「第39回関東大学女子サッカーリーグ1部」開幕
昨年の悔しさを晴らす山学女子 初戦は東海大に2対0
2年ぶり優勝を目指す第1歩 幸先良いスタート

「第39回関東大学女子サッカーリーグ1部」が4月5日に開幕。山梨学院大学サッカー部女子は6日の第1節2日目に、東海大と山梨学院向町サッカー場で対戦した。試合は山学大のキックオフで始まった。序盤、互いに激しいボールの奪い合いで展開。10分、山学大が左コーナーキック(CK)を得ると、ゴール前に絶妙なボールが通り、詰めていた長身の#64寺村穂香のヘディングシュートで山学大が先制。直後、東海大も攻勢を掛け山学大ゴールに迫るも、GKの#60高橋千空やディフェンスが対応。30分、飲水タイム後に山学大が攻勢を掛ける。#5大髙心の前線へのロングパスで小柄なストライカー#20伊藤琴音が反応。ゴール前でのシュートは相手GKに阻まれる。続けてCKでのセットプレーシュートも、惜しくも相手GKがキャッチ。さらに#3一瀬葵夢のミドルシュートなど、積極的なプレーで主導権を握ったが得点にはつながらず、前半は序盤の1点止まりだった。後半、最初のシュートは東海大が放ったが2分、DFの#2小堀菜緒のロングボールを、相手のディフェンスと競い合った#20伊藤が鋭い突破でシュートし、2点目を挙げた。その後、両チームは一進一退の攻防を繰り広げ、東海大のアグレッシブな攻撃に苦しめられる場面があったものの、山学大の統率の取れたディフェンスは危なげなく対応。その後も山学大は猛攻を掛けるが相手のハードワークに幾度の好機も潰され得点はならずも、初戦を2対0で勝利。幸先の良いスタートを切った。
成長著しい山学大サッカー部女子
関東大学女子サッカー連盟は、加盟校35大学を1部12チーム、2部10チーム、3部8チーム、普及リーグ5チームで実施。1部は前期、後期に分かれ2試合総当たりで行われる。山学大は、2014年創部とともに強化育成クラブに指定されてから12年。2019年に関東大学リーグ2部リーグで優勝、1部昇格を果たしたが、この年に2部降格を喫し、再び2020年に1部昇格してからは、2022年には3位、2023年には念願の1部優勝に輝き、2連覇を狙った前回大会では惜しくも準優勝。そして、その間に2020年インカレ全日本女子サッカー選手権に初出場を果たし、翌年2021年には3位入賞。2022年には準優勝と順調にステップアップ。そして、2023年には早稲田大学と延長戦に至る激闘を制し、ついに悲願の初優勝を飾り、2024年度にはインカレ2連覇を狙うも2年連続の決勝で日体大に敗れ準優勝となった。成長著しい山学大は、昨年の関東連覇を果たしてのインカレ連覇の目標を同時に破られ、今年の関東大学リーグ、インカレに向けて期すものは非常に大きい。
1部昇格の東海大とホームで負けられない開幕初戦
❖試合が開始された午後1時。午後から雨が予想されていたフィールドは薄日も差し、絶好の試合日和になった。山学大と対するは1部昇格の東海大(2部優勝)。試合は山学大のキックオフで始まった。序盤、互いにアグレッシブにボールの奪い合いが続く中、10分、山学大は、左コーナーキック(CK)を得ると、キッカーの#7鳴海真緒(3年)の狙いすました
ゴール前の絶妙なボールに、詰めていた長身の#64寺村穂香(4年)がヘディングシュートを決め山学大が先制した。直後、東海大もロングボールを前線に流し込み、再三山学大ゴールに迫る東海ペースにも、GKの#60高橋千空(4年)やディフェンス陣がシュートを打たせない対応で事なきを得た。25分、飲水タイム後に山学大が流れを呼び込み攻勢を掛ける。#5大髙心主将(4年)の前線へのロングパスで小柄なストライカー#20伊藤琴音(3年)が反応。ゴール前でのシュートはGKに阻まれる。続けてCKでのセットプレーシュートも惜しくもGKの正面。キャッチされた。さらに#3一瀬葵夢のミドルシュートや中央からのシュートはゴールに嫌われたが、積極的なプレーで主導権を握り、得点にはつながらずも、前半はシュート10本を放ったが序盤の#64寺村の1点に留まった。
