全国高校ラグビー山梨県大会決勝
初の私学対決を制し3年連続の花園へ
日川高魂は山梨学院高に受け継がれた

雨中の戦いになった。令和7年度「第105回全国高校ラグビー山梨県大会」決勝が南アルプス市・御勅使南公園ラグビー場で、冷たい雨が降り敷く11月9日に行われた。対戦したのは3大会連続の花園を目指す山梨学院高と準決勝で伝統校日川高の63年連続決勝進出を阻んで勝ち上がった東海大甲府高。山梨のラグビー史上初の私学勢対決を制したのは、日川スピリッツを受けついた再興5年目の山梨学院高だった。
山学のフォワードは強かった。巨漢の鈴木愁平主将とトンガとフィジーからの1・2年生留学生らが押すスクラムは強烈な破壊力を持っていた。敵陣深くに攻め入りラインアウトのボールをモールで押し込み、何度もスクラムトライを決めた。前半だけで26得点を奪いほぼ勝負を決めた。後半5分に敵陣深くに攻め入ったところで東海高の深澤真汰主将にパスカットされ、そのまま70ヤード独走トライを許した他、終盤は攻め疲れからか、守勢に回る時間帯も長かったが、終わってみれば48対7の圧勝。優勝旗と3年連続となる花園切符を授かった。試合後、鈴木愁平主将は「去年はベスト16だった、今年はベスト8以上を目指したい」と語り、古屋勇紀監督は「3年生は花園に出る前に入部してきた。1・2年生は花園に出て全国から集まってきた。今年のチームは、“3年生を花園に”を合言葉にして力をつけてきた。フォワードはまずまず戦えるレベルだが、バックスはまだ力不足、機動力・展開力を上げて全国に臨みたい」とチームの現状を分析した。
山学高ラグビー部の創部は1983年だが、2006年に休部になり、2021年に再興された。その指導を託されたのが日川高全盛期の名選手古屋勇紀監督、県教員を定年退職し山学高の指導に当たっている。また、山学大ラグビー部の梶原宏之監督は古屋監督の後輩の元日本代表選手、日川高OBの名選手たちがスクラムを組んで山学ラグビーの指導に当たっている。日川高の赤と黒のジャージーの貢献度は山梨のラグビーにとって計り知れない。県勢の全国大会出場は58回あるが、そのうち52回を日川が占める。最高位となるベスト4進出は8回。新生山学高ラグビー部は、3年生とともに正月を花園で迎えベスト8以上を目指す。上野敦男監督、有賀健監督らが作り上げた日川ラグビーの伝統の灯は、確かに山梨学院高ラグビー部に引き継がれた。
試合結果

◆決勝先発メンバー*〇内数字は学年
FW1石原蒼汰③、FW2櫻井飛和②、FW3ボレ・ビリアミ・マロロ②、FW4ラヴアメ・コロコヴ・クナハウ①、FW5鈴木愁平③,FW6野々村優音②、FW兵頭航太②、FW8伊藤直哉②、SH9菅沼直樹③、SO10熊谷 永遠②、BK11石川龍彦①、BK12石原弦飛③、BK13白井奏銘②、BK14篠原智也②、FB15原澤沙門2
◆途中交代リザーブメンバー
FW16小西晴陽②、FW17高野太志③、FW18武藤玄汰②、FW19南雲瀧師②、FW20小玉一翔②、FW21下條耕正③、BK22森雅哉②、BK23小谷田利輔②、BK24宮里楽空②、BK25長島徹生③
文(井出 昌孝)、カメラ(今村 佳正)2025.11.9

