●箱根駅伝競走 山学大往路15位。シード権獲得まで3分差
~1区平八重が7位と好位置。後続は順位を落とすも5区弓削が好走~
~シード圏内に射程十分 4年生と1年生の走りに注目~
新春を彩る「第101回記念箱根駅伝競走」往路区間が1月2日、冬の箱根を目指してシード校10校、予選会を通過した11校、計21校による5区間107.5kmの熱い戦いが繰り広げられた。5年連続38回目の出場の山梨学院大は9年ぶりのシード権獲得を目指し往路の流れに活路を見出すレースに臨んだ。1区には往路の最重要区間に安定感のある平八重充希を起用。午前8時、選手は大手町読売新聞本社前を一斉にスタート。序盤、飛び出した中央大に山学大ほか20校は大きな集団を作り終盤に備えた。終始やや後方で体力を温存した平八重は残り2km付近になると集団の前で粘り、独走した中央に1分41秒差で7位と好位置につけた。2区の留学生ジェームス・ムトゥクは序盤4位グループで走るも、中盤から遅れだし、目論んだ上位への進出は10位と外れた。3区村上大樹は区間1/3分の地点を12位で通過。中継所では13位、4区和田瑛登はさらに17位まで順位を落とした。5区は前回大会で11位と好走した弓削征慶が小涌園前で15位まで引き上げ、そのまま順位を守り個人成績8位と役目を果たし箱根・芦ノ湖へゴール。シード権獲得に望みを持たせた。明日のスタートは1位のシード権獲得まで3分差。復路は一斉スタートで流れをつくり挽回を図る。
前回23位最下位と屈辱を味わった山梨学院大駅伝部は再起をかけて昨年2月、大﨑悟史コーチが監督に就任。練習方法の改革に着手を図った。それは選手の自主性を重視し、今までの豊富な練習量に加え、質を高める方向にシフトした。それは週1日、選手に任せる自由練習の時間を設け、選手の心身のリフレッシュを図った。その効果は徐々に表れ、10月の予選会は想定していた順位を上回る3位となる結果を生み出した。これなら戦える。9年ぶりのシード権獲得に手応えを携え1月2日、まずは往路に立ち向かった。
■第100回箱根駅伝【往路】107.5km 5区間
序盤で流れを掴み、箱根芦ノ湖へ10位以内と目論んだ。先ずは1区、2区で流れをつかむべく、期待の二人に大会の浮沈を懸けた。1区は、全体的に平坦なコースで走りやすいが、集団で走ることが多く、どこで抜け出すか駆け引きが注目された。
◆1区[21.3km 東京大手町 ⇒ 鶴見中継所] 平八重充希(3年 鹿児島実業高)
1区で流れを引き寄せるかが、以降の順位に影響を与えるため、各校のエース級のスピードランナーが投入される。山学は昨年8区で23位と9区にタスキを渡せずに悔しさを味わった平八重充希が序盤から飛び出した中央大選手を追わず、集団走の後ろで力を温存。最後の2kmで集団がばらけ、後方から中位、さらに前へと余力を振り絞り区間7位と好走、トップと1分41秒差の区間7位と好位置につけ好走、2区の留学生ジャームス・ムトゥク(3年)にタスキをつないだ。平八重充希選手は「個人的な去年悔しい結果で終わってしまいましたが、今回リベンジを誓って臨みいい走りができたのでまた、来年につなげたい」。
◆2区[23.1km 鶴見中継所 ⇒ 戸塚中継所] ジェームス・ムトゥク(3年 ケニア・ンゴ二高)
「花の2区」と言われるエース区間。今季1万メートル27分23秒09台のベスト記録を持つブライアン・キピエゴが3km付近で留学生3人を含む5人が4位グループを形成し前を追う。中盤後続に追いつかれ7人の集団になるが、ムトゥクは2区の難所権田坂の坂で11位に順位を落とし、残り1kmの戸塚の壁で早稲田を抜き10位でタスキをつないだ。トップとの差は1分57秒。2区までに貯金を作る目論見は外れた。ジェームス・ムトゥク選手は「箱根駅伝を初めて走りました。来年はもっと良い走りができるようにトレーニング頑張る」。
◆3区[21.4km 戸塚中継所 ⇒ 平塚中継所] 村上大樹主将(4年 青森山田高)
3区、まずは下り10kmは、遊行寺を経て海岸線を目指す。村上は8km付近の藤沢で
