山梨学院大学(古屋忠彦学長)と酒折連歌賞実行委員会(川手千興実行委員長)は2月20日、山梨学院大学で第七回酒折連歌賞(文部科学省後援など後援)の表彰式を行った。「五・七・七」の問いの片歌に、「五・七・七」の答えの片歌を詠む酒折連歌賞に前回を952句上回る過去最高の38,779句の作品が寄せられた。主催者代表の古屋学長から、問いの片歌の「砂時計こぼれるようにふりつもる今」に、答えの片歌を「すりきれたレコードに針がゆっくり落ちる」と詠んだ、大賞の藤沢美由紀さん(埼玉県31歳)に文部科学大臣奨励賞と副賞が授与され、佳作の今井洋子さん(広島県49歳)、坂内敦子さん(福島県70歳)、水谷あづささん(奈良県38歳)、アルテア賞最優秀の加藤龍哉さん(山梨県16歳)に、賞状と副賞が授与され、それぞれの栄誉が称えられた。
「大賞 文部科学大臣奨励賞」を受賞した藤沢さんは「問いの片歌のもつ『静けさ』『はかなさ』『瞬間の動き』『懐かしさ』と向き合う中で、ふと子供のころ、父がレコードに針を近づけ、指を離し音が出る瞬間までの期待感や緊張感の情景を思い出し、何気なく浮かんだものを歌にしました。今は、驚きと喜びで一杯です。本当に身に余る光栄です」と、受賞のことばを述べた。
「佳作」を受賞した、今井さんは「春よ来い早く来いとてどこからか歌」の問いの片歌に、「春が近づく野山が連想され、だんだん春が近づいてくる明るい感じ、楽しい感じを、薇に表現して『ぜんまいが春の時計をくるくると巻く』と付けた。坂内さんは「春よ来い早く来いとてどこからか歌」の問いの片歌に、「毎年、奥会津へ?と残雪と大山桜の景色を見に行きますが、春が近づくと?の木の根回りの雪は端反りの椀のように根元の雪が丸く解けてゆきます。問いの片歌の『春』をみて、その情景を思い浮かべ『ブナ(きへんに無)林根元の雪がまぁるくとけて』」と付けた。水谷さんは「本当はあきらめきれぬ夢がまだある」の問いの片歌に、「昨年の引越しのとき、荷物の整理をしていたら昔使っていた画材を発見しました。絵の具がまだ柔らかかったことに驚き、ずっと頭の片隅にあった画家になりたかった夢を思い出しました。問いの片歌を見たときに、この情景が自然に言葉になって『引き出しの絵の具のチューブまだやわらかい』」と付けた。
斬新で若々しい才能に贈られる「アルテア賞最優秀」を受賞した加藤さんは「砂時計こぼれるようにふりつもる今」の問いの片歌に、「夏の終わりごろに、あえて涼しいイメージをし、問いの片歌の『こぼれる』という言葉から、『夜露』『雫』という単語が連想され、それに重ねて『悲しみに更ける夜露の雫の音色』」と付けた。
廣瀬直人選考委員長は「応募作品の内容が年々、幅広く展開してきている。情緒的、感覚的など、それに、それぞれが触れ合い、重なり合って、大変、均衡が取れてきている。また、選考委員(4人)は、個性のバランスが取れているので、納得のいく選考ができたと」と総評した。
表彰式の後、受賞者は甲府市内にある連歌発祥の地「酒折宮」を見学した。
●大賞・佳作・アルテア賞 最優秀 選評
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