伝統野菜長禅寺菜を復活させよう
信玄公ゆかりの野菜を栽培し採種
山学幼稚園児が普及キャンペーン

武田信玄公ゆかりの「甲府五山」筆頭の名刹甲府市愛宕町の長禅寺の畑で最初に栽培された由来から「長禅寺菜」と呼ばれる市場にほとんど出ない地場野菜がある。江戸時代から昭和40年頃までは甲府盆地で盛んに栽培されたが、野沢菜の栽培が広まるにつれて生産者が激減し一時は途絶えそうになった。危機感を抱いた南アルプス市の農家山田久美子さんが幻の野菜を蘇らせようと農業法人を立ち上げて復活に乗り出した。この活動に山梨学院短大の学生や山梨学院幼稚園の園児たちが協力、短大生は昨年レシピを開発、幼稚園では昨年の年長さんが「長禅寺菜守り隊」を結成して栽培に取り組み、今年の年長さんは「2代目守り隊」として栽培を引き継ぎ種も採取、17日にイトーヨーカドー甲府昭和店で園児たちが普及キャンペーンを行った。
長禅寺菜は独特のほろ苦い味が特徴で、漬物にすると苦みが旨味に変わることからかつては甲府盆地独特の漬物用野菜として親しまれていた。昨年、山梨学院短大食物栄養科の学生たちがパスタと組み合わせた新レシピを開発。幼稚園児は園の畑で栽培に取り組んだ。今年は、2代目守り隊の園児が奮闘し栽培を春と秋の2回行いその種も採取した。
17日の普及キャンペーンは、イトーヨーカドー1階エントランスホールで行われ、2代目守り隊の園児56人が参加した。子どもたちは代わる代わるマイクを持って長禅寺菜の良さをアピールし、幼稚園オリジナルソング「長禅寺菜の歌」を披露、♪ちょ、ちょ、ちょ、長禅寺菜、栄養たっぷり長禅寺菜、守りたい、増やしたい♪と声を合わせて大合唱。買い物に訪れた人は思わず足を止め、園児の可愛いコーラスに笑顔で拍手を送っていた。富士の国山梨観光キャラバン隊長の「武田菱丸」君も登場、園児と一緒に伝統野菜のPRに一役買っていた。園児たちは採取した種を訪れた人たちに贈り「ぜひ作ってみてください」と呼びかけた。会場の一角では、今朝収穫したばかりの長禅寺菜の即売会も行われ好評を博していた。園児の普及イベントに駆けつけたきらめき久美ファームの山田久美子さん(山梨学院短大の卒業生)は「伝統野菜を守ろうとして下さる方々が増え、皆さんと一緒にその輪をさらに広めて守り伝えていけたらいいなと思っています」と話す。途絶えつつあった伝統野菜の長禅寺菜、それを復活させようという試みが様々な人を繋げている。次の山梨を作る園児たちにも繋がっている。
文(井出昌孝)・カメラ(平川大雪)2025.12.17

