●インカレ全日本バレーボール女子2回戦
~インカレ2回目出場で関西強豪に敗れるも互角の戦い~
~鍛え上げたトータルディフェンスが奏功 来期の関東に弾み~
「第71回全日本バレーボール大学女子選手権大会」(インカレ)2回戦が27日、エスフォルタ八王子他で行われた。山梨学院大バレーボール女子は同会場で関西1部リーグ帝塚山大(奈良・関西)と対戦した。山学は前日行われた東北公益文科大との対戦で2回目の出場で初勝利を挙げ、この日、関西の強豪帝塚山大との一戦に臨んだ。試合は、互角の試合になった。第1セット、立ち上がり帝塚山が先制するも、その後、山学のアタッカー#6佐藤すず奈を中心とした攻撃での得点も、レシーブや攻撃でのミスで連続ポイントを与えるなど、ミスが目立つ展開となった。その後は互いに落ち着き、随所に好プレーが見られる締まったゲームで進んだ終盤、相手の攻撃力が勝り21-25でセットを奪われた。第2セット、互いのレシーブ力が拮抗し長いラリーでの攻防から山学の攻撃リズムが良くなり、相手の好プレーを上回る全員の気迫で一時は7点差をつけて優位に立った。しかし、帝塚山も関西1部リーグのチーム。山学のミスから猛攻を仕掛け同点に追いついた。激しい攻防は終盤まで進み、帝塚山が最初にセットポイントを奪ったが、山学の#6佐藤、#24小林佑己奈のアタックなどで3度のデュースまで粘ったが最後に競い負けした。第3セット。このセットも互いに一歩も譲らぬ激戦となった。攻撃スパイクを拾い上げレシーブから攻撃を仕掛けるラリーが続き、終盤4点差とされるも、最後まで諦めない姿勢を貫き通したが21-25でセットを落とし、0-3で2回戦敗退となった。試合後、久保田莉己主将は「完全燃焼」と笑顔で大会を締めくくった。
2016年4月に「スポーツ科学部」開設と同時に17番目の強化育成クラブとして創部したバレーボール部女子は2023年春季リーグ戦で2位の好成績を残し、創部8年目にしてようやく悲願の2部昇格を果たした。そして、秋季リーグで2部初参戦に山梨学院は9試合を戦い6勝3敗で3校が同率で3位に並ぶ好成績を残し、それに伴い全国の大学チームが集うインカレ初出場を果たした。大会では惜しくも1回戦で4強になった神戸親和大に0-3で敗れはしたが、全国のレベルを知る絶好の機会となった。そして迎えた2024年度インカレで26日に行われた1回戦では東北公益文科大(東北・山形)に第1セット13-25、第2セット22-25のセットカウント0-2の1回戦敗退の危機にあったが、第3セット28-26、第4セット26-24でデュースの持ち込む粘りを見せ同点に追いつくと、最終第5セット15-8で苦しみながらも逆転。3-2と勝利し、インカレ初勝利を遂げた。
■壮絶な激戦。緊迫したラリーでの守備合戦が繰り広げられるー
11月27日、2024年度「第71回秩父宮妃賜杯全日本バレーボール大学女子選手権大会」(インカレ)2回戦が各会場で行われた。出場校64チームが1回戦を終え、32校が
2回戦に臨んだ。山梨学院大女子(山学)は1回戦を逆転で勝ち上がり2回戦をエスフォルタ八王子で関西代表の帝塚山大(奈良)に胸を借りる形で一戦に臨んだ。帝塚山は関西1部リーグの上位に位置する強豪で選手は山学を平均で約10cm上回る。試合は、帝塚山勝利の大方の予想を覆し、互角の試合になった。
◆第1セット、山学のサーブで幕を開けた。立ち上がり帝塚山が左サイドからのスパイクで先制。続いて山学が相手のミスでリードし、山学の攻撃は#2田島梨花子(4年)が正面から右サイドラインを狙うスパイクで得点。続いてアウトサイドヒッターの#6佐藤すず奈(3年)がブロックのワンタッチスパイクを狙い得点。山学が幸先良いスタート思われたがその後、ミスが続き#6佐藤や#2田島のスパイクで得点を重ねるが帝塚山#15の長身を活かした鋭角スパイクなどに押し切られ21-25とミスが惜しまれる展開で1セット目を失った。
◆第2セット立ち上がり、#2田島がラリーの続く中、フェイントで先制。続いて相手#15の長身から繰り出すスパイクをブロックするなど山学が先行。さらに主将でセッターの
#1久保田莉己(4年)のセンター、レフト、ライトプレーヤーへのトスによるオープン攻撃やクィック、バックトスなど変幻自在の攻撃を仕掛け#16鈴木、#2田島、#3平川慶奈(4年)、#13中尾朱矢(2年)、#24小林佑己奈(1年)が次々に9得点し16-9と差を広げた。しかし、帝塚山も関西1部の意地を見せ、守備の良さからラリーで球際に美技を見せ、山学の流れを自陣に呼び込み一気に逆転19-20とされた。たまらず山学はタイムアウトを取り、選手を落ち着かせた。その後も激しい攻防は相手が主導権を握り山学も#16佐藤、#24小林のアタックで抵抗。デュースに持ち込んだが最後のラリー応酬で相手#9のスパイクとフェイントで2得点を奪われ、激戦を競り負けセットカウント0-2とされた。
