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第98回全国高等学校野球選手権大会第1回戦
〜山梨学院が速攻・猛打5対3で長崎商を破る〜
〜21年ぶりの1勝『猛打』が『固守』を上回る〜

第98回全国高等学校野球選手権大会第3日第2試合の第1回戦、山梨学院 対 長崎商戦が8月9日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で行われた。5年ぶり6度目出場の山梨学院が29年ぶり7度目出場の長崎商を5対3で破り、初戦を飾った。後攻の山梨学院は1回裏、1番・土田佳武が初球を左前安打し出塁。続く、2番・宮下塁の初球狙いの左越え適時二塁打で先制、さらに長崎商の送球失策の間に進塁。無死三塁、3番・知見寺代司の中前適時打で1点を追加し、わずか4球3連打の速攻で2対0とした。3回裏には4番主将・瀧澤虎太朗の中犠飛で3対0。7回裏には3番・知見寺の左犠飛で4対0。4番主将・瀧澤の中前適時打で5対0と長崎商のエース本田一政を撃ち込む。投げては先発の左腕・吉松塁が5回2/3を138キロのストレートにスライダーを織り交ぜながら、相手に的を絞らせない投球内容で、被安打3、奪三振2、四死球2、失点0と好投。救援したエース栗尾が139キロのストレートと多彩なスライダーで3回1/3を被安打2、奪三振1、四死球3、安打2で5対3と追撃されたが、エースとして粘る長崎商を抑えた。山梨学院の猛打が長崎商の固守を上回り、山梨学院は1995年初出場の第77回大会以来、21年ぶりの1勝を決め、通算勝利数を2勝として2回戦へ駒を進めた。2回戦は、三重県代表のいなべ総合と8月14日第1試合で戦う。

◆山梨学院は県大会5試合で、攻めては77得点と県新記録を樹立の切れ目のない猛打線は、どこからでも得点ができ、1試合平均15.4点。守っては2年生投手の三羽ガラス「栗尾」「宮内」「吉松」を中心に10失点と、1試合平均2失点と堅い。長崎商は県大会5試合で、攻めては少ないチャンスを確実にものにする20得点で、1試合平均4点。守ってはエース本田の45イニング(5試合)完投を中心に5失点と、1試合平均1失点と堅い。山梨学院の『猛打』と長崎商の『固守』の戦いが注目されるカードとなった。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 合計
長 崎 商 0 0 0 0 0 0 0 1 2 3
山梨学院 2 0 1 0 0 0 2 0 × 5
【二塁打】土田、宮下(山梨学院)、森海(長崎商)
【盗塁】平野(長崎商)
【捕逸】小出(長崎商)
 投    手 投球回数 打者 投球数 安打 本塁打 犠打 犠飛 四球 死球 三振 暴投 ボーク 失点 自責点
吉松 塁
(左)
52/3 21 90 3 0 0 0 2 0 2 0 0 0 0
栗尾 勇摩
(右)
31/3 16 61 2 0 1 1 2 1 1 0 0 3


山梨学院打撃成績

◆甲子園球場午前9時現在(日本気象協会発表)の天気は、晴れ・気温30.1度・湿度78%・風向北西・風速2m/s。午前10時50分試合開始のサイレンとともに、山梨学院と長崎商の代表選手がダッグアウト前からホームベースを挟み整列。主審のプレーボールで熱戦の火蓋が切って落とされた。

