山梨学院大学ニュースファイル

インターハイバスケットボール県予選 山学高決勝初進出

Vol.3497 | 2025年6月21日

昨年度準優勝校・自然学園高の猛追を振り切る
昨年新たにスタートした新2年・1年生中心のチームが躍動

6月21日、「2025年度全国高校総体(インターハイ)山梨県予選」準決勝が富士吉田市・富士北麓公園体育館で行われた。山梨学院高校バスケットボール部は、14日の1回戦に白根高、15日2回戦に北杜高、3回戦に東海大甲府高を破り、この日21日の準決勝に昨年度準優勝の自然学園高と対戦した。インターハイ初出場を目指す山学高にとっては、避けては通れぬ第1関門。5月の山梨県高校総体準決勝で対戦、僅差で勝利している相手との試合は第1Q、互いにもたついた展開になるも山学高が14対11でリード。第2Qに入ると、徐々に山学高がリバウンドからリズムをつかみ、#30前田瑛太の3Pや、留学生によるゴール下でのポストプレー、パスをつなぐコンビネーションプレーなど攻撃面で相手にプレスを与え、一気に差を広げ第2Q終了時で44対27と優位に立った。後半第3Qに入っても山学高の攻勢は続き、この日リバウンド奪取で貢献する#1岡本素直から#71北澤蓮へのスムーズな連係パス。さらに前田の3Pで得点を重ねた。しかし、終了間際にインターセプト、ターンオーバーからの失点が第4Qでの波乱につながった。自然学園は山学高のディフェンスにプレスを掛け、ドライブシュートや3P、シュートと畳みかけ、12連続得点で66対62と肉薄。残り2分を切った攻防の中、山学高の#1岡本のポストプレー、#71北澤のフリースローで貴重な追加点を奪い70対62と凌ぎ切り、初の決勝進出を果たした。決勝戦は、優勝を本命視された日本航空高を破った日川高との対戦となった。

全国屈指のバスケットボール強豪県を目指して

昨年度、山学高はバスケットボール部を強化運動部に指定して始動した。バスケットボールの面白さを山梨県民に伝え、支えるため強いチームを作って話題を提供することを目的に、指導者として実績を残してきた江崎悟監督を招聘。新しいスタートを切った。ほぼ1年生だけだった新チームは、1年間ですぐに頭角を現し、県内実力校に脅威を与える存在になった。

インターハイ初出場を目指して

富士吉田市富士北麓公園体育館で6月14日に行われた1回戦。山梨学院高は県立白根高と対戦。151対20で圧倒。大会2日目2回戦、3回戦が行われ、北杜高に90対46、東海大甲府高に112対58で勝利。21日、準決勝に自然学園高と対戦した。自然学園高との対戦は2024年ウィンターカップ山梨県大会、2025年山梨県総体関東大会予選で勝利している。

試合を前に、今大会足の負傷のためで出遅れ応援に回っている廣島樹々人主将は「県総体で優勝を逃してしまって、みんなの悔しさと次には絶対に勝つという2つの気持ちだけで練習を続けてきたので一戦必勝で自然学園高を倒して決勝に進みたい。決勝はどこになっても自分たちのバスケットで、絶対にインターハイに行きたい」と意気込みを話した。

準決勝は乗り越えなければいけない自然学園高の壁

❖山学高と自然学園高の試合は、21日の第4試合、午後2時45分に開始された。会場の富士北麓公園体育館には、C2CブルーのTシャツを着た保護者が多く応援に駆け付けた。第1Q(クォーター)、初めの得点は長身#12ファリル ディエイ(2年)のポストプレーで山学高が先制。自然学園も3P(ポイント)シュートで応えた。その後は、互いに攻守を変えながらのせめぎ合いに山学高がややリードするも、互いにシュートの精度が悪く、もたついた展開に終始。それでも山学高が14対11でリードして第2Qに入った。自然学園高も、スピードあるインサイドプレーを仕掛け山学高リングを狙うが、山学高のリバウンド保持からつないだ#30前田瑛太(2年)のジャンプシュート、#13佐藤瑠威(2年)らのセットプレーなどが功を奏し、徐々に得点を加えリズムをつかんだ。さらに#1岡本素直(2年)のポストプレー、#30前田の3Pや留学生#55サム ディオフ(1年)によるゴール下でのオフェンスリバウンドシュート、パスをつなぐコンビネーションプレーなど攻撃面でプレスを掛け、大量得点を奪い一気に差を広げ、第2Q終了時で44対27と主導権を握った。

