山梨学院小起業プランコンクール
アントレプレナー教育の一環で開催
自ら課題を発見し解決する力を養う

全国的にも数少ない小学校で起業家に必要な資質や能力を育てる「アントレプレナーシップ教育」を実践している山梨学院小学校で29日に5年生による「起業プランコンクール」が開催された。 県内外で活躍している企業経営者や実業家が審査に当たり、子どもたちの柔軟な発想とプレンゼンテーション能力を審査した。「正解を覚える力」ではなく、「自分で課題を見つけ、創造的に解決する力」を育む教育が注目されている。
日本語に直訳するとアントレプレナーは「起業家」、シップは「精神」と翻訳されるが、「アントレプレナーシップ教育」について、文部科学省は「自ら考えて行動し、従来の枠組みにとらわれない新たな価値を生み出せる精神を育成する教育」として、社会で活躍できる人材を育む教育の普及に乗り出している。ただ、実施しているのはまだ一部の大学と一部の小中高にとどまっている。山梨学院小は全国的にも最も早い段階の平成18年から取り組みを始め、今年度は、5年生の大きな学びとして「アントレプロジェクト」を9月に始動、2か月間の研究成果を発表する形で、保護者を招き、29日に「起業プランコンクール」を開催した。午前9時からの予選会を突破した8チームが最終審査会に進み、それぞれがiPadで作成したプレゼン動画を大型プロジェクターの大画面で発表した。審査の結果、1位はもったいないをテーマに、規格外野菜や食品ロス低コストレストランの経営計画を発表した「Body kind Restaurant」チームが選ばれた。審査員の一人で、講師として子供たちの指導に当たった山梨県初の学生起業家で現在は会社経営の傍ら起業家育成や事業創造にも力を注いでいる戸田達昭氏は「普段の学校の勉強は100点を取る勉強ですが、世の中に出ると100点は自分で決める。ここまでやれた、あるいはもっとやれたかの判断は自分で決めるものです。どのグループも、みんなの力を合わせて、ここまでやろう、もっと高めようと高濃度に作り上げていて感心しました」と児童に語りかけ、それぞれのグループの努力を称えた。指導に当たっている長田直美教諭は「急速に変化する社会に求められている行動力、問題解決能力、創造力といった汎用的なスキルを育成するための一つとしてアントレプレナーシップ教育を取り入れています。始める前はちょっと難しいのかなと思いました。途中チーム内で意見がぶつかり合ってしまったり,まとまらなくて泣いてしまったりすることもありましたが、どうしたらいい形にできるのか、みんなで意見を出し合い、協力して創り上げる姿がたくさん見られました。コミュニケーション能力、新たな価値を生み出す力、チャレンジする精神、さまざまなスキルが身についたなと感じています」と話している。点を取るための勉強とは異なる、社会で活躍できる人材を育む「教育」が改めて注視されている。
文(M.I)・カメラ(平川大雪)2025.10.29

