春季関東高校野球大会 準決勝
優勝候補の一角 健大高崎に終盤粘るもあと1歩及ばず
4強と決勝進出ならずも、夏の甲子園につながる

「第77回春季関東地区高校野球大会」は5月24日、ノーブルホームスタジアム水戸で準決勝2試合が行われた。山梨学院高は初戦で千葉の叡明高をタイブレークで破り、2回戦を東海大相模に快勝して3年ぶりの準決勝に臨み、健大高崎高と対戦した。先攻の打撃好調山学高は一死後、四球と3番菰田陽生の内野安打、4番横山悠の適時2塁打で1点を先制。その裏、山学高は3試合連続で先発に檜垣瑠輝斗を送った。檜垣は先頭打者の右前二塁打を浴び、二死三塁から健大高崎4番に敵時打を打たれ、同点に追いつかれた。3回にも、先頭打者の二塁打から犠打で走者を三塁に進められ、次打者の内野ゴロの間に1点を加点、逆転された。山学高も4回一死後、6番梅村団の二塁打、続く萬場翔太が左越え2点本塁打で3対2と再び逆転。5回には、健大高崎高が二死二塁一塁で4番打者に再び右翼線に糸を引くような2点適時二塁打で、3対4とまたも逆転。シーソーゲームの展開となった。その後、6回から両チームとも投手を継投。山学高は菰田陽生を投入。8回までの3回を無失点に抑える好投で9回、味方打線の反撃を待った。健大高崎高も8回からは剛腕投手を投入。互いに四つに組んだ。9回、山学高の萬場が先頭打者安打で出塁すると、鳴海柚萊も続き一打同点、無死二塁一塁の好機を迎えた。さらに犠打で走者進塁を試みるが、相手投手の好プレーで阻まれ、この後満塁とするも、後続を二者連続三振に打ち取られ、3年ぶりの決勝進出はならなかった。
「第77回春季関東高校野球大会」は、雨のため開催予定の5月17日から1日順延の18日に開幕した。1都7県17校が繰り広げた春季関東高校野球大会も大詰めを迎え、5月24日に準決勝2試合が行われた。準決勝4校のうち3校が今年3月の選抜優勝校の横浜高、昨年優勝した健大高崎高、一昨年優勝の山学高が選抜優勝経験校。そして専大松戸高が一角を占め、決勝進出を懸けて激突した。球場には第1試合から熱戦を見ようと多くの観客がスタンドを埋めた。第1試合、優勝候補筆頭の横浜高と専大松戸高が対戦。試合は専大松戸高が終盤、勝ち越し決勝に進出。そして第2試合、山学高と健大高崎高との試合が行われ、接戦となった。
山学高準決勝の対戦相手は、横浜高と優勝候補ナンバー1と目される健大高崎高
山学高と健大高崎高とのこれまでの対戦は、直近では2022年秋季関東大会準決勝を戦い2対5で敗れたが、翌2023年度秋季大会準決勝ではリベンジを果たし、選抜では山学高が初優勝を果たした。健大高崎高は翌年、選抜準々決勝で山学高を下し、その後優勝。今年3月の選抜では優勝した横浜高に準決勝で敗れ4強となり、現在、投打の噛み合う強豪校として躍進している。
5月24日、茨城県ノーブルホームスタジアム水戸での準決勝第2試合。第1試合の横浜高と専大松戸高の熱戦が終了し、第2試合開始予定から約45分遅れて13時15分、試合が開始された。曇り空にも関わらず多くの観客が集まり、試合を見守った。この日、山学高からは野球部応援団約60人、保護者約70人、そして山学高OBや一般客も応援に駆け付けた。
エースナンバーを背負う檜垣投手が3試合連続先発
山学高、準決勝のスターティングメンバーは、3試合目のこの日も変わらず不動のメンバーで臨んだ。先発は3連続先発を託された檜垣瑠輝斗(2年)がマウンドに登った。檜垣は今年の県大会からエースナンバーの#1を背負った投手。この大会も1回戦千葉の叡明高戦に6回、2回戦神奈川の東海大相模高戦では完投と、勝利に貢献してきた。東海大相模高戦後の話では、連投の疲れは「全く疲れていない」と強気の言葉を口にし、密かに準決勝のマウンドも思い描いていたに違いない。
序盤、中盤にかけ互いに逆転のシーソーゲームが展開
❖試合は、先攻の山学高は一死後、2番石井陽昇(2年)が粘って四球で出塁すると、3番菰田陽生(2年)の遊ゴロ内野安打、4番横山悠(3年)の適時2塁打で難なく1点を先制。その裏、檜垣も先頭打者に俊足を飛ばし右前二塁打され、犠打で一死三塁から三振を奪い二死にするも、4番の中前敵時打で同点に追いつかれた。3回、山学高二死二塁に4番横山がこの日2安打目を中前に弾き返し、走者の高橋英登(3年)が猛然と本塁を突くがタッチアウト。勝ち越しはならなかった。しかしその裏、檜垣は初回に続き先頭打者の二塁打から犠打と次打者の二ゴロの間に、1点を先に加点された。それでも4回に山学高は一死後、即座に6番梅村団(3年)が右中間を切り裂く二塁打、続く萬場翔太(3年)が2球目のカーブを捉え、左越えの2点本塁打で3対2と再び逆転。檜垣もその裏、持ち味のテンポ良い投球で三者連続空振り三振を奪い好投するが5回、健大高崎の攻撃。一死後、1番の一塁前セーフティバントを菰田が走者へタッチにいくも、セーフ。次打者には初球に死球を与え、嫌な流れとなった。二死後、相手4番打者に初球を狙われ右翼線に糸を引くような2点適時二塁打で3対4とまたも逆転。シーソーゲームの展開となった。
