山梨学院大学ニュースファイル

経営学部ゼミナールによるSDGs出前講座を甲府市立湯田小学校放課後児童クラブで開催

Vol.3550 | 2025年11月6日

地域と大学がつながる
子どもたちと大学生が一緒に“未来”を考える時間

2025年11月6日、山梨学院大学経営学部の学生たちが、甲府市立湯田小学校放課後児童クラブで「SDGs出前講座」を実施した。この取り組みは、甲府市が主導する若者によるSDGs普及啓発事業として、子どもたちにSDGsを楽しく学んでもらうことを目的に、甲府市・リコージャパン株式会社山梨支社・山梨学院大学の連携事業として企画されたものだ。企画から講座運営までのすべてを学生5名が担当した。

放課後の校庭では、バドミントンを楽しんだり、元気いっぱいに走り回ったりする子どもたちの笑顔があふれていた。集まった約30名の児童たちは、大学生から手渡されたカラフルな資料を一人ひとり大切そうに受け取り、嬉しそうにページをめくっていた。スクリーンに映し出された資料に目を輝かせながら、「何が始まるのだろう?」とワクワクした様子で席につく子どもたち。そんな期待に満ちた空気の中、講座がスタートした。

SDGsってなんだろう?

講座は学生による自己紹介から始まり、「今日はみんなと一緒に、みんなが笑顔で暮らせるようにするお約束、SDGsについて学びます!」という言葉に、子どもたちの目が輝いた。
スライドには富士山のイラストが映し出され、「悲しそうな富士山と笑顔の富士山、どっちがいいかな?」と語りかけながら、SDGsの考え方をやさしく紹介。「これは世界のみんなで守る約束なんだよ」と説明し、今回は身近な例を交えてSDGs17の目標のうち、3つの目標(3.すべての人に健康と福祉を 10.人や国の不平等をなくそう 12.つくる責任、つかう責任)を紹介した。
さらに、WFP(国連世界食糧計画)のマークを見せながら、「このマークのお菓子を買うと、ごはんが食べられない国の子どもたちのお手伝いができるよ。家族と話してみよう!」と呼びかけた。

〇×クイズで楽しく学ぶ!

授業の後半は、10問の〇×クイズを実施。「おなかいっぱいになったらごはんはのこしてもよい?」「ひとにやさしくすることは、SDGsの1つになる?」「おひさまのひかりを電気にかえることができる?」など、ひらがなややさしい言葉で出題されたクイズに、学生が「〇だと思う人は手を挙げて!」と声をかけると、子どもたちは元気いっぱいに手を挙げて答えていた。「間違えてもいいよ」「自分の考えに自信をもってね」と学生たちは子どもたちに寄り添いながら進行。低学年の児童にもわかりやすく工夫された授業は、笑顔と発見に満ちていた。

手話で“ありがとう”を伝えよう

続いて、SDGsの理念にもつながる「ありがとう」「ごめんね」などの手話体験を行った。初めて手話をする子どもたちも多く、学生が一つひとつ丁寧に動作を説明しながら、「みんなで声を出してやってみよう!」と呼びかけると、子どもたちも元気に手話を練習。学生と一緒に前に出て発表する子どもたちも現れ、「ありがとうは、みんなを大切にする気持ちだよ」という言葉に、真剣な表情で手を動かしていた。
講座の最後に、学生から「SDGsってわかったかな?今日聞いたことを家族にも伝えてみようね」と学生が語りかけ、手話で“ありがとう”をお互いに伝え合いながら、温かい雰囲気の中で締めくくられた。
講座を終えた子どもたちからは、さまざまな感想が寄せられた。「SDGsの目標が17個あるのを初めて知りました。手話をやってみようと思います」「楽しかった!」「SDGsは世界を守るために大事なことだと知れてよかったです。今日教えてもらった3つの目標以外の、残りの14の目標も調べてみたいと思いました」。子どもたちが楽しみながら学び、世界の課題に関心を持つきっかけとなったことが伝わってきた。

SDGs出前講座後のインタビュー 

甲府市 企画部 財政経営室 連携共創課 課長補佐 矢崎亜矢さん

今回の出前講座は、甲府市が提示した「SDGsの普及啓発」というテーマに対し、学生たちが自ら企画・構成を考える形で進められた。甲府市からはアドバイスを行いつつも、授業形式や内容、使用するツールなどは、すべて学生の自由な発想に委ねられている。
担当の矢崎亜矢さんは、「今の学生は高校時代から探究的な学びを経験しているため、授業の進行も非常にスムーズだった。子どもたちの反応を見ながら臨機応変に対応する姿が印象的で、分かりやすく心に残る授業だったと思う」と語る。 また、「甲府市としては、今後も大学との連携を積極的に進めていきたいと考えている。SDGsに限らず、地域活性につながるような、学生ならではの視点を活かした取り組みに期待している」と、今後の展望も述べた。

経営学部3年 百瀬さん、石原さん、望月さん、花形さん、茂野さん

SDGsに関心を持つ経営学部ゼミナールの学生5名がチームを組み、約4か月間の準備を経て、湯田小学校放課後児童クラブで初めての出前授業を行った。
授業後、学生たちは次のように振り返った。「今日は初めての講座で、準備には4か月ほどかけた。小学生はすぐに飽きてしまう。聞くだけでは集中が続かないと思い、絵を見せたり、双方でコミュニケーションをとるよう工夫した」。「思っていた以上に子どもたちが積極的で、進行がとてもスムーズだった」と笑顔を見せた。「手話の際、子どもたちが前に出て一緒にやってくれた。子どもたちの反応を見ながら、柔軟に進められたと思う」と振り返る。「小学生に資料の内容や言葉が伝わるか不安だったので、甲府市やリコージャパン株式会社山梨支社の方々からアドバイスをもらい、メールでやり取りを重ねながら、漢字とひらがなの使い分けなど、どう伝えるかをチームで話し合った」と語った。「子どもたちと関わるのがとても楽しかった。SDGsだけでなく、地域に関連した、子どもたちが主体となって楽しめる活動も考えていきたい」と意欲を見せた。

経営学部 古屋亮教授

今回の出前講座について、「とにかく、取り組みを通じて何かに気づいてもらうことが大事」と語る。学生たちは企画段階から甲府市や企業とやり取りを重ね、授業の構成や伝え方を自分たちで考え、現場で実践した。「企画を練って、外部に提示するといろいろな意見をもらう。その中で、自分たちの考えがどう受け取られるかを知り、気づきを得ることができる。実際に現場に立ってみると、何が伝わっているのか、何が伝わっていないのかがはっきりと分かる。人前で話すことは大きなストレスだが、それを経験することが何より重要だ」と語る。
また、古屋教授は、学生たちが自分なりの気づきを得て、それを次の活動にどう活かすかを常に問いかけている。「振り返りは特に大切で、しっかりフォローをする。『これは、どういうこと?』『当初の狙いは達成されたのか?』と問い続けることで、うまくいかなかった部分にも意味があると気づける。その気づきを次にどうつなげるかを考える力を育てたいと思っている」。学生たちの主体的な取り組みを見守りながら、必要なときに問いを投げかけ、学びを深める姿勢を促す古屋教授の指導は、ゼミ活動の中で実践的な力を育む大きな支えとなっている。

今回の出前講座は、SDGsをテーマに地域と大学が協力する新しい学びの場となった。子どもたちにとっては、世界の課題を身近に感じるきっかけに、学生にとっては、地域とつながりながら学びを実践する貴重な経験となった。

文(M.N)・カメラ(平川 大雪)2025.11.6