山梨学院大学ニュースファイル

在山梨コソボ共和国名誉領事就任式

Vol.3485 | 2025年5月20日

山学大の秋田学長代理が名誉領事に就任
教育・スポーツ・文化面での交流促進を誓う

2025年4月1日より、山梨学院大学学長代理の秋田辰巳教授が在山梨コソボ共和国名誉領事に就任し、併せて秋田教授の研究室が「在山梨コソボ共和国名誉領事館」として開設された。これらの式典として5月19日に「在山梨コソボ共和国名誉領事」の就任式及び「在山梨コソボ共和国名誉領事館」の開設式が甲府市・古名屋ホテルで開催された。式には本学の青山貴子学長をはじめ、主催の駐日コソボ共和国大使館関係者や駐日アルバニア共和国大使、山梨県議会議員など、約20名が参加。式では駐日コソボ共和国特命全権大使のサブリ・キチマリ閣下の挨拶に始まり、山梨県の石寺淳一副知事からも祝辞があり、続いて在山梨コソボ共和国名誉領事に就任した本学の秋田学長代理から「この度開設した在山梨コソボ共和国名誉領事館について、コソボ、山梨、アイオワ州(コソボと国家警備や経済的協力関係にある州)が一丸となり、教育・スポーツ・文化交流を通して相互理解と世界平和の歩みを進める拠点のひとつとなりますことを祈念致します」と日本語・英語で挨拶し、参加者からの盛大な拍手に包まれた。

コソボ共和国と山梨学院大学との交流

コソボ共和国はバルカン半島の中央に位置し、2008年にセルビアから独立し、「ヨーロッパで最も若い国」と呼ばれている。
山梨学院大学では、コソボ共和国と日本との国交樹立10周年の節目にあたる2019年12月に、当時の駐日コソボ共和国大使のレオン・マラゾーグ閣下が来学し、コソボの歴史や文化等に関する特別講演を行った。その後も、山梨学院大学の秋田辰巳学長代理を中心にコソボ大使との交流は続き、2023年10月にはコソボ共和国の五輪金メダリストを含む柔道ナショナルチームが来日し、山梨学院大学柔道部と数日間の合同稽古が行われ、また2025年2月には本学秋田辰巳ゼミの学生が、コソボの廃棄物問題に関する教材を駐日コソボ大使に贈呈する等、スポーツや教育に関する交流を深めてきた。

名誉領事就任式での挨拶

式は山梨学院大学の青山貴子学長や駐日コソボ共和国大使館スタッフ、駐日アルバニア共和国大使、山梨県議会議員等、約20名が見守る中、執り行われた。最初に挨拶を行った駐日コソボ共和国特命全権大使のサブリ・キチマリ閣下は「秋田辰巳氏は長年に渡り駐日コソボ共和国大使館の親しい友人であり、かけがえのない存在でした。米国アイオワ州駐在外交官との交流から私の前任者との交流に至るまで、秋田氏は積極的に大使館の行事へ参加し、東京都内における大使館への継続的な支援を示してくださいました。秋田氏とは幾度となくお会いし、政治・文化・歴史・スポーツ等の幅広い分野に渡り、思慮深い対話を交わすことができ、大変嬉しく思っております。両国間の相互理解に向けた促進や秋田氏の尽力は称賛に値するもので、改めて深く感謝申し上げます」と、秋田学長代理への感謝を示した。続いて山梨県の石寺淳一副知事は「秋田名誉領事におかれましては、これまで多くの国際交流活動にご尽力され、特に本県とアイオワ州との姉妹都市にお力添え頂くなど、本県の事業に大変ご貢献頂いております。この山梨の地において、コソボ共和国の名誉領事館が設置されることを大変喜ばしく感じるとともに、これを契機に新たな交流が広がり、両国の協力関係が強化されることを期待しております」と挨拶した。最後に、在山梨コソボ共和国名誉領事に就任した山梨学院大学の秋田辰巳学長代理から「コソボ共和国は2008年2月17日に独立し、その1か月後に日本国がその承認をしました。翌年2009年2月25日、両国は外交関係を樹立することができました。2010年7月には東京に駐日コソボ共和国大使館が設立され、2020年1月、首都プリシュティナに駐コソボ日本国大使館が設立されました。昨年は両国の国交樹立15周年を迎え、友好関係発展の歩みを更に稀有なものにしました。一方でコソボと強い結びつきのあるアメリカのアイオワ州は山梨の姉妹州で、60年以上の交流をしてきています。コソボと言えば、マザーテレサを思い起こします。旧約聖書に『三つ撚りの糸は切れにくい』とあります。1人よりも2人、3人であれば更に強く、困難に打ち勝てるという教訓です。日本でも、武田信玄と同じ時代を生きた毛利元就が『1本の矢は簡単に折れるが、3本束ねると容易には折れない』という言葉を残しています。この度開設となった在山梨コソボ共和国名誉領事館がコソボ、山梨、そしてアイオワ州が一丸となり、教育・スポーツ・文化交流を通して相互理解と世界平和の歩みを進める拠点のひとつとなりますことを祈念致します」と挨拶し、会場内は拍手に包まれた。式はサブリ・キチマリ大使による乾杯の後、参加者による歓談が行われた。

名誉領事、コソボ大使のコメント

在山梨コソボ共和国名誉領事に就任した山梨学院大学の秋田辰巳学長代理は、名誉領事就任の経緯について「(駐日コソボ共和国)大使とは東京へ行く度に情報交換していて、女子柔道についても『山梨学院も強い』というのを何度も伝え、コソボからナショナルチームが来学して非常に良い練習ができたりしました。他の国の大使館のレセプションにも極力顔を出すようにしていて、色々な大使と交流する機会を頂く中で、コソボをもっと広めようということで、私のゼミの学生に、コソボで問題になっている廃棄物の処理について、コソボが自主的にごみ処理をできるようになるため、コソボの学生達に教えるための教材を作り、今年の2月に大使館へ行って大使へお渡しする等という経緯がありました」と語った。教育面での今後の取り組みについては「今年は(コソボの課題について)私が学生に与えるのではなくて、課題探しから行ってもらっていて、コソボの情報は日本語ではほとんどないため、英語でこれぞと思った情報を訳したりして課題探しから行っています。今後問題を見つけて、解決の方針を出して、また大使にお渡しして、提案のうちのいくつかが実際に役に立ったらありがたいです」と話す。課題を見つけることについては「自分たちが普通だと思っていることが実はそうじゃないことやそのレベルに至っていないこと等、たくさんあると思います。そのようなギャップを、発展している側、そうではない側の立場からそれぞれ知っていくことが、これから先、行政等を勉強する上でも役に立つと考えています」と課題発見の重要性を述べた。
駐日コソボ共和国特命全権大使のサブリ・キチマリ閣下は、スポーツでの交流について「柔道だけでなくサッカーもコソボでは人気があります。バスケットボールやハンドボールにも力を入れているため、ぜひそれらのスポーツでも交流していきたいです」と今後に期待を込めた。

文(R.K)写真(平川大雪) 2025.5.19