院高、今年の選抜優勝校高崎健大高崎高(群馬1位)と3年連続関東勢が制覇している。他は今年の8強に名を連ねたのは東海大相模高(神奈川2位)、霞ケ浦高(茨城2位)や今大会優勝候補1番に挙げられている26回の出場を誇る横浜高(神奈川1位)、伝統校浦和実業(埼玉1位)、優勝経験のある拓大紅陵(茨城2位)などが出場する。山梨県からは秋季山梨県大会で初の4連覇を成し遂げた山梨学院高と昨年と同様に2位の帝京第三高が出場。山梨学院高は優勝を飾った前々回大会、準優勝した前回に続き通算14回目の出場。今季やや下馬評は低いもの、吉田洸二監督率いるチームは鉄壁な守備陣とつなぐ野球で関東の強豪校を相手にどんな野球を見せてくれるのか、4季連続の選抜甲子園に向け27日大会2日目、短期決戦初戦に臨んだ。帝京三は26日の開幕日1回戦で東農大二(群馬2位)に7回コールドで敗れた。
■先制から追いつかれ苦しみながらも貴重な勝利 まずは1勝、次は4強に進むー
❖山梨学院高の初戦は27日大会2日目に、神奈川2位の東海大相模高と対戦。投打で優れ総合力が高く、今大会優勝候補に上げられている強豪。午前10時丁度。晴れ間が見える秋らしい空の下、山梨学院の後攻で試合は始まった。山梨学院の応援席には、山学高応援団、生徒会、チアリーダー部、吹奏楽部、野球部など総勢120人、他に多数の保護者会や野球部OB、山学高ファンの人々が駆け付けた。先発は1年生の藤田蒼海。1回表、1四球を与えたが落ち着いた投球で初回を締めた。2回表には名手萬場翔太(2年)への難しい遊ゴロから一塁への送球が乱れ走者を生かし、県大会無失策の記録はここで途切れたが、後続を凡退に抑えた。打線は相模の好投手を相手に2回に二死二塁一塁から7番川本喜一(2年)、8番平野天斗(2年)の連打で1点を先制。3回相模の攻撃。二死無走者から2番打者の二ゴロを平野が失策。続く打者には藤田が2つのワイルドピッチで二塁走者が本塁を突いたが間一髪アウト。失点を逃れた。山学高打線は4回に4番横山悠(2年)の二塁打を後続の5番田村颯太郎(2年)の犠打と6番梅村団(2年)の犠飛で横山が猛然と本塁に突入、2点目を奪った。5回、藤田は初の内野安打で走者を出し、二死一塁で大友陸(2年)に継投。6回、大友は先頭打者を振り逃げで走者を出し、二死三塁から左前適時打で1点を返され2-1となった。
❖しかし、山学高はその裏、先頭の4番横山が安打で塁に出ると続く5番がここも犠打を成功させ、6番梅村が相手エースの力ある141キロの直球を跳ね返し1点を加えた。さらに二死二塁から8番平野の左翼線を抜くクリーン安打で1点を重ね、さらに相模は9番大友の遊ゴロを悪送球で1点を失点。山学高は5-1と試合の流れで主導権を握った。その後、7回には相模が反撃。大友から代わった3番手加藤優空(2年)が2点を奪われ2点差に詰め寄られた。点差を広げたい山学はその裏、一死満塁の好機を迎えたが後続が無得点に抑えられた。5-3で迎えた9回表、ここを抑えれば山学の勝利。8回表から5番手で継投した菰田陽生(1年)は194cmの長身から投げ込む140キロ台の直球が武器。相模の先頭打者相手投手に投げ込んだ3球目の直球は146キロ。コンパクトに打った打球は中前打となり、反撃の狼煙を上げた。その後、死球と犠打で一死三塁二塁にされると、一打同点の場面に両校の応援団のボルテージは上がった。後続の1番手の浅い飛球に互いの応援団には安堵と残念のため息が漏れた。次打者は申告敬遠で二死満塁のピンチに迎えたが次打者を四球で押し出し1点。5-4とされ、なおも次打者に粘られ三遊間を抜く適時打でついに同点に追いつかれた。山学は9回の裏、ここで決着をつける最終回だったが応援もむなしく三者凡退。
10回延長タイブレークに入った。
❖10回表、攻撃は無死二塁・一塁のルールで改めて試合は始まった。相模の先頭打者はセオリー通り犠打を試みるが初球を捕飛で退き、山学高はここで6番目の継投で板東慶寿(2年)を送った。坂東と対する打者は、ここまで一人で投げ抜いてきた相手エースと対峙した。
坂東は、粘られた8球目を三振で切り抜け、次打者も三振で仕留めた。その裏、先頭打者の5番が打席に立つと、ひときわ高く山学おなじみの“ビッグウェーブ”が鳴り響く。応援団は応援のタオルを広げ祈る気持ちで必死に田村に声援を送った。田村は2球目を三塁線に転がし自身もセーフになる大きな仕事をやり遂げ、一塁上で片手を上げガッツポーズで応援に応えた。無死満塁でこの日当たっている6番梅村を迎えた。梅村はワンボールツーストライクに追い込まれファールで粘った6球目の二塁ゴロが内野安打がサヨナラ打になり、3時間半にも及ぶ劇的な試合に幕を引いた。ゲームが終わった瞬間、選手たちは、それぞれにガッツポーズをして喜び、応援団も歓声を選手に送った。
