●山梨学院短期大学2024年度パティシエコース「専門的実践力外部試験」
~2年間で培った製菓技術を活かしたオリジナルスイーツを製作~
~学生19名が作品への思いやポイントをプレゼンし高評価を得る~
山梨学院短期大学食物栄養科パティシエコースで1月21日、2024年度「専門的実践力外部試験」が行われた。「専門的実践力外部試験」とは、学外の製菓・製パン分野の専門家が評価者となり、製菓衛生師にかかわる専門的実践力を直接評価する試験で、試験を受ける学生は、洋菓子・和菓子・製パンより分野を選択し、2年間の学びで培った個々の製菓技術を活かした「オリジナルスイーツ」を製作する。9回目となる今回は、パティシエコース2年生19名が試験に挑んだ。3時間の制限時間の中で製作した作品は、素材、味、デザイン、発想力等の面で工夫が詰まったオリジナルスイーツが並んだ。審査は3名の製菓・製パン分野の専門家によって行われ、学生は審査員に対して作品への思いやポイントをプレゼンし、審査員から作品について見た目、味、食べやすさ等に対する評価やアドバイスを受けた。講評では審査員の一人から「毎年作品のレベルがアップしていて驚いています。食べて美味しいものも多く、良い作品を製作できたことと思います」と学生を労った。審査結果は、3月15日の卒業式に合わせて事前に発表される。
山梨学院短期大学では、『学修成果を学内・学外の両輪で評価し社会に目に見える形で提示していく仕組み』として2016年度から「専門的実践力外部試験」が実施された。2023年度までは、山梨学院短期大学独自の認定資格「スイーツマイスター」の取得のための実技試験と併せて実施されたが、学生の製菓技術の審査により特化するため、2024年度より「専門的実践力外部試験」を単独で実施することとなった。この試験では、製菓衛生師にかかわる専門的実践力がどれだけ身についているかについて、学外の製菓・製パン分野の専門家から評価を受ける。在学中の2年間で修得した個々の製菓技術を活かしたオリジナルスイーツの開発を目指すことで、商品化のための製菓技術を身につけ、卒業後の専門職での活躍に繋げるねらいがある。
作品の評価基準は①素材の活用(素材の特徴の活用)、②オリジナル性(独創性・ネーミングセンス)、③製菓技術(レシピ通りの製作・コストパフォーマンス)、④視覚性(うつくしさ・センス・好感度)、⑤味覚性(おいしさ)の5つの視点で、3名の審査員の平均点により評価される(20点×5=100点)。2024年度の「専門的実践力外部試験」には、パティシエコース2年生19名が挑んだ。試験当日は午前中から、3時間の制限時間の中で作品製作を行った。それぞれの学生が2年間の実習等の中で学んだ技術や、印象に残った食材等を活用し、学修成果の集大成となるオリジナルスイーツを製作した。今年度は16名の学生が洋菓子を、3名の学生がパンを製作した。
作品の審査は、山梨学院短期大学学外助言評価委員会委員を務め、山梨県洋菓子協会会長で㈱清月専務取締役の野田清彦氏、山梨県製パン協同組合理事長で㈲六曜舎代表取締役の小野 曜氏、Patisserie La Neige オーナーパティシエの橋本隆男氏の3名で行われた。各学生の作品の試食と並行して、各学生が作品に対するプレゼン(素材選定の理由や製法の工夫点などの説明)を行った。審査員からは「試作は何回行ったか」「なぜその素材を組み合わせたか」「どんなシチュエーションで食べてほしいか」など、実際の商品化を想定した厳しい質問もあり、学生は緊張しながらも丁寧に受け答えを行った。質問と併せて、どうしたらより美味しい、お客様に買ってもらえるスイーツになるか等の審査員からのアドバイスにも、学生達は真摯に耳を傾けた。
審査後は、審査員と山梨学院短期大学教員より講評があった。審査委員長を務める野田清彦氏は講評の中で「毎年作品のレベルがアップしていて驚いています。今年は特に食べて美味しいものが多く、良い作品を製作できたことと思います」と学生を労った。小野 曜氏は「皆さんにはそれぞれ個性のある作品を作って頂きましたが、それぞれは自分の顔であり自分の性格なんです。皆さんには自分の個をどんどん活かしてほしいです。今回作品を作った皆さんの知恵や経験を常に忘れずに世の中に向けてほしいです」とこれからの活躍を後押しした。橋本隆男氏は「昨年度から審査させて頂いていますが、今年もよりレベルが上がって、皆さん工夫されたのがよく伝わってきました。本当にもう即戦力の方も何人かいらっしゃるのかな、なんて思いました」と学生を称えた。また、山梨学院短期大学 羽畑祐吾学長は「どの作品もアイデアが詰まって素晴らしいものでした。昨年度から県産品を使用する条件がなくなったため、よりカラフルな、よりオリジナリティーを発揮できたと思います」と述べ、山梨学院短期大学 中川裕子食物栄養科長からは「3名の審査員の先生方に真摯な形で試食、コメントを頂いていると思いますので、そのコメントを皆さんの今後の力の糧になるようしっかり読み解いて、更に技術を高めていけるような一助にして頂ければ、先生方も大変喜び頂けると思います」と激励した。「専門的実践力外部試験」の結果は、3月15日に行われる卒業式に合わせ事前に通知される。
審査を終えて、『キャロル』を製作した塩島みささんは、「前日からの仕込みだったのですが、失敗なく工程を全部終了させて、審査の先生方に美味しいと言って食べてもらえてすごく嬉しいし、達成感がありました。(作品に使用した大塚人参について)自分の畑で採れた人参だったので、これはぜひ使いたいと思って、1年生の時に少し違う組み合わせで一度作ったのですが、その時からレベルアップさせた作品を作ることができたと思います。卒業後も作ることをずっと好きでいたいと思います」と語り、『マンゴーと抹茶のマリアージュムース』を製作した鈴木菜月さんは「試作の時は失敗ばかりしていたのですが、本番は抹茶のグラサージュも上手くできて、いい出来に仕上がったので良かったです。自分は発想力があると思っていませんでしたが、審査で(発想力について)評価頂き嬉しいです。2年間で学んだことを活かして、卒業後も即戦力になれたらと思います」と語った。『柿ロンタワー』を製作した服部凛さんは「細かい作業が多く、デコレーションが1番大変だったのですが、無事に綺麗な飾り付けもでき、すごく達成感があります。マカロンは(作るのが)苦手だったのですが、敢えて今回たくさん作ったので、コツなども分かり、安定して作れるようになってきたので、挑戦して良かったと思っています。卒業後は、食品開発やアイデア提案などに積極的に取り組めたらと思います」と意気込みを語った。審査を振り返った3人の学生は卒業後、県内のカフェや飲食店へ就職し、それぞれの技術や発想力を更に磨いていく。
文(R.K) カメラ(平川 大雪) 2025.1.21