◆後がなくなった第3セット、山学は#6佐藤が左クロスをきれいに決め先制。直後から始まった気迫に満ちたラリーでのボールに対する執着合戦で両チームの応援席は1球ごとに歓声とため息が繰り返された。特に守備では#4リベロの勝又夏妃(4年)が必死にボールに飛びつき攻撃につなげた。リードされた山学の攻撃の中心は#6佐藤に#3平川や#13中尾らが食らいつき中盤まで一進一退で展開されたが終盤、21-24と3点差をつけられ迎えたマッチポイント。最後の得点は、山学のタッチネットであえなく激戦に幕が引かれた。0-3と帝塚山がストレートで勝利したが、山学の上位校に最後まで諦めない互角の好ゲーム展開に両チームの応援席から惜しみない拍手が起きた。
◆インカレ全日本バレーボール女子第2戦目11/27 会場:東京都エスフォルタ八王子 《山梨学院大VS帝塚山大》 |
||
---|---|---|
● 山梨学院大学 0 | 第1セット 21-25 第2セット 26-28 第3セット 21ー25 |
3 帝塚山大学 〇 |
◆山梨学院スターティングメンバー
#1セッター・久保田莉己④、#2ミドルブロッカー・田島梨花子④、#3ミドルブロッカー・平川慶奈④、#4リベロ・勝又夏妃④、#6アウトサイダーヒッター・佐藤すず奈③、#13アウトサイダーヒッター・中尾朱矢②、#24アウトサイドヒッター・小林佑己奈①。
他に、#5アウトサイダーヒッター・大島瑞穂③、#7ピンチサーバー・岡本晃来③、#8リベロ・後藤咲月③、#9オポジット・上村薫子③、#10セッター・森山未知③、#14アウトサイダーヒッター・鈴木愛子②、#19リベロ・岡田真弥②、#21センター・高島菜奈海①が随時交代で出場した。※#前の〇は主将、数字〇囲みは学年
■試合終了後のインタビュー
安田 貢監督の代わりに指揮を取った飯塚 駿コーチは「相手が強いのは分かっていたので、ただこういう大きな舞台でみんなの力が出し切れればいいなと思っていたので、思っている以上に出せたのは良かった」と試合を振り返った。お互い守備が素晴らしかったですが、「今年1年、トータルディフェンスという練習を強化してきたのでそこの良いところが最後までできました」。今日の試合で今後の手応えをどのように感じたか「本当にまだまだ若いチームなので一歩ずつ一歩ずつというところで、昨年はこのインカレに初めて出ることができて、今年また出場ができ、まずは一つ勝って関西の強豪のチームにもしっかり試合することができたということは一歩一歩進んでいると実感しています」と指導者の思いを示した。来年の関東リーグ1部昇格に向けては「こういう全国の大学とやることで今日なんかは3年生以下では、もちろん悔しい思いもして、課題はたくさんありますけど、それを今年の冬に活かせればいいかな」と次のステップに進む。
セッターとしてゲームをリードした久保田莉己主将は「自分たちの最終目標が完全燃焼だったので、昨日の試合では1、2セット目は自分たちの思うようなプレーができなく、このまま終わってしまうかなと思ったんですけど、何とか勝てて、今日は1セット目からぐんぐん攻めていこうという話をして、みんな思うようなプレーができたので悔いはないです。関西1部3位のチームですけど、1部にも自分たちがしっかりやるべきことをやっていれば通用することも分かったし、自分たちの強みも出せたので手応えはあった」と話した。4年生として最後のプレーに「完全燃焼」と笑顔で締めくくった。
エースアタッカーとして存在感を示した佐藤すず奈選手は「いつもより絶対決めたいという気持ちがプレーに上手く出たので本当に良かった」。長いラリーが続いたが「ラリー負けは絶対しないように前に出るトレーニングを皆で乗り越えているので自信を持って、攻めることを意識して頑張りました。自分たちのいいバレーをすればまだまだ上のチームにも、通用できるという実感があったのでその正確性を高めていけたら」と次に向け、自信を覗かせた。上級生なることは、「今年4年生が全員出ていて、そこを埋めるのはすごくきついと思うんですが、自分たち3年生はレシーブやガッツがあるのでそこを強めに頑張って行きたい」とチームをまとめる決意を表した。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2024.11.27