「甲斐のもち雫」が1位に。山梨学院短期大学パンレシピコンテスト
県産小麦と県産食材で新しいパン作り
6グループが工夫し合い高いレベルに

2026山梨県産食材パンレシピコンテストが8月27日、山梨学院短期大学のスイーツ館2階カフェテリアで行われた。コンテストは同短期大学食物栄養科パティシエコース2年の21人が参加。6グループに分かれて6月から製菓製造実習で新しいパンの開発に取り組んできた。
審査の結果、小池瑠美嶺さん、中村美雨さん、萩原千乃和さんの3人が考案した「甲斐のもち雫」が1位に選ばれた。「甲斐のもち雫」は山梨の土産として人気の「信玄餅」をヒントに、もっちりとした食感の生地と県産食材を組み合わせてオリジナリティーのあるパンに仕上げた。審査では完成度の高さが評価され、3人は「1から私たちが考えたパンなので素直にうれしいです」と喜んだ。
産学連携でパン作りの基礎から商品開発まで
山梨県産食材パンレシピコンテストは山梨県パン協同組合(小野曜理事長)が2015年に始めた「山梨小麦プロジェクト」の継続事業として、山梨県内のパン製造業の活性化と人材確保、県産食材の普及を目指して行い今年で3回目。審査員はパン製造技能士の資格を持つ県内のパン職人らが務めた。
山梨学院短期大学食物栄養科パティシエコースは通常の和洋菓子はもちろん、山梨県産の食材の普及にも力を入れ、それらを使った新たな商品開発にも取り組んでいる。
同コースは8月20日、1年を対象に県パン協同組合と連携して「山梨県産の食材とパンを知ろう」というイベントを実施。学生たちは小麦や酵母などの原材料の選び方から製品管理まで、パン作りに必要不可欠な知識と基本的な技術、加えて原材料の高騰や人材不足など製パン業界を取り巻く課題も学んだ。
また山梨県産の小麦「かいほのか」への理解を深めてもらおうと「かいほのか」を使って焼いたフランスパンで県産小麦の特徴や、配合の違いで生じる味わいの差も体験した。
商品コンセプトから考え試作を重ねる
今回のパンレシピコンテストは一連の産学連携プログラムの集大成。1年時の体験をもとに、2年生21人が県産食材を活用した新しいパン作りに挑戦した。6つのグループに分かれ6月から商品コンセプトを考案、7月から試作を重ねてきた。
パン作りには県産小麦「かいほのか」と調味料も含めて県産食材の活用が条件。
審査は①外観(形成)、②味・香り、③素材の活用、④独創性・アイディア、⑤技術・完成度─を基準に、パン製造技能士の資格を持つ県内のパン職人らが試食した。
最高得点のグループには「山梨県パン協同組合理事長賞」が贈られ、商品化されて組合員の店舗で販売される。
これまでに山梨県産の桃のスイーツパン、甲州みそとクリームチーズを組み合わせた和風ベーグル、黒蜜ときな粉の和のスイーツパンなど、学生ならではの自由な発想のパンが生み出されてきた。
甲州味噌、特産の果物・野菜でレシピを工夫
今回の審査会は司会進行を食物栄養科の関戸元恵准教授が務め、各グループが10分程度、自分たちの作品をプレゼンテーションした。6グループの作品は次の通り(いずれも「かいほのか」使用)。
1「甲州みそろっこ」
甲州味噌のクリームチーズと県産「ゴールドラッシュ」を使ったベーグル。
2「ももみるきゅん」
山梨特産の桃とミルククリームを組み合わせ、甘さのバランスにこだわる。
3「赤ワイン香るビーフシチュー揚げパン」
県産のワインビーフシチューに「やはた芋」を加え具材の粘度を調整。
4「天空かぼちゃの肉味噌メロンパン」
甲州味噌と天空かぼちゃ、メロンパン生地で理想の甘じょっぱさを追求。
5「野菜ベーコンロール」
県産枝豆とコーンの甘みにベーコンとチーズの塩味で満足感を目指す。
6「甲斐のもち雫」
もっちり食感の生地、黒糖クリーム、あけぼの大豆きな粉で「信玄餅」表現。
各グループは開発に至った経緯や県産食材への思い、試作で苦労した体験などを具体的に説明した。審査員からは食材を選んだ理由や具材の配合比率などに踏み込んだ質問が出た。このうち1位に選出された「甲斐のもち雫」はもっちりとした生地の食感や黒蜜に劣らない黒糖クリーム、完成度の高さが評価され得点は満点に近かったという。
「甲斐のもち雫」を考案した一人・小池瑠美嶺さんは「もちもち食感の生地を作るのに苦労しました」。中村美雨さんは「きな粉のカスタードクリームはきな粉の量を調整して何度も作り直しました」。萩原千乃和さんは「黒蜜感を出すための黒糖の使い方が大変でした」とそれぞれのこだわりを振り返った。3人は「やわらかく食べやすいので幅広い年代の人に食べてもらいたい」と語った。
中川裕子食物栄養科長はあいさつで「県パン協同組合様共催の下、パンレシピコンテストが開催できました。多くのご協力に感謝申し上げます。学生の皆さんに県産食材をふんだんに使っていただく中で、それぞれの工夫が見られました。商品化へ向けて更にスキルアップを期待します。皆さんの努力に拍手を贈ります」とねぎらった。
各グループの工夫が分かってうれしい
【山梨県パン協同組合・小野曜理事長の講評】
パン作りのレベルが年々上がっています。厳しい言葉も掛けましたが、それは皆さんへの期待の表れだと思ってください。パンを作る人の気持ちは商品に表れます。妥協してしまうと妥協したパンにしかならない。もうひと工夫すればもっと良くなる。しかし、今日1位のチームは小麦の配合から工夫しました。これは大変なこと。他のチームもよく工夫していた。安易に妥協しない気持ちが伝わってうれしく思いました。「お疲れ様でした」と言うより「ありがとう」と言いたい。パンは1人ではできません。今日のコンテストに皆で力を合わせたように、社会に出てからも仲間や絆を大切にしてください。
(文 古屋賢二)(カメラ 平川大雪) 2026.8.27

