●山学 準々決勝で千葉黎明に敗れる「秋季関東高校野球大会」
~序盤の失点に、好機を活かせず最悪のシナリオ~
~4年連続のセンバツ出場 非常に厳しくなる~
10月29日、「第77回秋季関東地区高校野球大会」2回戦準々決勝の山梨学院高は、初出場ながら千葉1位代表の千葉黎明高と神奈川県サーティーフォー保土ヶ谷球場で対戦した。来春の選抜甲子園出場校選考の重要な参考資料となるこの大会に、出場の目安となるベスト4を懸けた。試合は、後攻の山学が1回戦、優勝候補の東海大相模高に好投した藤田蒼海を再び先発に送った。1回表、藤田は先頭打者から5番打者までに3四球で満塁にすると、次打者の二ゴロを平野天斗が失策。1点を先制された。さらに4つ目の四球が押し出しとなり初回に2点を献上した。千葉黎明は3回表、2回二死から救援した加藤優空に、先頭打者の一ゴロを横山悠が失策。加藤は後続に2連続安打を浴び1点を奪われ、0-3となったところで大友陸が3番手で継投。しかし、四球とワイルドピッチで1点を与え0-4となり、千葉黎明が序盤で優位に立った。流れが悪い中、3回裏、山学の攻撃は8番平野が二塁打で得点の好機を作ると、相手の失策と1番鳴海柚菜の犠飛で1点を返した。5回にも相手の失策を機に4番横山の適時打で1点を追加。2-4と反撃体制になったが6回表、相手先頭打者の三塁打で得点を追加された。その後、4番手菰田陽生が6回途中から相手打線を好投で抑え味方の援護を待った。9回裏、山学は相手失策と安打で無死二塁一塁の反撃の好機を作るも、最後はWプレーで万事休す。4年連続の選抜出場が厳しくなった。
■山梨学院まさかの自滅の試合展開にー
❖29日、1回戦とは打って変わりどんより曇った肌寒い、神奈川県・サーティーフォー保土ヶ谷球場。午前10時にプレーボールが掛かった。その中、一塁側応援席には山梨学院高から、1回戦を上回る約150人の生徒会を初めとする山梨学院応援団と保護者会などが試合の行方を見守った。初戦の注目の一戦。優勝候補の神奈川・東海大相模高と延長10回タイブレークで死闘を演じた山梨学院高の2回戦準々決勝の対戦相手は千葉黎明高(千葉1位)。秋季千葉大会では実力校を次々に破り初出場を果たした。試合は、後攻の山学が1回戦、東海大相模高に前半の4回2/3を1安打無得点で好投した藤田蒼海(1年)を再び先発のマウンドに送った。1回表、藤田は立ち上がり高めにボールが浮き先頭打者に四球を出す立ち上がり。微妙なボール判定にも苦しみ、3番打者、5番打者を続けて投球が定まらずに四球となった。次打者に鉄壁な内野陣の一角、二塁手平野天斗(2年)が平凡なゴロを失策。三塁走者が生還、1点を先制された。藤田は動揺したか、さらにストレートで4つ目の四球が押し出しとなり2点目を献上した。千葉黎明は2回にも2安打で得点圏に走者を出し、藤田を動揺させたところで二死後、次打者をファールで粘られた7球目後に救援した加藤優空(2年)が三振を奪いピンチを救った。しかし、続く3回表にも、先頭打者の正面一ゴロを横山悠(2年)が失策。加藤は二死を取るも、後続に2連続安打を浴び1点を奪われ、失策が得点に結びつき0-3となったところで3番手大友陸(2年)が継投。しかし、四球とワイルドピッチで自滅。1点を与え0-4となり千葉黎明が序盤で優位に立った。浮足立ち流れが悪い中、3回裏、山学の攻撃は8番平野が中前二塁打で得点の好機に、続く9番大友の犠打が相手の失策を誘い、無死三塁・一塁に1番鳴海柚莱(2年)の右犠飛で1点を返した。さらに2番萬場翔太(2年)の安打と4番横山が四球を選び二死満塁の好機をつくったが後続が三振。追加点を逸した。
❖しかし、5回には先頭打者2番萬場の三塁ゴロを千葉は3つ目の失策。さらに盗塁、犠打で一死三塁とし、4番横山の中前適時打で1点を追加、2-4となり、反撃の狼煙と思われたが、6回表、相手先頭打者の三塁打と犠飛で得点を返され2-5となった。6回途中から4番手としてマウンドに上がった菰田陽生(1年)は7回、8回と相手打線を三者凡退に抑え味方打線の反撃を待った。8回裏の山学の攻撃。先頭打者の7番川本喜一(2年)の四球に、千葉3番手投手の代わりばな、走者川本への牽制が大きく外れ、それを見た河本は猛然とダッシュ。二塁を回り三塁を狙ったがアウト。8番平野は捕邪飛に倒れた後、菰田が打席に立ち左前にクリーンヒット。得点の好機を逃がした走塁が悔やまれた。9回表、菰田は二死三塁・一塁と走者を背負ったが後続を三振に仕留め無得点に抑えた。このまま行けば敗戦となる9回裏、山学は2番萬場の内野ゴロを相手失策と3番宮川真聖(2年)の右前安打で無死二塁一塁の反撃の好機を作るも、4番横山は左飛、続く5番田村颯太郎(2年)は三ゴロWプレー。最悪の終了を迎えた。2-5といくつもの好機を活かせず、序盤の失点が大きくのしかかり敗退、ベスト8で大会を終えた。4年連続の選抜出場が厳しくなった。
