●第97回インカレ日本学生氷上競技閉幕 山学男女W総合3位
~1年生の活躍もあり、昨年の総合5位から躍進~
~今後の部内競争で強豪校の栄光を再び目指す~
山梨県で開催された「第97回日本学生氷上競技選手権大会(インカレ)」は最終日を迎えた。山梨学院大スケート部は前回大会でコロナによる主力選手の離脱もあり不本意な結果にリベンジトすることを誓い、53年ぶりの地元開催も重なり上位を目指して大会に臨んだ。1日目、2日目と入賞は2人と少なかったももの、男子15位、女子12位までに与えられる大学対抗得点を小刻みに積み、大学対抗得点で女子6位、男子7位となり前回大会を上回った。そして、10月に行われたショートトラックの男子優勝、女子準優勝の得点が加わり、男女ともインカレ総合成績3位と健闘を見せた。3日目最終日は男女2000mリレーと男女チームパシュート種目が行われた。初めの女子リレーでは1走中西琴菜、2走佐伯紅葉、3走大窪菜緒、4走飯田明音が出走、小気味よい滑りでタイムが期待されたが、1走の中西が2周目のコーナーポイントに触れたとして失格となった。男子は1走大野遥輝、2走大窪優太、3走・吉澤翔、4走・澤勇気が力走、6位と昨年の10位を上回った。次に男女チームパシュートが行われ、女子は飯田明音、宮下心夢、大窪菜緒が息の合った滑りで4位。男子は井上由貴緒、原田海聞、金子直樹で臨み6位、ともに入賞した。競技終了後、各大学恒例のチーム全員で集団滑走を行い、4年生はインカレ引退式で後輩から花束を贈られ大学での全国大会を終えた。その後は、それぞれ国スポや個人競技で大学を卒業する。
創部から48年を迎える山梨学院大スケート部のインカレでの女子の戦績は、第74回大会初優勝から75回、80回、第82回から85回までの4連覇を含め、7回の優勝。そして第92回、コロナ禍で中止になった2021年第93回大会を挟み第92回、第94回と2大会連続、計9回の優勝を誇り、男子は2度の3位に留まる。昨年、10月のインカレスピードスケートのショートトラック部門で16年ぶりの男女アベック優勝を飾りインカレに弾みをつけたかったが、大会直前にコロナによる女子の主力の2人が離脱。さらに男子の主力の怪我などによる欠場で戦力を落とし戦力ダウンは否めず、男女とも低迷した。そして今シーズン、ショートトラックでは男子優勝、女子は準優勝とW優勝2連覇は逸したが、昨年のリベンジを果たすべく、万全な健康管理も含め、このインカレに照準を合わせて総合成績上位を目指した。
《山梨学院大 インカレ氷上決戦3日間の結果》
会場:富士急ハイランドコニファーフォレストセイコオーバル
■スピードスケート1/5大会1日目
◆男子10000m=原田海聞①10位、田丸諒一③22位。❖大学対抗得点:原田6点
獲得。 ※大学対抗得点は男子15位までの順位に与えられる。
男子500m=大窪優太③25位、澤勇気①17位、吉澤翔②9位。❖大学対抗得点:吉澤7点獲得
◆女子500m=宮下心夢①18位、佐伯紅葉①16位 、中西琴菜③10位。❖大学対抗得点獲得:中西3点獲得。 ※大学対抗得点は女子は12位までの順位に与えられる。
◆男子1500m=佐々木蒼太④27位、金子直樹③26位、井上由貴緒①18位。
◆女子1500m=宮下心夢①12位、飯田明音①8位入賞、大窪菜緒(①15位。❖大学対抗得点獲得:飯田5点獲得。
吉澤翔選手(3年)は9位という結果は「入賞を目指していたんですけど、8位とちょっとの差だったので、届かなかったのは悔しいですね。最初の100mをもっと攻めて10秒15くらいを目指していたんですけど、実際はあまり良くなかったです。あそこで上手くいっていれば、入賞に行けたと思います」とコンマ0.02差。悔しがった
飯田明音選手(1年)は初めてのインカレを「初めてのインカレということもあって、緊張してしまって、自分の滑りができなかったかなと終わってから思っています。自分は最初のスピードが出ないので(苦手なので)、それよりも後半のスピードが持ち味で強みだと思っているので、そこが今日はあまり発揮できなかったかなと思っています」と3位を狙っていた。
■スピードスケート 1/6大会2日目
◆女子3000m=飯田明音①4位。目指した表彰台にわずかに届かず。 ❖大学対抗得点11点獲得。
◆男子5000m=田丸諒一③27位、天野拓珠④28位、原田海聞①13位。 ❖大学対抗得点獲得:原田3点獲得
◆女子1000m=佐伯紅葉①21位、大窪菜緒①15位、中西琴菜③17位。
◆男子1000m=澤勇気①31位、井上由貴緒①18位、吉澤翔②15位。 ❖大学対抗得点獲得:吉澤1点獲得
