2013年関甲新学生野球春季リーグ戦(第7節2戦目)は5月19日、群馬県の上武大学野球場で2試合を行った。第2試合は山梨学院大と白鴎大が対戦。山梨学院が5対3で勝利し勝ち点を獲得。山梨学院は3点をリードされた8回表、1番・酒井雄史(3年)の右前安打、2番・渡辺晶也(4年)の左前安打、3番・菊池紳弥(4年)の四球で無死満塁にすると、4番DH・那須大(1年)の右前適時打、5番主将・平井慎也(4年)の儀飛、6番・加賀美祐樹(3年)の中前適時打で3対3の同点。さらに9回表、代わった9番・鈴木悠介(3年)が四球を選び出塁すると1番・酒井雄史(3年)の犠打で一死二塁。2番・渡辺の左中間への三塁打で4対3と逆転。その上に投手暴投を誘い、渡辺が生還 し5対3と突き放した。守っては右腕・松尾勇太(2年)が2失点と粘りの投球で、投手キャプテン右腕・山田祐也(4年)にスイッチ。山田が甘く入った球を本塁打されるものの味方の反撃に繋げた見事な投球で、9回裏にエース・高梨裕稔(4年)のリリーフを仰ぎ、高梨が期待に応え抑え、松尾・山田・高梨右腕3人衆揃い踏みで5対3で勝利した。山梨学院は春季リーグ戦2季連続2回目(春・秋4季連続5回目)の準優勝となった。
□リーグ戦は最終節2日目を迎え、上武大が第1試合で作新学院大に勝ち春季優勝が決まり、準優勝の争いとなった山梨学院と白鴎戦。昨日、両校エースの投げ合いを制した山梨学院が勝ち点に王手をかけ迎えた一戦。秋季1位・白鴎、2位・山梨学院の戦いでどちらも負けられない2位攻防。山梨学院は大型右腕・松尾勇太(2年・米子西高)を、白鴎は第4節第1戦目などに登板している阿久澤樹(桐生第一高)を先発に起用。連日、晴れ渡った上武大学球場。上空には薄雲が広がり皐月の風がバックスクリーン上の大会旗を爽やかに揺らす。球審のプレーボールの右手があがった。
●関甲新学生野球春季リーグ戦(第7節2戦目)【 山梨学院大学 対 白鴎大学 】上武大学野球場
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●【山梨学院】
●[投手]松尾勇太 投球回数4回、打者19、打数17、投球数66、安打6、犠打1、四球4、三振1、失点2、自責点1
●[投手]山田祐也(勝ち 2勝3敗)投球回数4回、打者15、打数14、投球数56、安打2、本塁打1、四球4、三振3、失点1、自責点1
●[投手]高梨裕稔 投球回数1回、打者5、打数5、投球数17、安打1、三振1
●[捕手]田中貴也
●[長打]〈二塁打 菊池紳弥〉〈三塁打 渡辺晶也〉
●【気象状況(午後1時00分)】天気(晴れ)、気温(23度)、湿度(40%)、降水量(0mm/h)風向(南東5m/s)
◆1回裏、山梨学院のマウンドに大型右腕・松尾勇太(2年・米子西高)があがった。松尾が1番打者に二遊間を抜ける中前安打され、犠打で一死二塁とされるものの、3番打者と4番打者を遊撃ゴロに打ち取り無難な立ち上がり。
◆3回表一死後、8番・藤田峻太(2年・松本第一高)が死球で出塁。二死後、1番・酒井雄史(3年・木更津総合高)の中前安打で一死三塁と攻めるも、後続が倒れチャンスを潰す。
◆3回裏、右腕・松尾勇太が先頭の8番打者に右前安打を許す。9番打者のバントを捕手・田中が二塁封殺し一死一塁。松尾が、1番打者に左線へ二塁打され一死二三塁とすると、2番打者に四球を与え一死満塁。続く、3番打者に初球を狙われ左前適時打を放たれ0対1とされる。
◆さらに4回裏、右腕・松尾勇太が先頭の6番打者に三遊間を破られ出塁を許す。7番打者のバントを捕手・田中が二塁封殺し一死一塁。松尾が、8番打者の左前安打で一死一二塁とし、9番打者を遊撃ゴロに仕留め併殺と思われたが、二塁封殺から内野手が一塁に悪送球し0対2とされる。
◆5回表、先頭の6番・加賀美祐樹(3年・東海大甲府高)が中前安打で出塁。二死後、9番・角田元気(2年・埼玉栄高)の四球で二死一二塁としたものの後続が打ち取られる。
◆5回裏、山梨学院は良く踏ん張った大型右腕・松尾勇太から投手キャプテン右腕・山田祐也(4年・山梨学院高)にスイッチ。山田が2番打者を左飛に、3番打者を右飛に6球で打ち取る。4番打者に甘く入った初球を右越え本塁打され0対3とする。山田が怯むことなく5番打者を、初球ストライク、2球目ファール、3球目で遊飛に打ち取る力投。
◆6回表一死後、3番・菊池紳弥(4年・学法石川高)が初球を左線へ二塁打を放つと、4番DH・那須大(1年・東稜高)の一塁ゴロで二死三塁とするが後続が打ち取られチャンスを逸する。
◆7回表一死後、7番・田中貴也(3年・八重山商工高)が右前安打で出塁するも後続が打ち取られる。
