山梨学院大学ニュースファイル

「第107回夏の甲子園」開会式 山学高堂々の入場行進

Vol.3517 | 2025年8月5日

史上初、夕方開催の開会式に17番目に登場
49校による熱戦が18日間にわたり展開される

西の空に太陽が傾いた甲子園球場。まだ暑さが残る8月5日午後4時、熱中症対策による史上初となる夕方開催の「第107回全国高校野球選手権大会」開会式が行われた。一塁側アルプススタンド後方の通用口の門から出場する49校が入場。先頭は、昨年度優勝の京都国際高が入場。この後は北から南へ順に行進。3年ぶりに出場する山梨学院高は、17番目で続いた。地区大会優勝旗を持つ梅村 団主将(3年)を先頭に、登録選手20人全員が引き締まった表情で両手を大きく振り行進した。

この後、大会会長挨拶、優勝旗返還など式典が続き選手宣誓が行われた。2年連続となる智弁和歌山高校の選手宣誓を山田希翔主将が務めた。山田主将は、(抜粋)「私たちは人々の心に大きな感動を届けたいと思います。己の限界に挑戦し、仲間との絆を深め、相手のチームを敬い、正々堂々とルールを守りプレーする。私たち高校球児の姿は多くの人々の心を打つと信じています。ここ甲子園で思う存分、野球できることに感謝し、勇気を持ってプレーすることを誓います」と力強く宣誓した。開会式の最後は、大会歌「栄冠は君に輝く」で選手を18日間の熱戦に送りだした。開会式後の1回戦は創成館高(長崎)対小松大谷高(石川)。山学高は大会7日目(11日予定)に登場。2回戦1試合目、聖光学院高(福島)と対戦する。

山学高3年ぶり「夏の甲子園」出場への軌跡

山学高野球部は「第95回記念選抜高校野球大会」で県勢初の甲子園優勝の快挙を成し遂げ、その勢いを駆って、その夏の甲子園へ春夏連続出場を目指すも、選手権山梨大会準決勝で駿台甲府高に敗れ、甲子園出場を逃した。その後は県内大会無敗で翌年も選抜に出場、ベスト8とまずまずの成績を残し、関東の選抜常連校としての地位を築いた。だが、7月の選手権山梨大会でまたも準々決勝で東海大甲府高に敗れ、2年連続での夏の甲子園出場の夢を絶たれた。

しかし、これまでもレギュラーの多い2年生は、すぐに練習場に戻り練習を再開した。夏の甲子園にたどり着けなかった先輩たちの悔しさと無念を胸に、新チームで夏の甲子園を照準に気持ちを入れ替えた。迎えた秋季関東野球山梨大会で優勝。秋季関東大会では2回戦準々決勝で敗れ、選抜選考は難しいとされたが、1回戦で優勝候補の東海大相模高に勝利したこと、総合力が高いことなどから4年連続で選抜出場を果たした。この時すでに夏の甲子園を視野にチームづくりを始動していた。「3年生は一度も夏の聖地を踏んでない。連れて行くのが私の役目」と吉田監督。層の厚い投手陣。どこからも得点できる打者のパワーアップとフィジカル強化に時間を費やした。また、実践的に加え、精神的に「つながる」を意識するチームの団結力を求めた。

強さが目立った選手権県山梨大会の戦いぶり

選抜大会は2回戦で敗退したが、1回戦の天理高に勝利。実力の程を示した。4月、春季山梨大会で初戦の2回戦から準決勝まで無失点勝利。決勝では2点を失点したものの、優勝。春季関東大会では、準決勝で昨年度選抜優勝校健大高崎高に敗れ4強に留まるも、準々決勝では優勝候補の一角、東海大相模高を6対2で破り快勝した。そして7月、夏の甲子園出場が掛かる選手権山梨大会は、2回戦初戦を甲府東高に11対1で5回コールド勝ち。3回戦準々決勝は身延高と対戦。先発の足立康祐(3年)の好投と平野天斗(3年)の満塁本塁打など投打が噛み合い11対0、6回コールド勝ちを収めた。準決勝は甲府工業高と対戦。選抜で好投した檜垣瑠輝斗(2年)が今大会初先発。7回まで散発4安打無失点の快投と8回、9回、菰田陽生(2年)の完璧継投。梅村団(3年)の初回先制打と9回ダメ押しの本塁打で7対0で勝利。3年ぶりの決勝戦に駒を進めた。決勝戦は昨年度夏の甲子園に出場した日本航空高と対戦。山学高先発は準決勝に続き檜垣がマウンドに立った。しかし、檜垣は立ち上がり制球が悪く2点を献上。この大会山学高は初失点を喫した。打線は4回、横山悠(3年)、萬場翔太(3年)らのつなぐ野球で2点を返し同点。2回以降、立ち直った檜垣は5回、1点を失い再び1点を先行されたが、その裏、宮川真聖(3年)が本塁打で再び同点。6回にも安打と相手失策で1点を勝ち越し、継投した菰田も無失点で航空打線を抑え、この1点が決勝点となり4対3で山学高が3年ぶり夏の甲子園出場を決め、3年生にとり、2年間の心の空白を埋めた。

この大会、山学高は4試合で安打数43本、本塁打は大会全体で11本中6本、失策1、失点は4。どこからも得点できる力強く安定した打線と投手層の厚さ、そして伝統の堅固な守備は健在。対戦相手に立ち入る隙を見せない戦いぶりだった。大会7日目に行われる2回戦から登場。4年連続20回目の出場を誇る聖光学院高(福島)と対戦する。勝負強さで福島大会5試合中4試合を逆転勝ちしている勝負強さが光る相手だ。2022年には4強を果たしている。

梅村団主将は壮行会のときに、「3年生を中心にベンチも含めスタンドも全員が一つにつながっていることがチームの強さ。甲子園でもそれが発揮できれば」と山梨学院高全校全力応援で戦うと意気込みを語った。

文(K.F)、カメラ(平川大雪)2025.8.5