第107回全国高校野球選手権大会 山学高3回戦突破初8強
初戦に続き投打快調。岡山学芸館高を圧倒
アルプススタンド応援席連日、歓喜に沸く

山梨学院高校野球部は「第107回全国高校野球選手権大会」3回戦を突破。夏の甲子園で初の8強へ名乗りを挙げた。8月16日大会11日目、岡山学芸館高と対戦。初戦に続き先発の菰田陽生投手の好投と打線の爆発、投打が噛み合い14対0と圧勝した。本校伝統の全校応援団は、この日も一塁側アルプススタンドに生徒会、応援団、一般生徒や保護者会など総勢700人が集結。熱い声援を送った。試合は、1回表先攻の山学高の攻撃で動いた。2番宮川真聖の安打を二死から4番横山悠の浅い左前打を相手選手が取れず適時二塁打とし1点を先制。先発は2回戦に続き菰田陽生がマウンドに登り、初回から140キロ後半の直球で三者凡退。上々の立ちあがり。山学高は4回にも菰田の犠飛で得点を加え2対0とリード。先発の菰田は制球も球の切れも前回よりもよく、最速150キロを記録し、6回二死に交代するまで1安打無失点に抑えた。打線は2回に13安打と好調を保持し、5回には一死後から5本の長短打を集め5得点のビッグイニングをつくった。応援団は、走者を出すたびにビッグウエーブの曲で選手を盛り上げた。さらに終盤8回に1番鳴海柚莱、宮川、平野天斗らの猛打が爆発、この回5点。2回目のビッグイニング。完全に岡山学芸館の意欲を潰えた。6回途中から継投した檜垣瑠輝斗は3回を1安打。山口桔平が最後の打者を二飛に抑え、山学高は岡山学芸館高に17安打14対0で圧勝。準々決勝に駒を進め、前回大会覇者・京都国際高と4強を懸けて対戦する。
この日も山学高応援団は登録以外の野球部員、生徒会、応援団、吹奏楽部、チアリーダー部、一般生徒が300人、教職員50人、野球部保護者会・PTAなど学校関係者が当日24時30分に甲府をバス12台に分乗して甲子園に到着。一般応援者を含め約350人、総勢約700人が一塁側アルプススタンドに集結。選手を全力応援で後押した。
選手に向けて応援メッセージ
試合開始前、2回戦に続き選手たちへの応援メッセージを聞いた。
❖吉田正校長は「初戦で少しミスがあった。ミスが続くと勝ちに繋がらないので普段やっているように堅守の山梨学院と言われるところを見せて欲しいと思います。今日は勝ってベスト8に、そしていい旗を持って帰りたいと思っています。簡単なことではありませんが、精一杯頑張って欲しいです」と普段通りのプレーを期待する。
❖大石光泰保護者会会長は「3回戦進出ということは山梨学院の歴史を塗り替えたということですが、そこは2回戦からスタートしていますから実質2回戦目になります。夏の選手権は2回勝ったことがないので何としても勝ったうえでベスト8という肩書を取れればこの上ない幸せです。まだ上を目指しますが、とりあえず2回勝ってベスト8。本当に走攻守仕上がっていますので絶対に勝てると思います」と熱い思いをぶつけた。
❖梅村団主将の保護者・梅村直弘さんは「ここまで来たら1点でも多く取って、勝って笑顔で終わって欲しいのでまだまだ勝ち進んで欲しいです。フォアボールやエラーがあると流れが変わるので、いつも通りの堅実な守備といいピッチィングをしてくれればいけると思います」。主将として頑張っていますが「親としても頑張っているなと思いますが、周りの仲間に支えられてキャプテンをさせてもらっていると感じます。良い学年で、後輩もとても良い子ですので、良い時にキャプテンとしてやらしてもらっていると感じます」。
❖保護者会の檜垣俊人さんは「1勝1勝を積み重ねて優勝という頂点を目指して頑張ってもらいたいと思います」。どんなプレーを期待するかという問いには、「山学高は投手陣も安定していますし、打撃陣もすごい先輩たちがいるので大量点を取って、勝ちきって欲しいです」。息子さんには「先輩たちのために1日でも長く試合ができるよう、精一杯の力を出して頑張って欲しい」とチームに貢献できることを願う。
❖野球部OBでシンガーソングライターとして活躍する伸太郎さんは「僕は朝、選手たちに会ってきたのですが、この言葉を掛けました。“やってこい!”」と一言。「新しい扉を開きました。山梨学院のベスト16。もうこれからは、とにかく僕は笑顔で溌剌と、子どもたちがニコニコしながら野球をする顔を見たいですね」と感慨深く話した。
❖野球部5人のマネージャーの一人、中川美穂(2年)さんは「初戦はいい試合ができて勝ったので今回の試合もミスなくメンバーが頑張ってくれるように応援を頑張ります」。吉川音羽さん(2年)は「みんなのプレーで後押しされる人も多いと思うので、たくさんの笑顔を見られるように応援します」。小林楓果(1年)さんは「メンバーの人たちがいままで頑張ってきたのを見てきたのでその成果を発揮してほしいです」。矢崎万絢(1年)さんは「3年生が1番長い夏になるように、初のベスト8を懸けて勝てるよう応援頑張ります」。高瀬倭子さん(1年)は「3年生がとても恰好良いプレーをして勝ってきたので、甲子園でも格好良くプレーをして勝てるよう私たちもスタンドから応援を頑張りたい」とそれぞれエールを送った。