前半快調に推移するも、後半終盤に試練が待ち伏せていた

❖後半第3Qに入っても山学高の攻勢は続き、#1岡本のガッツあるリバウンド奪取からの#71北澤蓮(1年)へのスムーズなコンビネーションパス。さらに#30前田の3本目の3Pと、山学高スタイルの堅固なディフェンスとリバウンドからの速攻、留学生のポストプレーで連続12得点を重ね、3Q途中で58対31と点差を27と広げた。しかし、中盤から山学高の緩慢なプレーが見受けられ、終了間際にかけてインターセプト、ターンオーバーからのミスが続き、62対42と差を縮められ、最終第4Qでの波乱が待っていた。自然学園高は疲れの見える山学高のディフェンスにプレスを掛け、ドライブシュートや3つの3P、インターセプトからのシュートと畳みかけ、僅か1分30秒間に一気に12連続得点を奪われ66対62と猛迫。山学高は浮き足立った。残り2分を切り、互いの攻防に山学高の#1岡本のポストプレー、#7北澤のボール保持時間(24秒)を有効に使った作戦で相手の反則を誘い、フリースローを2本決め70対62と薄氷の勝利を勝ち取った。山学高はインターハイ県予選初の決勝進出を果たした。決勝戦は、優勝を本命視された日本航空高を破った日川高との対戦となった。

試合記録

◆《山梨学院高のスターティング5(ファイブ)》
#1岡本素直②、#12ファリル・ディエイ②、#13佐藤瑠威②、#30前田瑛太②、#71北澤 蓮①の5人。 
※〇数字は学年。

◆《サブメンバー・交代》
#5長澤龍末②、#6村崎太一②、#7安原颯真②、#15三輪晄雅②、#17大田皓大②、#21桂川遼太郎②、#28矢崎 良②、#33木戸彪悟①、#37久保田 湊①、#55サム ディオフ①、#88渡邉颯生①、#91川島花海①が随時途中交代した。

試合後インタビュー

江崎悟監督は初めに「しんどかった」と大きく息を吐きだした。「力の差は前半の点差ですけど、(4Qに入って)相手のプレスと3Pの思い切りの良さにペースを握られて、気持ちが後手に回ってしまった。メンバーもスタートの選手では点差を広げられるけど、控えのメンバーを出すとすぐに差が縮まってしまう。2年生のセカンドのメンバーは昨年も戦ってきた選手たちだから、先輩らしいプレーをしないといけなかったが、第3Qの点差のまま逃げ切ることができず、ややこしい試合になってしまった」と控えの選手に奮起を促した。
岡本素直選手はこの大会への思いを、「ディフェンスを頑張ろうとやっていて、前半は頑張れていたのですが、第3、4Qでディフェンスが崩れてしまいました。前半はそこまで点差が離れるとは思っていなかったのですが、自分たちのバスケができたからこそ離せたと思います。リバウンドを取って、ディフェンスで頑張ってボックスアウトしてから、そのまま走ってブレーク(相手を崩す)することができた」。決勝相手の日川高には「対策はしていないですけど、自分たちのプレーをすれば勝てると思います」と意気込んだ。

決勝戦は翌6月22日、同会場で13時より行われる。対戦する日川高は17回の優勝を誇る古豪。3年ぶり18回目の決勝戦となる。山学高と日川との対戦は、直近では2024年度ウインターカップカップ山梨県予選で61対59、続く2024年度新人戦では76対47、そして2025年度山梨県高校総体・関東大会県予選で90対48と勝利している。
江崎悟監督は、「(決勝は)日本航空高を想定していたので特に今、策はないが自分たちのプレーができれば大丈夫。相手のポイントゲッターを抑えれば。勝ちにこだわりたい」と初優勝を目指す。

文(K.F) カメラ(平川大雪) 2025.6.21