❖後半、サイドが代わった開始早々、最初のシュートは東海大が放った直後2分、山学大はGKからボールを受けたDFの#2小堀菜緒(4年)が冷静な判断で前線にロングボールを蹴り込み、前線の#20伊藤が相手のディフェンスと競い合い、鋭い突破で相手を振り切り余裕の左足シュート。2点目を奪った。その後、東海大のアグレッシブな攻撃に苦しめられる場面があったが、両チーム激しい攻防が続けられ、山学大の統率の取れたディフェンスは危なげなく対応。シュートを許さなかった。山学大が主導権を握った中盤からは猛攻を掛けるが相手も最後までハードワークを見せ、得点には結びつかなかったものの、山学大は前半の10本のシュートに対し後半は9本。東海大は3本、1本と攻撃、ディフェンスと総体的に点差以上の試合展開で相手を上回り、初戦を2対0で勝利した。2連覇を逃した前回大会の悔しさを払拭する、幸先の良いスタートを切った。
試合記録
◆山梨学院大スターティング11
#2・DF小堀菜緒④、#3・MF一瀬葵夢③、〇#5・大髙心④、#7DF・鳴海真緒③、#10・MF堤なつほ①、#14・MF加島希夏③、#20・FW伊藤琴音③、#23・DF佐々木はるか②、#36・MF砂川莉里佳④、#60・GK高橋千空④、#64・DF寺村穂香④ ※#前の〇印は主将。
◆サブメンバー#4・DF外林花音④、#13・FW熊谷南摘③、#17・MF島春香③、#19・MF高城青空②、#25・DF正木美里③、#30・MF村上明衣③、#33・GK本多陽菜④、#42・MF阪田明日香②、#67・MF香山京子④
◆交代=60分#10堤⇒#67香山、70分#7DF・鳴海⇒#25正木

試合後の監督、選手のインタビュー
村上裕子監督は初戦について「初戦なので自分たちがやりたいことができないこともあっただろうし、初戦を勝ちきるという中では、まずはきれいなサッカーとか自分たちのスタイルとかを抜きにして、勝つことだけを考えていこうとミーティングで話をしていたので、その中で理想的な形ではないですけど、しっかり勝利するという結果を求めてできたということは、みんなすごく頑張ってくれたかなと思います」と選手を労った。新チームで長いリーグ戦を戦うことは「まだ開けて見ないと分からないことが多いので、本当に彼女たちが成長するのかどうか。ただ自分たちのアグレッシブなスタイルは変えずにしっかり今シーズンも勝ちぬけるようにやっていきたい」と抱負を語った。
今シーズンの新主将 大髙心選手は初戦勝利に「まずは、初戦を勝つことだけを考えていたので、しっかり2点取って無失点で抑えて勝てたことは大きい」。今日の良いところは「けが人も多い中で、全員が最後まで諦めずに、身体を張った守備というのは大きな収穫だった」。長いシーズンの今後は「昨年の前期はちょっと停滞した時期がありましたが、この勝ちを来週、再来週へと繋げられるように、また練習を頑張って行きたい」と快勝にも驕りはない。
今季、チーム初得点を挙げた寺村穂香選手は「今日のミーティングで、前半からCKを狙って早い時間帯に先制しようという話だったので、その通りできてよかった」と喜んだ。チーム状態は「全体が崩されることなく、ピンチは何回かありましたけど、全員で守れたことはよかった」。今日の自身のプレーは「前半の早い時間帯に点を取れたことと、1対1の場面では結構潰しきれたかなと思うのですが、複数人での守備が課題」と反省を忘れない。
今後の試合では「1戦目を勝っていい雰囲気で終われたので、このまま連勝できるように全体で頑張っていきたい」と優勝に意欲を示した。
勝利を決定づけた伊藤琴音選手は、初戦勝利について「とりあえずホッとしています」と笑顔を見せた。シュートを挙げたトップスピードは凄かったとの問いに「相手のミスもありましたが決め切れてよかった」とプレーを淡々と振り返る。今季はどのように「去年、関カレ、インカレも準優勝だったので今年は優勝を狙って、自分自身も点を取ってチームの勝利に貢献できればいい」とただ勝利を目指す。昨年暮れに痛めた足について聞くと「もうバッチリです」と笑顔で頼もしい答えが返ってきた。
山学大の2回戦は4月13日、日本大と対戦する。
文(K.F)カメラ(平川大雪) 2025.4.6