12位と順位を落とし、14kmの富士山を正面に見る茅ヶ崎ポイントでは差を広げられ、残り2km、上位ではつばぜり合いが続く中、村上は13位とトップとは6分差、10位のシード権圏内の帝京大とは丁度1分差で十分追いつけるタイム差で4区の平塚中継所にタスキをつないだ。村上大樹選手は「目標としていた順位でタスキをもらいましたが、3つ順を下げしまい、後続の選手にプレッシャーを与えてしまうような展開にしてしまい、この1年間箱根を目指して頑張ってきた仲間に申し訳ない気持ちでいっぱいです。ですが後輩たちが好成績を残して走ってくれたので来年以降もぜひ応援していただきたい」。
◆4区[20.9km 平塚中継所 ⇒ 小田原中継所] 和田瑛登(2年 山梨学院高)
昨年もこの区間を任された和田瑛登(2年)は、5区に有利に進めるための重要区間と、準エース級の選手が起用されるようになった。序盤は海から山へ。ポイントは10本の橋を含む20か所ほどの細かいアップダウンが選手を苦しめ、ラスト3kmの上りが踏ん張りどころ。この日、当日変更で選手交代した和田は10000mで留学生2人を含むチームで7番目の記録を持つ期待の選手。和田は9km付近の二宮ポイントで16位に、さらに21km付近では17位まで順位を落とした。小田原中継点では17位。1秒差で専修大が続いた。シード10位の日体大とは3分16秒差となった。和田瑛登選手は「不甲斐ない走りをして申し訳ありませんでした。目標を設定していたにも関わらずに最初、冷静に入ることができずに突っ込んでしまい、後半も粘ることができず、昨年のタイムから1分近く遅いタイムでタスキを渡してしまいました。もし、来年も走らせてもらえるならばリベンジを絶対にしたい」。
◆5区[20.8km 小田原中継所 ⇒ 箱根芦ノ湖] 弓削征慶(3年 京都・洛南高)
毎回逆転劇というドラマが生まれる「山登り」5区は、標高差840メートルを駆け上がる箱根駅伝最難関コース。最高地点を上り切った4.5kmの下り坂でのスピードの切り替えも見どころ。弓削征慶は平地では平凡な記録ながらも、適性を買われ2年連続の5区山登り区間に抜擢された。12km付近の小涌園前では2チームを抜いて15位と順位を上げて通過。弓削は5区中継点の箱根芦ノ湖を目標のシード圏内10位日体大に18秒縮める3分差。昨年と同じ15位で往路ゴール地点のテープを切った。山学大は後半の熾烈なシード権争いに残った。山梨学院は、往路優勝の青山学院大から11分02秒遅れ、3日復路は、午前8時往路優勝の青学スタート。10分後に15位の山学大ほか(関東学生連合含む)21位までの7チームが一斉スタートする。弓削征慶選手は「昨年23位に終わって、この1年シード権を目標にしてきましたが獲得できませんでした。僕は他の区間と違い、難しい状況でもひっくり返すことができますが、まだまだ力不足でできませんでした。現状、他大学と力の差はありますがここから立て直していき、来年はシード権を獲得できるように頑張る」。
※選手のコメントは復路終了後、大手町での報告会からの抜粋
■往路成績15位 往路時間 5時間31分03秒 | |||||
区間 | ランナー | 区間時間 | 順位 | 合計時間 | 総合順位 |
1区 | 平八重充希(3年) | 1:02:48 | 7位 | 1:02:48 | 7位 |
2区 | ジェームス・ムトゥク(3年) | 1:06:55 | 10位 | 2:09:43 | 10位 |
3区 | 村上大樹(4年) ※主将 | 1:04:20 | 19位 | 3:14:03 | 13位 |
4区 | 和田瑛登(2年) | 1:04:57 | 20位 | 4:19:00 | 17位 |
5区 | 弓削征慶(3年) | 1:12:03 | 8位 | 5:31:03 | 15位 |
■選手変更=3区伊東 駿②⇒村上大樹④、4区高橋颯河①⇒和田瑛登②
文(K.F) カメラ(平川大雪、藤原稔、今村佳正、小池裕太、斉田和也) 2025.1.4
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