◆山梨学院高VS東海大相模高 10/27(日) 神奈川県・サーティーフォー保土ヶ谷球場
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 合計 | |
東海大相模 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | 2 | 0 | 5 |
山梨学院 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1× | 6 |
■山梨学院高先発メンバー 〇は学年
1.(左)鳴海柚来②、2(遊)萬場翔太②、3,(右)宮川真聖②、4.(一)横山 悠②、5.(中)田村颯太郎②、6.(三)梅村 団②、7,(捕)川本喜一②、8.(二)平野天斗②、9.(投)藤田蒼海①
◆山梨学院高バッテリー=藤田①⇒大友 隆②⇒加藤優空②⇒津島悠翔②⇒菰田陽生①⇒板東慶寿②―〔捕手]川本のバッテリーで勝ちきった。
[投手]藤田;4回2/3 打者17 投球数68球 被安打1 奪三振1 与四球1 失点0
大友:1回2/3 打者 8 投球数38球 被安打1 奪三振2 与四球1 失点2
加藤: 1/3 打者 4 投球数 9球 被安打3 奪三振0 与四球0 失点1
津島: 1/3 打者 2 投球数 8球 被安打0 奪三振0 与四球1 失点0
菰田:2回1/3 打者13 投球数42球 被安打2 奪三振1 四死球2 失点2
坂東: 2/3 打者 2 投球数13球 被安打0 奪三振2 与四球0 失点0
[打撃] 安打12(長打:二塁打=横山、平野、菰田)、三振10、四死球3
[交代]野手の交代はなし
■監督、選手の声ー
試合後、吉田健人部長・コーチは「今日は、内容は何でもいいので、勝てるように3週間、練習してきて、この大会は横浜、東海大相模が二強と言われていたのでうちは5番手、6番手位の中で今日勝てたのはすごく大きいと思います」。今日良かったのは「ピッチャーが粘って投げたことと、バッターが変化球を振らされずに、打つべき球を打っていたと思います」。次の試合の準備は「これから急ピッチでやって、これまでは目の前の相模を目標にやっていたので、これで次に負けたら一番訳のわからない最悪のシナリオなのでしっかりやりたい」と話した。大変厳しい場面のタイブレークに登板した板東慶寿投手は「特に緊張はしてなっかたですけど、ワンアウト1・2塁から行って、相手の打順が9番からだったので絶対に抑えて、うちは裏だったので絶対逆転できると思ってマウンドに立ちました。自分は菰田と違って、真っ直ぐに押せるピッチャーではないので、コントロールでコースに投げていくピッチャーなので、そこを意識して投げました」。次の試合には「どんな場面で投げても、とにかく気持ちで絶対に抑えに行きたい」と自分のピッチングを貫く。梅村 団主将はこの試合を振り返って、「この大会はまずは、この初戦に向けて準備を進めてきたので、相手の福田投手が本当にいい投手なので最初はちょっと戸惑うこともあったですけど、攻撃面としては、何とか粘り強く点を重ねていって、5点という点が取れてタイブレークで何とか自分に回してくれって最後、内野ゴロですけど何とか打てて、攻撃面ではとてもいい攻撃ができたと思います。しかし、守備の面では内野の中でミスが多かったので、これは今すぐに改善しないといけないと思いますし、直して次の試合に臨みたいと思います」と気を引き締めた。横山 悠選手はノーエラーの記録が途切れたことに「あれはファーストの責任なんですけど、キャチできなくて、そこから失点につながると思ったんですけど、そこはきっちり投手陣が抑えてくれたので何とか攻撃で貢献しようと気持ちで取り組みました」。山学高らしい攻撃はできたのでは「そうですね。相手が決まってから相模のエースの対策というのを、ボールが速いのでどう風にそこをどう風に対策していくかチームで徹底的にやってきたので、結果は、今日の攻撃につながったので、良かったと思います」。次の試合に「1回戦に勝って気が緩むチームは絶対勝てないので、勝った瞬間から次なのでもう1回気を入れ直して明日の練習と、明後日の試合に向けて頑張りたい」と気を引き締めた。
山梨学院の2回戦準々決勝は29日、同球場で好投手を擁する千葉黎明高(千葉1位)と4強を懸け対戦する。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2024.10.27