9回終盤、1点の攻防に山学高は粘り相手エースに挑んだ
その後、6回に両チームとも投手を継投。この回、抑えられ山学高は菰田陽生を投入。8回までの3回を最速148kmの速球を中心とした緩急交えた投球と、味方の美技にも助けられ無失点に抑える好投で9回、味方打線の反撃を待った。健大高崎高も、8回からは注目の剛腕投手を投入。互いに1点を譲らぬ態勢でがっぷり四つを組んだ。9回表、山学高先頭の萬場が左前打で出塁すると、鳴海柚萊(3年)も左前打で続き一打同点とし、無死二塁一塁の好機を迎えた。さらに犠打で走者進塁を試みるが、相手投手の気迫の好プレーによるクロスプレーで間一髪のアウト。山学高応援団から大きなどよめきが起きた。この後、代打川本喜一(3年)が四球を選び一死満塁とするも、後続の二者が152kmの速球で連続三振に打ち取られ、3対4で敗れた。この大会屈指の投手の前に、あと1本が出なかった。3年ぶりの決勝進出はならなかった。
試合記録
◆準々決勝 山梨学院高VS健大高崎高 5/24(土) ノーブルホームスタジアム水戸
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
山梨学院高 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 |
健大高崎高 | 1 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | × | 4 |
◆山梨学院高先発メンバー 〇囲みは学年、〇印は主将
1.(左)高橋英登③、2.(中)石井陽昇②、3.(一)菰田陽生②、4.(捕)横山 悠③、5.(遊)平野天斗③、〇6.(三)梅村団③、7.(二)萬場翔太③、8.(左)鳴海柚萊③、9.(投)檜垣瑠輝斗②
◆山梨学院高バッテリー=檜垣⇒菰田-[捕手]横山
[投手]檜垣;5回 打者23 投球数72 被安打5 奪三振5 四球1 死球2 失点4
菰田:3回 打者10 投球数33 被安打1 奪三振2 与四球0 失点0
[打撃]安打9 長打(本塁打=萬場、二塁打=横山、梅村)、三振8、四球5 死球1
[交代]檜垣(投)⇒(H)大石康耀③⇒(投)菰田(一)⇒(一)藤田蒼海②、高橋⇒(代打)川本⇒(代走)柴田悠生③
試合後のインタビュー
吉田洸二監督は「この大会の目的は、夏につなげるというところだったので収穫も多く、直さないといけないところもはっきり見え、良かったところもはっきり分かった」。終盤、好投手を前に粘ったが「そうですね。そういうところは練習しているチームなので。粘れたと思います」と十分に手応えを感じていた。
萬場翔太選手は打撃好調だったが、この大会通じて「1回戦の8回のセンターオーバーの打席というのは、自分の中でも成長できたと思っていて、夏につながると思います」と試合中も成長する。副主将として「1回戦、苦しい中でも劣勢の試合を勝ちきって、2回戦も秋に倒した東海大相模さんをもう1度倒して、最後に今日の健大高崎さんを倒して、自分たちは決勝に行って優勝するつもりでやってきたのですが、最後に自分たちはチームのつながりというものを大事に意識してやってきたんですけど、またつながり切れていないところが少しあって、そういったところをもっと詰めて、夏は勝ちたい」と強い決意を話した。
横山悠選手は健大高崎高の印象を「やはり能力的には健大高崎さんの方が上ですけど、その中でも9回をトータルで戦うというチームでやってきたので、負けてはしまいましたが、今までだったら単調な攻撃も全員がつながるというところで、いい攻撃ができた」。夏に向けては「最後に甲子園に出て終わりたいので、そこに向けもう1回、残りの1か月と少しを死ぬ気でやっていこうと思っています」と意気込みを示した。
梅村団主将は、何かが足りなかったか。「勝てなかったことは、まだ自分たちに負ける要素があるということなので、本当にこの大会でいい収穫ができたかなと思います。全国トップレベルのチームと試合ができたので、関東大会を通していい経験ができた」と夏に向けて前を見据える。
文・写真(K.F) 2025.5.24