◆1回表、後攻の山梨学院は左腕・吉松塁(2年)がマウンドに上がった。吉松は、1番・澤山に右前安打、2番・吉田を遊撃ライナーに仕留め6-3の併殺。続く3番・平野に四球を与えるが、4番・小出を中飛に討ちとり長崎商の攻撃を封じた。
◆1回裏、山梨学院は1番・土田佳武(3年)が初球を左前安打し出塁。続く、2番・宮下塁(3年)も初球を狙い左越え二塁適時打を放ち、土田を生還させ先制。長崎商の送球ミスの間に宮下が三塁へ進塁。無死三塁、3番・知見寺代司(3年)が1-0からの2球目を中前適時打し、宮下が本塁を踏み、わずか4球の速攻で3連打を浴びせ2対0とした。
◆3回裏、先頭打者の2番宮下が左前安打で出塁。続く3番・知見寺の犠打で一死二塁。4番主将・瀧澤虎太朗(3年)の打席で捕手逸球により三塁に進塁。瀧澤の中犠飛で3対0とし長崎商を突き放す。
◆4回裏、6番・松尾孝太(2年)が中前安打で出塁。7番・青野岳史(3年)の犠打で一死二塁。8番・松吉が四球を選び一死一二塁。9番・広瀬巧真(2年)の捕手前バンドが三封となり二死一二塁。1番・土田の二塁内野安打で二死満塁。2番・宮下は内角直球を思い切るが空振り三振に倒れ、追加得点のチャンスを逸した。
◆6回表、吉松は二死後、2番・吉田に一塁側へのセーフティバントを決められると、続く3番・平野にストレートの四球を与え二死一二塁。4番・小出を2ー2と追い込んだところで、吉田監督がエース右腕・栗尾勇摩(2年)に投手交代。エース栗尾は監督の期待に応えて小出を外角スライダー1球で左飛に仕留め火消し役を務めた。
◆7回裏、山梨学院は先頭の9番・広瀬が中前安打で出塁。続く、1番・土田が初球を左中間フェンス直撃の二塁打とし無死二三塁。一死二三塁後、3番・知見寺の左犠飛で4対0。二死二塁後、4番主将・瀧澤の中前適時打で5対0と大きく突き放す。
◆8回表、エース栗尾が先頭の8番・本田に死球を与え無死一塁。ここで長崎商が9番・井上に代打・池田を送る。栗尾が代打・池田を投手ゴロに打ち取ったが、二塁に悪送球し無死一二塁とする。すると長崎商が動き、一塁走者に代走・元村を送る。栗尾は1番・澤山の投手前犠打をさばき一死二三塁とするが、2番・吉田の中犠飛で5対1とされる。
◆9回表、吉田監督は守備固めで右翼手・松尾を西村航(3年)に交代。エース栗尾が先頭の5番・田中に四球を与え無死一塁。ここで吉田監督が左翼手・土田を小林勇望(3年)に交代し守備固めを徹底する。すると長崎商の監督は6番・辻に代打・森善を送る。代打・森は起用に応えて右前安打し無死一三塁。栗尾が7番・森海に右前適時打され5対2。無死一二塁、8番・本田に投手前に犠打され一死二三塁。栗尾が9番・池田碧を遊撃ゴロに打ち取るが、その間に三塁走者が生還し5対3と追い上げられる。栗尾は落ち着いて1番・澤山を左飛に仕留めて試合終了とし、2回戦進出を決めた。

◆4打数3安打7割5厘2得点と大暴れした切り込み隊長の土田佳武(3年)は、8月2日の「甲子園練習で力み6-4-3の併殺に終わった」。その教訓を生かし「打撃練習で力みをなくす調整をし、打撃の感触は戻っていたので、甘い球は初球から積極的に行こうと思った」と打席に集中した。初球「スライダーが外角に甘く来たので、迷わず叩き、レフト前に運んだ」と、切り込み隊長としての仕事ができたことに、改めて満面笑みがこぼれた。今日の打撃の成績は4打数3安打、5点中2回生還した。「上出来です」と照れ笑い。刹那して「こうゆう時こそ、気を引き締めて、さらに調整して、県大会どおりの自分たちの持っているものを出して、いなべ総合戦は戦いたい」と、終始笑顔で控えめに述べた。
◆アクティブ2番打者・宮下塁(3年)は「佳武が先頭で出てくれたので、『ヨシ』と思い」気合を入れて打席に入った。投手と対峙して「外の真っ直ぐをイメージどおり捉えられた」と、打球はレフト後方にグングン伸びていく「うまく風に乗せられた」とレフトオーバーの三塁適時打で先制した。「チームに勢いを与えられて良かった」と淡々んと述べる。4回の二死満塁のチャンスでの内角直球空振りも「チャンスで積極的に、打っていけるところが自分のいいところ、次にはさらに研鑽してチャンスをものにしたい」と臆するところがない。
◆2安打2打点1犠打1犠飛の10割とパーフェクトの3番打者・知見寺代司(3年)は「1、2番が勢いをつけてくれたので、その流れに乗ろうと思って打席に立った」と静かに語る。「初球ボールの、2球目の高めに浮いたスライダーを上手く打ち返せた」と振り返る。これで山梨学院は4球で2対0として、完全に山梨学院ペースに引き込んだ、価値の高い一打。「無我夢中で、たま、たま」の結果。それに「10割も嬉しいが、それより7回に瀧澤とあげた2得点が嬉しい」と切り返す。「チームにとって終盤で3対0と5対0ではかかるプレッシャーが違う」と頷く。「全て嬉しいが、今日のことは忘れて、初心に立ち返り、いなべ総合に立ち向かいたい」と早くも次の戦いに向けて気持ちをリセットしていた。