表彰式後、4位に入賞した飯田明音選手は「1位だった侑花さんは、自分が目指している選手なので、侑花さんの次は取りたいなとすごく思っていたので、今回の結果は少し悔しいです」。タイム的には「今日はリンクのコンディションがあまりよくなかったのでこのタイムはあまりかなと思っています」。昨日のもらい事故で股関節が痛いと聞いたが「まあ、少しは痛いですけどそこまで大きい影響ではないので」と相手の選手を気遣った。(2日目の自身の3000m滑走後、リンク内でダウン時に競技中選手がバランスを崩し飯田と接触した。
■スピードスケート 1/7大会3日目最終日
◆女子2000mR(リレー)滑走順=中西琴菜③、佐伯紅葉①、大窪菜緒①、飯田明音①。
レースは第1走から第4走まで、順調に滑りの状態も良く、バトンタッチもスムーズにゴールし好記録も期待されたが、レース後、第1走の中西がコーナーのポイントに触れ失格の判定をされた。
◆男子2000mR(リレー)滑走順=大野遥輝③ ・大窪優太③・吉澤翔②・澤勇気①は学内ベスト記録を目指すが4秒ほどの差があり7位となり、上位入賞は逃した。 ❖大学対抗得点は4点を獲得。
◆女子チームパシュート(6周):飯田明音①・宮下心夢①・大窪菜緒①の1年生トリオでの滑走。チームは飯田が終始先頭で仲間を引っ張り息の合った滑りを見せて4位。表彰台には届かなかったが大学対抗得点に大きく貢献。4位6点を獲得した。
◆男子チームパシュート(8周):井上由貴緒①・原田海聞①・金子直樹③で井上、原田が先頭を変わり、金子をバックアップ6位と健闘。 ❖大学対抗得点6点を獲得した。
■フィギュアスケート 1/6・7日
フィギュアスケート競技は、2日間にわたり1日目にショートプログラム、2日目にショートプログラムを通過した24人よるフリープログラムが甲府市小瀬スポーツ公園アイスアリーナ―で行われ、山梨学院から中本有咲④が初出場。ショートプログラムを23位で通過した中本はフリーで演技をまとめ、順位を17位まで上げた。得点に絡むことはできなかったが大舞台で飛躍した。
■4年間の大学でのスケート生活を胸に込め、インカレ引退式ー
全てのスピードスケート競技を終え、山梨学院チームは部員全員でインカレ恒例の集団滑走を行い4年生との最後の思い出となる滑走を楽しんだ。その後、4年生を送るインカレ引退式を行い、男子2人に後輩から花束が贈られた。4年生2人は仲間や篠原祐剛監督、OBでトリノ五輪入賞やW杯優勝経験を持つ及川佑コーチ、世界ジュニア選手権代表、インカレ優勝者・篠原泰洋コーチ、北川トレーナー、川上隆史スケート部顧問ら指導者、保護者らに感謝を述べ、指導者らはそれぞれ4年生と後輩選手に労いの言葉を掛けた。4年生は最後のインカレでひとまず区切りをつけ、それぞれ個人競技で残りの大会に出場。山梨学院での大学スケート生活を卒業する。
引退式で佐々木蒼太主将はまず、各指導者、関係者、保護者に感謝の言葉を伝えてから後輩に向けて、「みんなお疲れ様。本当にいいレースでした。1年間キャプテンとしてやれたことを誇りに思います。一旦これで一区切りつけますが、まだ今シーズン大会が残っているので、1回しっかり休んでこの後の大会に備えて頑張りましょう」と最後まで仲間を鼓舞した。
主将とともに選手をまとめた天野拓珠選手は「成績的にも今年はすごく良かったと思うので、来年は僕たちより上の成績を目指して、みんなに頑張ってもらいた」と後輩に思いを託した。
全てのセレモニーが終了後、篠原祐剛監督は昨年のコロナで離脱者を出した大会を振り返り、「今回のインカレは体調不良者を絶対に出さないというところから始めて、後はスピードのピークをここにしっかり合わせることをコーチと相談しながらやってきた結果、昨年度の成績は上回ることができましたし、新しく加わった1年生の力というところで得点を稼ぐことができた」と今後の1年生の飛躍に期待を寄せる。
佐々木蒼太主将は今大会のチームの印象を「個人個人が全力を出し切れて、それに対してチームのみんなが全力で応援した結果、自己ベストを更新する選手もいたり、最後まで精一杯滑り切ることが全体でできていた」。4年間の山梨学院での競技は「入った時には、先輩たちが自分よりはるかに速くて、本当にインカレでレギュラーを取れるか不安ばっかりで、学年を重ねるにつれ自分自身も成長できたと思いますし、後輩が入ってきた分、頑張ろうという気持ちも増え、本当にキャプテンを務めることでまとめる大変さだったり、一番先頭に立つ楽しみだったり、たくさんの事を学ばせてもらい本当にこの4年間充実して卒業できる」と重責から解き放され爽やかな笑顔でインカレを締めくくった。
文(K.F)カメラ(平川大雪、小池裕太)2025.1.8