●山梨学院幼稚園 甲府市伝統野菜「長禅寺菜」のPRイベント
~園児たちが長禅寺菜の魅力を元気に紹介~
~長禅寺菜を守りたい思いを多くの人へ繋ぐ~
12月13日、イトーヨーカドー甲府昭和店で甲府市の伝統野菜である「長禅寺菜」が100袋限定で販売され、同店の1階入口広場で、山梨学院幼稚園が長禅寺菜のPRイベントを行った。イベントは山学幼稚園年長組の園児約70名と教員9名、きらめき久美ファームの山田久美子代表らが参加した。最初に山学幼稚園の園児たちが長禅寺菜に興味を持った経緯や長禅寺菜の特長、栄養素等について紹介した。きらめき久美ファームの山田代表からは「子どもたちが一生懸命(長禅寺菜の)種を守ってくれたので、色々なところで長禅寺菜が広まっています。長禅寺菜の種に出会えたことよりも、皆と出会えたことが一番嬉しいです」と園児たちへの感謝を述べ、最後に園児や教員たちで作詞作曲した「長禅寺菜のうた」の合唱を行った。イベント終了後は、園児から会場内の希望者へ長禅寺菜の種が配られ、また長禅寺菜の販売スペースでは山学幼稚園が作成した「長禅寺菜メニュー」の冊子が配布された。この日販売された長禅寺菜は午前中に完売し、今後の販売については未定であるが、きらめき久美ファームでの長禅寺菜の収穫量によっては今後も同店舗で販売される。
長禅寺菜は、江戸時代の終わりに長禅寺(甲府市愛宕町)周辺で栽培されたのが始まりとされ、江戸時代の地誌「甲斐廼手振(かいのてぶり)」にも記されている。現在では、生産者が減り市場にはほとんど出回っていないため、幻の野菜ともいわれている。山梨学院幼稚園では、2023年7月に食育や地産地消を目的に「長禅寺菜」を使用した食育講座を実施し、「長禅寺菜」に興味を持った子どもたちは、生産者のきらめき久美ファームから種を譲り受け、幼稚園のファームで栽培を始めた。園内で栽培・収穫を行ううちに、園児の中で「長禅寺菜を守りたい、増やしたい、広めたい」という思いが強まり、園児たちによる「長禅寺菜守り隊」が作られ、山梨県内で長禅寺菜を使用した商品販売を12月10日から開始した㈱セブンイレブンジャパンや、12月13日に長禅寺菜を初めて販売するイトーヨーカドー甲府昭和店の協力の下、園児らによるイトーヨーカドー甲府昭和店での長禅寺菜の紹介イベントの開催が実現した。
12月13日の午前10時、山梨学院幼稚園の保護者や同店舗の買い物客が見守る中、約70名の山学園児がイトーヨーカドー甲府昭和店1階の入口広場に登場し、続いて山梨県観光PRキャラクターの武田菱丸も応援に訪れた。最初に「長禅寺菜守り隊」の園児たちが給食で最初に長禅寺菜と出会ったこと、「シャキシャキ」「少し苦い」「よく噛むと甘い」等の食べてみた感想や、長禅寺菜にはアントシアニン、クロロフィル等の栄養が詰まっていること等の紹介をした。続いて、園児たちからきらめき久美ファームの山田久美子代表の紹介があり、山田代表からは「1年前に(山学幼稚園の)子どもたちと出会ったのですが、子どもたちが一生懸命(長禅寺菜の)種を守ってくれたので、色々なところで長禅寺菜が広まっています。一生懸命長禅寺菜を育ててくれて、私だけでなく多くの人達が喜んでいます。長禅寺菜の種に会えたことよりも、皆と会えたことが一番嬉しいです」と園児たちに感謝の言葉を贈った。最後に、園児と教員で作詞・作曲をした「長禅寺菜のうた」を元気よく合唱して、イベントは終了した。終了後には、園児たちが収穫した長禅寺菜の種を、店内の希望者へ園児たちから配られた。
今回のイベントについて、山梨学院幼稚園 田村優子園長は「(山学幼稚園の)子どもたちが年中の時からずっとこの取組をしてきて、最初は給食で食べた長禅寺菜を作りたいと言い出した子どもがいて育て始め、食べたことがない両親たちへ食べさせてあげたいとなり各家庭に持ち帰って食べました。ただ、全部獲ってしまうと長禅寺菜が作れなくなるので種を作ろうと子どもから提案があり、5月と10月に種を撒き、それぞれナンや蒸しパンにして食べました。調べても分からない、種を探しても見つからないことが子どもたちにはとても魅力的だったのだと思います。先生たちは応援するだけで子どもたちが自ら動いてくれて、色々な人と繋がってできた活動は教育的に意味があったと思います」とこれまでの経緯も含めて振り返った。
きらめき久美ファーム 山田久美子代表は「子どもたちと出会えたことが本当に私にとって大きくて、子どもたちが本気で種を守り、世界に届けたいという思いに刺激をもらいました。自分たちの手で種から花を咲かせて野菜を育てることは一生の思い出になり、また種を守ることで色々な人と繋がることもとても大事なことだと思っています」と語った。
12月13日にイトーヨーカドー甲府店で販売された長禅寺菜は、午前中で全100袋が完売した。同店での今後の長禅寺菜の販売は未定であるが、きらめき久美ファームでの長禅寺菜の収穫量によっては今後も同店舗で販売される。
文(R.K)カメラ(平川大雪)2024.12.13