第107回全国高校野球山梨大会 準々決勝
山学高は身延高に勝利。甲子園まであと2つ
足立好投、平野満塁本塁打で身延に引導を渡す

「第107回全国高校野球記念選手権山梨大会」準々決勝2試合が7月18日、甲府・山日YBS球場で行われた。午前8時30分開始の第1試合、山梨学院高は身延高と対戦した。一塁側スタンドには、生徒会や応援団など一般生徒約600人、教職員、保護者会150人、合計750人が声援を送った。試合は1回表、先攻の身延高に対し2回戦初戦と同様、足立康祐が先発のマウンドに立った。足立は先頭打者に安打を打たれたものの、4回まで安打2本、無失点に抑えた。山学高の攻撃は2回、二死二塁から8番田村颯丈郎が右翼フェンス直撃の三塁打で1点を先制すると、続く9番足立が右翼席へ2点本塁打を叩き込みさらに1点を追加、4対0とした。3回裏にも、先頭の横山悠が四球で歩くと、5番平野天斗が中前打で横山は三塁へ進塁。その間、中堅手の失策で横山は生還1点を重ねた。なおも内野安打、続く菰田陽生の犠飛で1点。打線が噛み合い6対0と差を広げた。山学高は足立を5回に檜垣瑠輝斗、6回に木田倫太朗と小刻みにリリーフ。身延打線を抑えた。6回裏、山学高は先頭打者の四球から2連続安打で1点。その後の四球で一死満塁から5番平野が豪快に左翼スタンドへ満塁本塁打を放ち11対0とし、6回コールドで勝利。21日の準決勝に駒を進めた。
7月10日、夏の甲子園を目指す県内31チームによる「第107回全国高校野球記念選手権山梨大会」が開幕。熱戦が繰り広げられてきた7月17日に、準々決勝進出8強が出揃った。18日、準々決勝2試合が行われ、第1試合、3年ぶりに甲子園を目指す山梨学院高校は身延高校と対戦した。山学高は、春の甲子園(選抜)では優勝を含め、4連続出場するなど、関東の雄として確固たる常連校の名を誇示している。しかし、夏の甲子園には一昨年、昨年と2年連続で出場を逃してきた。吉田洸二監督は昨年新チームになった時に、「来年の夏は必ずこの子たちを連れて行く。すべては夏に向けての取り組みになる」と堅く誓った。
7月14日、山学高の初戦2回戦。甲府東高と対戦。伝統の堅守と鍛え挙げたフィジカルと層の厚い投手陣、どこからも得点を奪える打線を作り上げた。チームは初戦で猛打が爆発。コールドで初戦を突破した。迎えた7月18日、山学高は1回表、先攻の身延高に対し、初戦と同様足立康祐(3年)が先発のマウンドに立った。足立は、先頭打者に安打を打たれたものの、後続をWプレーで打ち取り上々の立ちあがり。打線は先頭の鳴海柚萊(3年)が四球で出るも、無失点に抑えられた。2回裏、二死から四球の萬場翔太(3年)を一塁に置いて、怪我から復帰が遅れた8番田村颯丈朗(3年)が右翼フェンス直撃の三塁打で1点を先制。続く9番投手の足立は右翼席へ特大の2点本留打で3対0とした。さらに代わった相手投手から1番鳴海、2番宮川真聖(3年)が盗塁を絡め連続安打で1点を加えた。3回裏にも、山学高は4番横山悠(3年)、5番平野天斗(3年)のつながる打線で1点。さらに相手守備陣の乱れと犠飛で手堅く得点6対0とした。先発の足立は持ち味のストレートとカットボールのコンビネーションで4回まで2安打無失点で好投。5回、左腕檜垣瑠輝斗(2年)に継投した。
その裏、山学高は無死満塁にしたものの、Wプレーで得点にはならず。6回の表には檜垣から木田倫太朗(2年)に継投。木田は立ち上がり、安打で走者を出したが、後続を落ち着いて処理した。6回表、木田の代打、大石康耀(3年)が四球で出塁。すかさず山学高のつなぐ野球で1番鳴海、2番宮川が連続安打で1点。一死後、4番横山が四球で満塁。5番平野がツーボールノーストライク、3球目を狙いすまして振り切ると打球は左翼席後方へ落ちる満塁本塁打。11対0で6回コールドゲームが成立。21日の準決勝へ進出した。
試合記録
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 計 | |
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身延高 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
山梨学院高 | 0 | 4 | 2 | 0 | 0 | 5× | 11 |
◆山梨学院高先発メンバー 〇囲みは学年、〇印は主将
1.(右)鳴海柚来③、2.(左)宮川真聖③、3.〇(三)梅村 団③、4.(捕)横山 悠③、5.(遊)平野天斗③、6.(二)萬場翔太③、7.(一)菰田陽生②、8.(中)田村颯丈郎③ 、9.(投)足立康祐③
◆山梨学院高バッテリー=足立⇒檜垣⇒木田ー〔捕手]横山
[投手]足立:投球4回、投球数38、被安打2,奪三振3,四死球0、失点0
檜垣:投球1回、投球数10、被安打0、奪三振0、四死球0、失点0
木田:投球1回、投球数11、被安打1、奪三振1、四死球0、失点0
[打撃] 安打10(長打:本塁打=足立、平野 三塁打:田村)、三振2、四死球8
[交代]木田(投)⇒(代打)大石康耀⇒(代走)石井陽昇、梅村団(三)⇒(代走)高橋英登
試合後インタビュー
北村 開コーチは「夏なので相手も最後に(息が)上がってくる中で、初回はWプレーなどありましたけど、四球をとりながらサインプレーを駆使して、エンドラン、スティールを掛けながらミスに付け込んで、山学らしく攻撃が上手くいったかなと思います。ミスもありましたけど、最後にいい勝ち方ができてよかった。足立も、らしい投球ができました」と試合を振り返った。
梅村 団主将は今日の勝利について、「4月からはチームのつながりということを意識してきて、そのつながりの面が出てきたからこそ、打線がいい形でつながっているのではないかなと思います」。残る2試合は「今まで、夏(の甲子園)へという思い1本で積み上げてきたものを出せたらいい」と焦りはない。
平野天斗選手は満塁本塁打を、「今日は自分たちのペースでできました。今年のチームは個人だけの能力で勝つわけではなく、チーム力で勝つチームで戦ってきたので」と驕ることなく淡々と答えた。甲子園まであと2試合。「優勝を目指すのは当然ですが、目の前の一戦を大事に戦います」とあくまで冷静に答えた。
投打で見せ場をつくった足立康祐投手は「前回の試合で全然いい投球ができなくて、ちょっと力んだりもして、この試合に来る前に今までにやってきたことをもう一度振り返り、確認してこの試合に臨んだので、その結果が出てよかったです」。本塁打について「チャンスで思い切り振ることが大事だったので、ファーストストライクから意識して振りました。普段あまり当たらないんですけど」と笑顔を見せた。
文・カメラ(K.F) 2025.7.18