3回戦と言えども、夏の甲子園2勝目の壁に挑み、8強を目指す
3回戦の山梨学院高の対戦相手は、2年連続4回目の出場となる岡山学芸館高。県大会では、制球力のよい左腕エースの打たせて取る堅実な守備から犠打、盗塁と足を絡ませた機動力を発揮し、しぶとい試合運びで勝ち進んできた。
山学高は、ここまで11回の出場を数えるが、この大会前まで2勝10敗と1大会2勝の壁を破れずにいた。吉田洸二監督に「このチームはこれまでで一番バランスが良い」と言わしめたチームは、昨年の夏の県大会で敗れた日から、ただこの夏の大会出場に懸けてチーム作りを構築してきた。その成果が県大会、そして今大会初戦で実を結び、最強の鎧を身につけたような勝ちっぷりに結晶した。そして迎えた16日、岡山学芸館高と相まみえた。
立ちはだかる菰田。相手打線を寄せ付けず。安打1本無失点
先攻の山梨学院高の先発は2回戦聖光学院高戦好投した菰田陽生(2年)が再びマウンドに上った。試合は1回表先攻の山学高の攻撃。一死後、2番宮川真聖(3年)の中前打を二死後、4番横山悠(3年)の左前の浅い飛球を安打とし、その後の処理ミスで二塁打となり浅川が一気に本塁を陥れ1点を先制した。先発は2回戦に続き菰田陽生がマウンドに登り、初回先頭打者には140キロ台直球勝負で投ゴロ。後続も抑え三者凡退、上々の立ちあがり。3回は先頭打者にこの日最速の150キロの直球で空振り三振。この日は初戦と違い、投球に力がこもっていた。山学高は4回、四死球と盗塁一死三塁一塁から7番菰田が中犠飛で1点を加え2対0とリード。先発の菰田は制球も球の切れも前回よりもよく、6回二死に交代するまでわずか58球1安打無失点と初戦に続き快投した。打線は5回、交代した相手投手を攻め一死後、1番鳴海の安打、2番宮川が四球、3番梅村団(3年)がスクイズバントヒットで1点。二死後6番萬場翔太(3年)の2点適時二塁打、さらに7番菰田自ら左中間三塁打で1点を重ねた。山学高応援団からは選手が打席に立つたびにビッグウエーブの曲がグラウンドに鳴り響き、岡山3番手のエースに対して8番田村颯丈郎(3年)も適時打を放ちこの回、5点を奪いビッグイニングをつくり7対0と優位に立った。
継投後にピンチを迎えるも、2回目のビッグイニングで引導を渡す
6回裏、二死を取ったところで菰田を左腕エース檜垣瑠輝斗(2年)に継投。檜垣は先頭打者に死球を与えると続く打者は振り逃げ二死二塁一塁。さらに次打者には四球で二死満塁のピンチをつくってしまった。だが、ここで慌てずに次打者を一ゴロに仕留め無得点に抑えた。
流れを渡さなかった山学高は7回に1点。8回、先頭9番檜垣の四球から1番鳴海が左中間二塁打、続く宮川の右前敵時打で1点、3番梅村が左前打で続き1点、当たっている4番横山には犠飛で走者を進め、5番平野は左越え二塁打2点と畳みかけた。応援団もビッグウエーブを中心に突撃のテーマとアルプススタンドは一体となり選手とともに戦った。続く菰田も左前打で1点を奪い、打撃でも3安打3打点と躍動した。9回表を終わり山学高は全員安打の17安打で14対0で勝利を目前にした。9回裏、檜垣は相手3番、4番を凡打で退けると、山学高は継投を山口桔平(3年)に託した。山口は最後の打者を二ゴロに抑えた。
山学高は3回戦を突破。実質、2回戦の壁も破り8強に進出した。
試合記録

山梨学院高先発打順・守備位置
1.(右)鳴海柚莱③、2.(左)宮川真聖③、〇3.(三)梅村 団③、4.(捕)横山 悠③、
5.(遊)平野天斗③、6.(二)萬場翔太③、7.(投)菰田陽生②、8.(中)田村颯丈郎③、9.(一)岩城敦仁③
※数字の前の〇は主将
[投手]菰田⇒檜垣②⇒山口③[捕手]横山
菰田=投球回5回2/3 打者数18 投球数58 被安打1 奪三振3 与四死球1 失点0
檜垣=投球回3回 打者数13 投球数44 被安打1 奪三振3 与四死球2 失点0
山口=投球回1/3 打者数1 投球数4 被安打0 奪三振0 与四死球0 失点0
[打撃] 安打17《長打=三塁打:菰田、二塁打:横山、岩城、萬場、鳴海、平野》
四球3 死球0 三振3
[交代](投)菰田⇒(一)岩城⇒(投)檜垣 (一)菰田⇒(走)高橋英登③⇒(一)大石康耀③
(右)鳴海⇒(打)川本喜一③⇒石井陽昇② (投)檜垣⇒(一)大石⇒(投)山口桔平
文(K.F) カメラ(平川大雪、今村佳正、小池裕太) 2025.8.16