■試合終了、監督・選手の声ー
監督、選手たちが報道陣にインタビューを受けている中、選手通用口から一番に出てきた吉田健人部長・コーチは「言葉が出ないですよ。あまりにもひどすぎて」とどうしようもない気持ちを露わにした。8回、先頭打者が四球で塁に出て、次打者の時の牽制悪送球で走者が3塁まで走りアウトになった場面を。「3点差で点差が開いている時に、あれは暴走です。2塁に留まって、平野、菰田のバッティングに期待を寄せるところでした」と悔やんだ。「ちょっと甲子園が見えてかたくなったのか。初戦でいいチームを倒したのか。余計に、落とせない試合だと逆に思い過ぎて堅くさせてしまったか。ちょっと説明がつかないような感じです。すごくむらがあるチームなのでいい時があれば悪い時があるチームだったので、まあこれもあるのかなというところですかね。甲子園は近そうで遠いです」と口を堅く結んだ。
吉田洸二監督は開口一番。「自滅なので悔いはないです」と一言。初回の4四球については、「ストライクをボールというからしょうがいないです。アンラッキーでしたね。今日はもう悪いところが出たので悔いはないです」と淡々と語った。ミスもあり、勝負どころで得点に結びつかなかった試合展開に「何回もチャンスはあったのに、自分でエラーして自分で暴走して自分で力んで打ち上げて、彼らは自分たちで(チャンス)一つ逃しているんだから」と本心を明かした。
梅村 団主将は「これまで先輩たちが残してくれた守備と走塁という伝統があるんですけど、今日はそれを自分たちが崩してしまったことがこういう結果になってしまいました。初戦もミスが出てしまったし、今日もミスが出たのでこれからの練習で取り組み直さなければいけないと思います」と昨年の秋季大会から公式戦無失策の記録を更新続けたチームの守備の乱れに危機感を口にした。今後について「まだ春は(現時点では)分かりません。何も分かりません。すべてやり直します」と終始、堅い表情で話した。
◆準々決勝 山梨学院高VS千葉黎明高 10/29(火)サーティーフォー保土ヶ谷球場
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 | |
千葉黎明高 | 2 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 5 |
山梨学院高 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
■山梨学院高先発メンバー 〇は学年
1.(左)鳴海柚莱②、2(遊)萬場翔太②、3,(右)宮川真聖②、4.(一)横山 悠②、5.(中)田村颯太郎②、6.(三)梅村 団②、7,(捕)川本喜一②、8.(二)平野天斗②、9.(投)藤田蒼海①
◆山梨学院高バッテリー=藤田①⇒大友②⇒⇒菰田①ー〔捕手]川本
[投手]藤田;1回2/3 打者12 投球数56球 被安打2 奪三振2 与四球4 失点2
加藤:1回 打者 7 投球数18球 被安打2 奪三振2 与四球1 失点2
大友:3回 打者14 投球数50球 被安打3 奪三振2 与四球3 失点1
菰田:3回1/3 打者12 投球数43球 被安打1 奪三振4 四死球1 失点0
[打撃] 安打7(長打:二塁打=田村、平野)、三振2、四死球6
[交代]野手の交代はなし
ベスト4に残れず、選抜出場が厳しくなった今、「立て直しはそんなに難しくはないんですよ。吉田マジックなんてないから。とにかく速いボールを投げられるピッチャーをつくるだけの話で、もっと打てる子を打順に入れて行くだけ」と吉田洸二監督は、冬の厳しい練習に立ち向かう選手たちに、目標を与える今後のチーム構成を口にした。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2024.10.29