●皇后杯女子サッカー 山学女子初戦、なでしこ1部チームに敗退
~大学チームとトップクラブチームとの差を実感~
~敗戦を糧にインカレ2連覇に向け課題を修正~
「皇后杯第46回全日本女子サッカー選手権」が11月17日に開幕、山梨学院大サッカー部女子は2回戦初戦をスフィーダ世田谷FC(なでしこリーグ1部)と宮城県石巻フットボール場で対戦した。関東地域皇后杯予選を5位で2回目の出場を獲得した山学のキックオフで試合が開始された。立ち上がり、#38・MF齊藤桃花から#9・MF山田歩美へのコンビネーションプレーで2度のゴール好機を逃すと、その後、徐々にスフィーダFCの攻撃が強まった17分、中央からのパスを相手#9がワンタッチプレーで先制点を奪うと、さらに27分にはコーナーキックからゴール前の混戦に相手#10のヘディングシュートで2点目を失った。風の影響もあり、山学は前線にボールをつなぐことができずに相手の攻勢に防戦となった。35分には山学のクリアボールを再び相手#9がシュートを決め、山学は0-3とリードされ前半を終えた。サイドが変わった後半。山学はショートレンジでパスをつなぎ好機をつくる場面もあったが8分、スフィーダFCは山学のパスを#9がインターセプトしたボールを直接決めハットトリックを達成、0ー4と差を広げ勝利を引き寄せた。一方、山学も相手の攻撃を#60・GK高橋千空らディフェンス陣が相手攻勢を守り、攻撃陣は終盤、ロングボールを前線に送り何度か好機をつくるも、1点が遠く終了の笛が冷風の空に鳴り響いた。山学は2回目の出場も初戦で敗退する苦い経験を積み、次のインカレで2連覇を狙う。
皇后杯サッカー出場資格はWEリーグリーグ所属チーム12チーム(5回戦から出場)、なでしこリーグ1部所属12チーム(2回戦から出場)、9地域から選出した24チームの合計48チーム。山梨学院大は皇后杯予選で関東地域出場枠7チーム中、第5代表として、2019年以来、2回目の出場権を獲得した。
11月24日、大会2回戦からの出場の山学大女子の対戦相手は、なでしこリーグ1部所属のスフィーダ世田谷FC。前回大会は5回戦準々決勝で敗れベスト16強だったが皇后杯出場の常連である。2014年創部した山学大女子は2023年創部10年の節目に関東リーグで初優勝、それに続くインカレ全日本日本女子サッカー選手権で優勝に輝き、大学強豪校に躍進。今年は、関東リーグ戦は2位となったが、皇后杯関東予選では準々決勝で敗れるも5位、6位決定戦で勝利し5位となり、皇后杯、インカレの冬の2冠を目指す。
■試合前、村上監督にチーム状況を聞くー
村上裕子監督に今シーズンに向けて強化したことを聞いた。「今年に入って取り組んだ大きな点は、昨年度のサッカーから変化させなきゃいけないというところでポリバレントということを総監督(横森巧)と高校、男子、女子と3つのカテゴリーの中のミーティングで決められたサッカーモデルがあります。要は選手がいくつかのポジションに対応することができることで自身の幅もそうですけど、崩れにくいチームになったかなと思っています。前期は難しい試合ばっかりでしたけど後期に入ってやっとそれが機能して、しっかり力に反映できるのにつながったかなと思います。フォーメーションも試合によって違いますし、ポリデントの効果は感じています。ここよりも、もう1回インカレの決勝の舞台に行って、2連覇するんだという思いはあるので」と、さらにチーム向上に変化を求める。スフィーダFCとの対戦は「胸を借りたいですね。思い切ってやろうとは言ってますし、女子の大学のレベルが試されると思うので、本当に大学界を代表していい試合を見せられて、女子の大学サッカーをもっと知ってもらい注目度が高くなるようにと選手にも言っています」と地位の向上も目指す。
■ 皇后杯常連なでしこリーグ1部チームと躍進著しい山学大チームが激突!ー
❖晩秋の石巻フットボール場は、晴れているものの、風が強く気温10℃に届かない寒いピッチでの戦いとなった。前半向かい風の中、山学大のキックオフで試合が開始された。立ち上がり、左サイドを掛け上がった#38・MF齊藤桃花(4年)へ中央の#9・MF山田歩美(2年)へのパス、ドリブルでゴールを狙うが阻まれ1回目の得点好機を逸した。さらに二人のコンビネーションで2度目の#9山田のシュートはゴール上に外れ、2度目の先制の好機を逃した。その後、スフィーダFCは左サイドを支配し山梨ゴールを脅かすようになり、コーナーキックのセットプレーから17分、中央からのパスを詰めていた相手#9が浮き球をワンタッチプレーで先制。さらにスピード、速く正確なパス回し、フィジカルの強さで山学を追い詰めて得たコーナーキックで再三攻め、27分にはゴール前の混戦から相手#10のヘディングシュートで2点目を失った。左から右へ旗が大きくはためく風の影響もあり、山学は前線にボールを蹴り出すことができずにパスがつながらずに長い時間帯ボールを保持され、優位に立つ相手の攻勢に防戦となり、35分には山学のクリアボールを再び相手#9が中央から右足を振り抜き0-3とリードして前半を終えた。
