平成13年度 山梨学院学生チャレンジ制度【報告書 第4号】
「戦没者遺骨収集 ~硫黄島~」公開


1月31日 戦没者遺骨収集
 
半田 博昭 企画立案の動機  

私は、同郷の先輩の紹介により、昨年12月には政府厚生労働省を中心とした戦後処理の一環である戦没者遺骨収集の硫黄島の派遣に参加・協力して参りました。又、今年の6月 6日から22日までの旧ソ連(現ロシア連邦)ハカシア共和国抑留死亡者遺骨収集にも参加して参りました。戦後56年が経過し、未だそのご遺骨がご遺族のもとへ戻っていない事を知り、自分に何かできることはないかと考えたのがこの事業に参加した理由です。 実施内容・結果報告 実施内容  私は平成13年度第二次硫黄島戦没者遺骨収集・調査の後期隊として参加した。この派遣の日程は11月18日より12月20日まで行われ、派遣団の構成員は厚生労働省8名、小笠原村2名、日本遺族会16名、硫黄島協会(戦友会)14名、小笠原村在住硫黄島旧島民の会13名、日本青年遺骨収集団8名、重機オペレーター6名、防衛庁支援隊員(陸上自衛隊)23名の、のべ90名で後期隊は56名であり、自分の属する日本青年遺骨収集団は前期隊4名(いずれも拓殖大学3年生)後期隊4名(隊長 半田 博昭、泉 健太 立命館大学卒、中山 茂大 上智大学卒、折田 康彰 拓殖大学3年生)である。

12月5日  日本青年遺骨収集団、後期隊4名により東京九段下に於いて打ち合わせ。九段会館泊。
12月6日  新宿より埼玉県入間市へ。市内ホテルに於いて各団体の後期隊の顔合わせ。ホテル泊。
12月7日  入間市、自衛隊駐屯地より輸送機C1で硫黄島へ。全体による顔合わせ。NLP宿舎泊。
12月8日~14日  島内における壕及びトーチカを探す調査班と調査班が見つけたトーチカ等を細かく作業する収集班とに分かれ作業を行う。調査班の作業は常時30℃を越す炎天下の中で行われた。又、収首班は同じ環境のもとでトーチカ周辺の地上骨を探す事や地熱の噴出する狭くて熱い壕に於いて作業を行った。
12月15日  収集したご遺骨を焼骨するための矢倉を組む作業やご遺骨についた土を落とす作業が行われる。
12月16日  焼骨式。ご遺骨を焼骨し骨上げを行う。骨上げ仕切れなかった灰は硫黄島の海にながされた。
12月17日  追悼式。海上、航空自衛隊両硫黄島指令及び在島の鹿島建設所長を迎え派遣団員により、追悼式を行う。各代表により献花。
12月18日  帰還準備。
12月19日  ご遺骨を捧持し在島の自衛官の整列する前を通り、再びC1で帰還。入間市から九段会館へ行き、ご遺骨を仮安置してから都内ホテル泊。
12月20日  千鳥ヶ淵戦没者墓苑に於いてご遺骨、代議士が参列のもと、遺骨引渡式が行われる。

結果報告  

前期、後期合わせて合計47柱を収集。 実施後の感想 自身3度目の派遣であり、隊長としては2度目の派遣であった。紹介して頂いた先輩から硫黄島のお話を聞いてみると、当時硫黄島を指揮していた栗林中将のお墓が実家の墓の隣であることがわかった。話を聞くまでその事を知らなかった自分がとても恥ずかしくなった。私の故郷である長野市松代町には松代大本営があり、地元の戦争に関連していることは全て知っていると思っていたので、このことは大変ショックなことであった。しかし、この事で何か運命的なものを感じ、硫黄島に対しての関心が一気に高まった。いざ本土より硫黄島に行ってみると、12月にも関わらず綺麗な花が咲き乱れ、木々が青々と生い茂り、当時ここが激戦地だったとは思えない光景が待っていた。宿舎はとても美しく3度の食事もおいしくて、この島で亡くなった英霊の方々にとても申し訳無い気持ちになった。硫黄島の壕は、私の知っている涼しい松代大本営と違い、壕に埋まった土砂を取り除くだけでも、地熱で壕の中が蒸し風呂の状態だった。当時、壕を要塞にしようとして、手作業で地面 を掘っている姿を想像することが全くできなかった。しかも飲料水もろくに確保できなかったのである。壕を作る最中にも亡くなっていった方々が大勢いたのだろうと考えると、何か胸にぐっと込み上げてくるものがあり、その方々を必ず本土へお連れしたいと思った。今回の派遣では、47柱のご遺骨をお迎えすることができた。しかし、この派遣では経済的な面 で苦しいことがあり参加を諦めようとおもっていただけにチャレンジ制度は有難かった。派遣中は人生の先輩方に沢山のお話を拝聴することができ、色々な経験をすることができた。硫黄島では20.129名の方々が亡くなっているが、未だ8.000柱余りにしか至っていない。来年度以降も硫黄島をはじめロシア等、各地の戦地や抑留地へ山梨学院大学の代表として意欲的に参加するつもりである。
     

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