山梨小麦プロジェクト「山梨県産食材を使ったパンレシピコンテスト」
学生がアイディアや工夫を凝らしたパンを開発
県産小麦「かいほのか」と県産食材を活用する

山梨小麦プロジェクト「山梨県産食材を使ったパンレシピコンテスト」が8月28日、山梨学院短期大学スイーツ館2階カフェテリアおよび3階製菓実習室で行われた。このパンレシピコンテストは今年が初めての開催。若い発想を取り入れて山梨のパン業界を盛り上げようという目的のもと、山梨県パン協同組合と山梨学院短期大学の共催で開催。今回は、山梨県パン協同組合から3名の審査員が審査を行った。学生は午前中からパンの製造を開始し、その後、1グループ約10分間の審査を実施、学生によるプレゼンと審査員との意見交換を行った。その結果5チームの中から、山梨学院短期大学食物栄養科2年の橘田美音さん、深澤あやのさん、細川侑南さんのチームが考案した「すりだね香るカレーパン」が山梨県パン協同組合理事長賞を受賞し、山梨県パン協同組合の小野曜理事長より表彰状が授与された。吉田のうどんに使われる辛味調味料「すりだね」を使ったこのカレーパンは、今秋以降県内の店舗で販売される予定。メンバーの細川さんは受賞した気持ちについて、「何度か試作を重ねて色々なところで苦労をしたので、賞を頂けてすごくうれしいです」と笑顔で喜びを語った。
山梨小麦プロジェクトは、パン用の山梨県産小麦「かいほのか」の普及啓発のため、2014年から始まったプロジェクト。山梨学院短期大学の学生は、以前より本プロジェクトに携わっている。コロナ禍により2020年以降は活動を縮小していたものの、昨年より本格的に活動を開始した。今回のコンテストはそのプロジェクトの一環であり、「かいほのか」と山梨県産食材を組み合わせたパンの商品開発を課題とし、山梨県パン協同組合より選出された3名の審査員が審査を担当。審査は学生によるプレゼンと審査員による質疑応答を通じて実施され、1グループ約10分間の持ち時間で行われた。評価基準は、外観(見た目・成形)、味・香り、素材の活用、創造性・アイディア、技術・完成度の5段階評価により行われた。今回は5つのチームがエントリーし、「甲州味噌」を使用したパンや県産のさつまいもである「あけの金時」を使用したパン、上野原市の郷土料理である「せいだのたまじ」を使ったパンなど学生たちの工夫を凝らしたパンが出品された。審査で最高得点を獲得したグループには、山梨県パン協同組合理事長賞が授与され、組合員の店舗にて実際に商品が販売される予定となっている。
審査及び授与式
審査及び授賞式は、山梨学院短期大学スイーツ館2階カフェテリアで行われ、コンテストに参加した5つのグループのメンバー、審査員を含む関係者、指導教員、職員などが出席した。司会進行を関戸元恵食物栄養科准教授が務め、初めに山梨学院短期大学・羽畑祐吾学長が挨拶した。挨拶では「今回のレシピコンテストは、山梨学院短期大学の今年度の学生チャレンジプロジェクトに採択されています。山梨県パン協同組合様とは、学生が卒業後プロになっていくにあたり、どのような形でレシピ作りや商品化の能力を伸ばしていくか、ということからこのプロジェクトは出来上がりました。本日は実際に皆さんがこれからプロになっていく、食品に携わっていくということを考え、先生方からの様々なコメントを頂きました。卒業前には卒業試験にあたる専門的実践力試験もあります。ぜひ、今回頂いたコメントを活かして、益々実践力を伸ばして頂きたいと思います」とねぎらいの言葉とともに学生への期待を述べた。続いて、山梨県パン協同組合の小野曜理事長より結果が発表され、山梨学院短期大学食物栄養科2年の橘田美音さん、深澤あやのさん、細川侑南さんのチームが考案した『すりだね香るカレーパン』が山梨県パン協同組合理事長賞を受賞し、表彰状が授与された。『すりだね』とは富士吉田ではお馴染みのご当地調味料。砕いたそうめんを衣として使用して揚げることで、パリパリとした触感が斬新で、食べていて楽しい作品となっている。また、カレーとパン生地の間にはスライスチーズを入れて流行も抑えた点が工夫されている。小野理事長は、「最初にまず、商品が素晴らしく審査が大変だなと思いました。厳しい質問もしたかもしれませんが、皆さんには学生のうちに様々な勉強をして吸収をし、自分の気持ちをみんなにきちんと伝える、そして相手の気持ちも自分にわかるように、そのためにはどうしたら良いかということを商品の中で表現してほしい」と学生へのエールを送った。また、「(理事長賞を受賞したパンは)私達が作っても同じように作れるか心配なくらい良いものが出来上がっています。また、ミックス粉を使わず、自分たちでかいほのかや薄力粉をブレンドして作ったという点や当たり前のカレーパンを当たり前ではないように作った点も評価が高いです」と、理事長賞を受賞したパンへの評価も語った。小野理事長からは、参加学生全員にパン切包丁がプレゼントされることも発表され、学生たちも喜びの表情を見せた。その後、参加学生や審査員、指導教員ら全員で円陣を組み、小野理事長直伝の朝礼を皆で行い授与式は閉会となった。
審査員のコメント
審査を務めた、山梨県パン協同組合に所属する丸十平林製パンの平林洋仁さんは「正直美味しかったです。商品化できる、できないというところでは様々な思いがありますが、どのパンもとても美味しかったです。これからも自信を持って作ってください」と学生へ激励の言葉を送った。
丸十山梨製パンの梅本学さんは「皆さんのクオリティがとても高く、点数をつけるのにとても苦労しました。それだけ皆さんの技術が高くてびっくりしました。この先皆さんに行ってほしいのは、パンを作る技術もそうですが、自分たちの舌を作ってほしいと思っています。様々な味の層を食べてもらって、何か標準なのか、何か美味しいのかという絶対的なものを皆さんの中で作っていただければ、もっとよりおいしいパンを作れると思います」と、学生たちへのアドバイスを送った。
出品作品




授与式後のインタビュー
授賞式後、最高賞を受賞したチームメンバーの細川侑南さんは、理事長賞を受賞した気持ちについて、「何度か試作を重ねて色々なところで苦労をしたので、賞を頂けてすごくうれしいです」と喜びの表情を見せた。また、橘田美音さんは、「1番苦労した点は衣を何にするかという点です。様々なもので試してみて、食べづらかったりずっしり感がきてしまったりしたのですが、そうめんはパリパリ感が出てとてもおいしかったので、そこが工夫した点です」と、試行錯誤した点を語った。深澤あやのさんは今後の商品化に向けて「たくさん苦労して試作を重ねて作ったものなので、たくさんの人に興味をもって、手に取ったり食べてもらったりしたらとてもうれしいです」と、商品化に向けての期待を語った。3人の開発した「すりだね香るカレーパン」は、今秋以降に県内の店舗で商品化される予定となっている。
文(R.Y) カメラ(平川大雪) 2025.8.28