❖サイドが変わった後半。スフィーダFCの勢いは衰えず、山学はショートレンジでパスをつなぎ好機をつくる場面もあったが8分、スフィーダFCは山学のパスを機敏に読み取り#9がインターセプトしたボールを自身が直接、中央から右足でゴール左上に決め0ー4と差を広げた。前回大会でもエースストライカーと活躍した#9はこれでハットトリックを達成。
味方に大きく勝利を引き寄せた。一方、山学も10分、相手ゴールに迫りシュートを打つがGKに抑えられた。相手の主導権は変わらないものの、山学のディフェンスも必死に防戦。
20分にはゴール前のクロスボールを#60・GK高橋千空(3年)が的確な判断でボールに飛びつき相手のFWと激しく接触したが互いに怪我もなく試合は再開した。その後もGK高橋らディフェンス陣が相手の攻勢を凌ぎ、攻撃陣は終盤、ロングボールを前線に送り何度か好機を作るも、1点が遠く終了の笛が石巻のピッチに鳴り響いた。山学は2019年以来の2回目の出場も、ともに初戦で敗退する苦い経験を積んだが、なでしこリーグ1部の強さを感じ、次へのステップとして年末から始まるインカレ2連覇に向け、気持ちを切り替える。
■《山梨学院大学サッカー部女子、2回戦初戦の結果》
2024年度 皇后杯第46回全日本女子サッカー選手権 2回戦初戦 11/24 《山梨学院大学VSスフィーダ世田谷FC》 宮城県石巻フットボール場 |
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● 山梨学院大学 0 | 前半0-3 後半0-1 |
4 スフィーダ世田谷FC 〇 |
■山梨学院大スターティング11=#60・GK高橋千空③、#3・DF一瀬葵夢②、#50・DF宮本仁奈④、#4・DF大高 心③、#16・DF中井佑姫奈②、#65・MF香椎彩香③、#10・MF城山にこ①、#46・MF木許和心④、#38・MF齊藤桃花④(GC)、#9・FW山田歩美②、#20・FW伊藤琴音②。
◆サブメンバー=#33・GK本多陽菜③、〇#52・DF中津留彩奈④、#64・DF寺村穂香③、#24・MF阿部文音④、#34・MF島村美風④、#32・MF山名映理①、
#14・MF加島希夏②、#53・MF大住六花④、#13・FW熊谷南摘②。※#前の〇印は主将。
◆交代=#3一瀬⇒#32山名、#15城山⇒#14加島、#9山田⇒#13熊谷、#16中井⇒#64寺村。
試合後、村上裕子監督は「早い時間帯に先制することを目標にしていたんですが、最初のビックチャンスで取り切れなかったことから(やり直し)スタートしたと思うので、もう少しそのあたりの点の取り方を徹底してやっていきたいのと、ビハインド食らった時の戦い方というところは、個の能力の差があって、そこの差をどうやって埋めていくかを考えていきたい」と敗北を糧にして次につなげる。2連覇を目指すインカレには「どのチームが来るか分からないですが、相手のサッカーに対してしっかり対応していく必要があるので、課題というよりはピッチの中で相手をしっかり分析しながら自分たちがいかに優位に進めるかを考えていかなくてはと思うので、成長はしていますがもっとやらなければいけないと今回痛感したのでこれを糧にインカレに向けて、ゲーム展開を考えていきたい」と気持ちを入れ替えた。
ゲームキャプテンの齊藤桃花副主将は「最初にチャンスがあったんでそこで決め切れたら流れが違ったと思うんですけど、自分たちのミスと失点から何点も入れられて、後半は立て直したんですけど得点までは行けずに残念」と悔しがった。なでしこ1部リーグとの差は、「1部リーグと対戦するのは初めてで、決め切るところはちゃんと決める力があるから強い」と実感した。具体的な差を、「球際の強さとかヘディングの競り合いとか、相手が勝っていたので、そこはインカレに向けて改善するところ」とインカレ2連覇に向けて始動を開始する。
インカレは年末12月24日開幕。決勝は年明け2025年1月6日に行われ、山学大は、12月26日、2回戦に初戦を迎える。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2024.11.24