◆7回裏二死後、右腕・山田祐也が左前安打で出塁を許すも、3番打者を空振り三振に打ち取る力投。
◆8回表、先頭の1番・酒井雄史(3年・木更津総合高)が右前安打で出塁すると、2番・渡辺晶也(4年・山梨学院高)の左前安打で無死一三塁。3番・菊池紳弥(4年・学法石川高)が、代わった白鴎エースからストレートの四球を選び無死満塁。4番DH・那須大(1年・東稜高)の右前適時打で酒井が生還し1対3。続く、5番・主将・平井慎也(4年・富士学苑高)の中儀飛で渡辺が生還し2対3。一死一二塁、6番・加賀美祐樹(3年・東海大甲府高)の二遊間を抜ける中前適時打で菊池がホームに滑り込み3対3の同点とする。
◆8回裏、右腕・山田祐也が4番打者を見逃し三振、5番打者を空振り三振、6番打者に四球を与え二死一塁とするも、7番打者を空振り三振に仕留める快投。
◆その9回表、この回から代わった先頭の9番・鈴木悠介(3年・山梨学院高)がストレートの四球を選び出塁すると、1番・酒井雄史(3年・木更津総合高)の犠打で一死二塁。2番・渡辺晶也(4年・山梨学院高)の左中間への三塁打で鈴木が還り4対3と逆転すると、相手投手の一球目がワイルドピッチとなり、渡辺が難無く生還し5対3と突きはなす。
◆9回裏、山梨学院は満を持してエース・高梨裕稔(4年・土気高)をマウンドに送る。高梨が8番打者を内野ゴロに打ち取るが野手失策で出塁を許す。続く9番打者代打を左飛に、1番打者を右飛に打ち取り二死一塁。続く、2番打者に左前安打され二死一二塁とされるが、3番打者を空振り三振に打ち取りゲームセット。
◆山梨学院は白鴎に連勝し勝ち点をあげ、春季リーグ戦2季連続2回目の準優勝。これで山梨学院は平成23年秋季から4季連続通算5回目の準優勝となった。
□逆転の三塁打を放った2番・渡辺晶也(4年・山梨学院高)は「最高です」と一言。「ああいう場面で打つということを、去年の秋から地道にやって来たので良かったです」としみじみと噛みしめる。渡辺は昨秋の関東大会二回戦、9回裏の二死満塁で一打がでずにゲームセットとなった。この経験を生かし「何を考えてもしょうがないので、来るボールを打つことだけに集中した」と、「真っ直ぐの、やや高め、完璧だった」と、「左中間へ飛ぶとは思わなかったが、それを見て全力で走り、2塁を回ったあたりからヘッドスライディングで行こうと判断し、迷わず頭から行った」と、地味な男が三塁へ滑り込んだ瞬間ベース上で両腕を上下にスイングし喜び、立ち上がり三塁ベンチの仲間に ガッツポーズをし誇示した。「秋は優勝し、関東大会で勝ち抜き神宮に行きたい」と拳を握りしめた。
□山田祐也は『立ち上がりホームランを打たれたのが、反省点』と話の口火を切った。「初回から準備していた。2対0だったので、自分が確りリズム良くゲームをつくればいけると思い」マウンドに向かった。投げては「真っすぐも、変化球もコーナーに決まっていた」と調子は良かった。それだけに「ホームランの1点は、痛い1点と思った」と唇を噛む。「味方が8回に同点にし、9回表に逆転してくれて、高梨が抑えてくれた」と目を伏せた。勝ち投手になったのは「ただただ、チームに感謝したい」と照れ笑い。「秋には、チームに恩を返したい」と謙虚に述べた。
□主将・平井慎也(4年・富士学苑)は「序盤相手のペースで点を取られてしまったが、何とか粘り強くやった結果、逆点で勝てた」と淡々と述べ、投手陣は「先発の松尾は再三ビンチを背負いながらバックの粘りもあり要所要所を抑えてくれ、山田はホームランを打たれたものの良い流れをつくってくれた。高梨が最後きっちり締めてくれた」。打撃陣は「相手のミスや四死球を絡めながら良い繋がりができている。勝負強さが持続できている」と振り返った。「万年、2位だが、後一歩と言うところまで来ているので、秋季リーグには上武に勝って優勝して、関東で勝ち神宮の切符を手にしたい」と笑顔で語った。
□高橋一三監督は「選手は次に繋がるゲームをしてくれた」と開口一番。「優勝が決まった後の一番だっただけに、残念だった」とトーンを落とす。「2季連続2位、4季連続か」と感慨深い面持ち。一息して「今日のゲームは3点リードされて、投手が凌ぎ、打線が後半の粘りで逆点して勝った。内のチームに、力が付いて来たことを沁沁感じた」と語った。「個々の成績も昨年に比べていい成績を残した」と深く頷く。「ほんの、一歩」と力を込める。「上武に勝てるゲームを落としてしまった」と悔やみ、「チームが、この悔しさを秋季リーグ戦に生かしてくれると信じている」と球場を後にした。
文(H.K)、カメラ(平川大雪)
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