VOL292 6月18日
五十嵐二葉 山梨学院大学大学院教授
『表現の自由とプライバシーの保護を問い直す』
〜シンポジウム・地域交流プログラム開催で奔走〜
今年度、山梨県甲府市の山梨学院大学に法曹を育てる法科大学院(小野寺規夫法務研究科長)が誕生した。法曹を育成するために経験豊富な実務家教授陣が着任した。弁護士でマスコミ学会会員の五十嵐二葉さんも招聘された一人。五十嵐教授は「これからの大学は、社会との接点が多い開かれたアカデミズムの思想が大切」という。同大学院の、地域交流プログラムの一つとして6月30日に日本ペンクラブと共催で行われる、シンポジウム『表現の自由とプライバシーの保護を問い直す』のスタッフとして、開催に向けて奔走している。「表現の自由とプライバシーの保護をめぐる相克は古くて新しい問題です。近年でも、個人情報保護法の成立、あるいは柳美里『石に泳ぐ魚』事件や田中真紀子氏の娘の週刊文春発売差止事件などは、お昼のワイドショーなどでも取り上げられ地域の方が関心を寄せているだけに、自然体で相互交流ができる」と期待する。今回は「パネリストが、作家、歌人、編集者、弁護士、教授というメンバーなので、“文芸作品の自由”と“プレスの自由”におけるプライバシーの保護をめぐる諸問題を問い直したい」という。例えば“プレスの自由”で「プレスには国民の知る権利を担保するために報道の自由が与えられている。田中真紀子氏の娘の週刊文春発売差止事件は、新聞についても起こる危険性があり、毎日発刊される新聞が一つの記事を問題として差し止められたら、プレスは他の記事を国民に知らせる事ができなくなり、国民の知る権利が侵されるという問題が発生することについても論じたい」と、また、“文芸作品の自由”で「柳美里『石に泳ぐ魚』事件と車谷長吉裁判にみる文学的評価とプライバシー侵害の有無について議論したい」という。「兎にも角にも、多くの方々に参加していただき、こうした今日的な課題が一緒に探れたらと思います」と目を輝かして語る。当日は二部構成で、第一部を文学者等による表現者からの発言、第二部はこれを受けて法律家からの問題点の指摘で第二部の後半では参加者の会場発言も含めた公開討論とするので、ふるって発言してほしいと期待している。
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五十嵐二葉(いがらし ふたば)教授 プロフィール
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シンポジウム・
ポスター
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パネリスト・コーディネーター紹介