山梨学院パブリシティセンター
2009夏の甲子園“夏という名の宝物”
〜泣くな山学ナイン、君たちは永久に輝く光を放った〜
〜アルプススタンドは火の如く暑く熱く燃えた〜

第91回全国高校野球選手権大会5日目、壮行会直後にバスで母校を出発してから実に11日目、8月14日午後2時19分、山梨学院ナインは待ちに待った甲子園の舞台についに立った。9年ぶり4回目出場の山梨学院の対戦相手は、3年ぶり27回目出場の伝統校県岐阜商。両チームのエースはともに山田姓、守備からリズムを作り少ないチャンスを生かして県大会を勝ち抜いてきた似通ったチーム。戦前には1点を争う接戦が予想された。しかし、甲子園というところには本当に魔物が棲んでいるのだろう、1回裏に勝利の女神が県岐阜商に微笑んだ。先頭打者が四球で出塁した直後にヒットエンドラン、打球はショート鈴木悠介(2年 青葉緑東シニア)の差し出すグラブのほんのわずか先をライナーで抜けていった。あの時女神が山学に微笑み、打球がグラブに収まっていたなら、試合はまったく違う展開になっていたであろう。エースの山田祐也(3年 猿橋中)は立ち上がりの奇襲で7点を奪われリズムに乗り切れなかった。山学ナインは3回表に2点、8回表に4点を挙げて食い下がったが、試合の流れを変えられず2時間20分後の午後4時39分、14−6で敗退、平成7年以来14年ぶりの甲子園の1勝はならなかった。
前夜11時30分、33台の応援バスが甲府を出発、大応援団はお盆渋滞の中を懸命に甲子園に駆けつけ、アルプススタンドは火の如く暑く熱く燃えた。
≪夏の全国高校野球2回戦 山梨学院高VS県岐阜商≫ 於 甲子園球場
山梨学院高
0
0
2
0
0
0
0
4
0
6
県岐阜商
7
1
1
0
4
1
0
0
×
14
投手  山 学 山田祐―中根  岐阜商 山田智―桜田―松田
【本塁打】 山田智・井貝(岐阜)

試合は1回の攻防で全てが決まってしまった。1回表の山学が県岐阜商のエース山田智弘の立ち上がりを捉えられずに簡単に三者凡退で終わったのに対し、1回裏の県岐阜商は山学のエース山田祐也の立ち上がりを一気に攻め立てた。先頭の主将松田が四球で出塁すると2番藤田がヒットエンドランを決め、さらに意表をつくダブルスチールで揺さぶってきた。山田祐也は3番泉田は打ち取ったが、4番井貝に死球を与え、1死満塁から5番江崎にライト前ヒットを打たれて先制を許した。このあとさらに岐阜は6番児玉がツーランスクイズを決め、7番のピッチャー山田智が2点本塁打を放つなど打者一巡の猛攻、あれよあれよという間に一挙に7点を奪い試合を決めてしまった。山学は3回表に8番杉田康太郎(2年 羽村シニア)がショート内野安打で出塁、2死後に2・3塁のチャンスを作り2番鈴木悠介(2年 青葉緑東シニア)がサードの悪送球を誘う当たりで1点を返し、3番山田凌(2年 八王子シニア)のセンター前ヒットで2点目を上げた。さらに4番の主将羽田翔がレフト前ヒットを放ったが2塁ランナーが本塁を狙いタッチアウト。山学の投手は4回裏から中根龍也(2年 大田シニア)に代った。中根は岐阜の4番井貝に3点本塁打を与えた以外は、左腕のサイドスローという変則的な持ち味を生かして岐阜打線を打ち取り、来年につながる投球を見せた。山学打線は8回表2死1・2塁から反撃した、5番小林夏樹(2年 長野北シニア)がフェンス直撃のライトオーバー3塁打で2点、6番松浦航平(2年 青葉緑東シニア)のサードゴロエラーで1点、7番細谷竜児(3年 高崎ボーイズ)のレフトオーバー2塁打で1点、終盤に4点を返したが、力尽き14−6で敗退、甲子園で校歌を歌うことは出来なかった。
整列を終えた試合直後、アルプススタンドに向かったナインの目は真っ赤だった。投手の山田祐也も主将の羽田翔も悔し涙を抑えられなかった。その二人の間にもう一人の3年生レギュラー細谷竜児が割って入り、「俺たちはやったじゃないか、笑って夏を終わろうぜ」と声をかけその肩を組んだ。そうだよ、君たちは最高の夏を過ごした、最高の夏をプレゼントしてくれた。泣くな山学ナイン、君たちは永久に輝く光を放った。
羽田翔主将は「山田があんなに打たれたのは初めて。浮き足立ってしまい、自分たちの野球を甲子園で出来なかったことは悔しいが、甲子園という夢の場所でプレーすることが出来た。苦しいことが多かったが、最後に楽しい思いをすることが出来た。後輩たちは明日から来年に向けて一日一日しっかり練習して、全国制覇を目指して甲子園に帰って来てほしい」と後輩たちに後の夢を託した。山田祐也投手は「ここまでこれたのは支えてくれた人たちのおかげです、感謝の気持を持って投げました。新たな試練をもらったがチャンスをもらったと考えて、上で投げてみようと決意しました」甲子園という舞台を経験したエースは、たった1日で一回りも二回りも心を大きく成長させ、野球への愛情をさらに深めていた。平松茜マネージャーは「同級生や下級生の部員が『ありがとう』といってくれるのが嬉しくて頑張ってきたが、甲子園にまでつれて来てくれてとても感謝しています。山学大に進み将来は警察官になるのが夢ですが、マネージャーをやった経験はきっと大人になってから生きると思います」縁の下の力としてチームを支えたマネージャーはチームへの感謝を言葉にした。須田喜照監督は「試合結果は1回が全てという結果だったので、なんとも言えない複雑な気持だが、いい試練をもらったと考えたい。今年のチームは少ないチャンスをものにして県大会を勝ちあがり甲子園出場を果たしたが、全国大会では力がないと勝てない。選手は野球は楽しむだけでは勝てないことを学んだ」と語り、監督自身も初の甲子園で経験した試練と教訓を新チームに生かしていく考えを示した。(M.I)
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