◆先発した左腕・吉松塁(2年)先発は「試合直前に言われた」と飄々と答える。極自然に「自分が先発するんだと、決めていたので心の動揺はなかった」と頼もしい。「今日は、真直ぐとスライダーで勝負した。決め球は、スライダーだった。その時その時で攻めかと決め球は違うようにしている」と意外とクレバーな選手。球種は「真直ぐに、スライダー、カーブ、チェンジアップなど」と豊富。常に「的を絞らせない投球を心がけている」とあくまでポーカーフェースを貫く。県大会よりイニングが長かったが「イニングは気にはしていなかった。体力はあるし、まだまだ投げられた」と涼しい顔。「中学でも7イニングは投げていたので」と珍しくアピールしてきた。次回は「チャンスがあればいつでもいける」と初めて笑みがこぼれた。
◆リリーフしたエース右腕・栗尾勇摩(2年)は「試合前から『一回から行く準備はしておけ』と監督からいわれていた」ので、「準備は試合状況を見ながら体を慣らしていた」。8回、先頭打者に死球を与え、投手ゴロを二塁へ悪送球して、自分でピンチを招いてしまった。9回には先頭打者に四球を与えピンチを招き皆んなに迷惑をかけた」と反省頻り。「6回に流れを切りかけたのに、自分で相手の流れを呼び込んでしまった」と自己分析。「皆んなに助けられた。今度は自分が流れを切れるように確り修正したい」と唇を噛む。心機一転、エースとして「自分に厳しく、追い込むとこは追い込んで、仕上げたい」と大きく頷き自分にフィードバックしていた。

瀧澤虎太朗主将(3年)はチームの攻撃に関して「1回の1、2番の攻撃でリズムに乗れた」と感謝した。良くなかったのは自身のバッティングで「1回の1-6-3と5回の6-4-3の2つ併殺は納得がいかない」と厳しい。3回の中犠飛と7回の中前適時打の2打点にも笑顔がない。「どんな投手にも対応できるように残り5日間で確り準備したい」とさらに主将として高みを目指す。守りでは、9回「栗尾が勝ちが見えたところで、力みリズムを崩した。早く自分たち周りが声をかけて、リズムを崩さないよう、次回から心がけたい」とキャプテンシーを実感させるコメントの後、次の戦いに向けて顔を引き締めた。

◆21年ぶりの1勝を指揮した吉田洸二監督はオフェンス面で、打撃は水物ととかくいわれる。「うちは打撃のチームなので、山梨県大会から空いて、久しぶりの試合だったので多少の不安があった」。「先取点をとつて、早く波に乗りたかった」と頷く。「一歩間違うと、明暗が分かれた1回の攻防だった」と振り返る。「相手は無死一塁でショートライナーのダブルプレー。うちは4球で2点あげた。一歩、間違っていたら0対2でリードされ、相手のペースにはまっていたかもしれない」と苦笑い。「1、2番のコンビで、うちがリズムに乗った」と感謝の笑みがこぼれる。ディフェンス面では「吉松が良いのか悪いのか、程よく荒れていて、つかみどころがなくて変えどころが難しかった」と複雑な様子。「吉松は球の出処がわからない投手。ストライクゾーンに入ればどうにかなる投手」と信頼をよせる。エース「栗尾は今日は教訓になったと思う」と目を落とした。「8回は、死球で出塁させ、それを帳消しにする投手ゴロを、二塁へ悪送球して無死一二塁とした。併殺できるところなのに、二死と無死一二塁では全然違う」と語尾が上がる。「9回には先頭打者に四球や連打を浴びるなど2点奪われた」。決して「エースとして栗尾自身も満足のいく投球でなかったと思う」と深く息を吸い込み、「監督も栗尾も勉強中です」と栗尾と寄り添う。栗尾が持っている「潜在能力を引き出したい」と期待を寄せる。「いなべ総合は2年生投手が二人いる。そして左打者も6、7人いる。非常に、うちのチームによく似ている」タイプが同じでやりづらい相手。目線を上げ「是が非でも、山梨学院の70周年を記念して、2回戦を突破して、新たな一歩を踏み出したいですね」と指揮官が先を見据えた。

文(H.K)、カメラ(平川大雪・藤原稔・今村佳正)2016.8.9

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全国高校野球選手権大会 山梨学院高応援団
~大応援団の声援に勇気づけられ初戦突破~


8月9日、第98回全国高校野球選手権大会3日目第2試合目、山梨学院高校野球部は5年ぶり6度目夏の甲子園の土を踏んだ。1塁側アルプススタンドは約2,000人の山梨学院高応援団が陣取った。生徒、教職員の応援団は深夜1時に甲府を34台のバスに分乗して午前9時前に到着。試合が始まる11時前に保護者応援団、一般の応援を含め応援の体制を整えた。甲子園は、容赦なく照りつけ試合が始まる時には33度を越える猛暑日となった。

応援のボルテージは初回からヒートアップした。先頭打者が安打、続く3塁打で先制するとアルプススタンドに陣取った約2,000人の大応援団は勢いづいた。野球部の応援団、鉢巻袴姿の2人の女子応援団、チアリーダー部、吹奏楽部が中心となり、生徒・保護者たちがメガフォンを手に取り大声援を送った。3回・7回に得点を加えるとさらに声援が増し、巨大な甲子園球場に響き渡った。

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