山梨県高校総体閉幕 山学高大会2日目・最終日
山学高男子が3年連続総合優勝、女子は2年連続2位
6500人の青春は真っ只中、その爽やかさが眩しい

3日間にわたる高校スポーツの祭典「第77回山梨県高校総合体育大会」が9日、閉幕した。甲府市・小瀬スポーツ公園をメイン会場に県内各会場で行われ、高校生アスリートが学校対抗得点獲得に力と技を競い、熱戦を繰り広げた。山梨学院高校は男子が12競技、女子が8競技に出場。私学の名誉と実力を懸けて挑んだ結果、学校対抗得点で男子は3年連続5回目、14回の優勝を果たした。女子はあと1歩及ばず2年連続準優勝となった。優勝に大きく貢献したのは、男子では硬式野球、陸上、バドミントン、ラグビー、水泳。女子はテニス、ソフトボール、陸上でなどで、特に陸上競技では男女とも中・短距離種目での大きな得点やテニスは女子が団体12連覇と個人シングルスで1,2,3位を独占、ダブルスも1位から4位まで山学高が独占する抜群の強さを見せた。さらに水泳は、男子が5種目で優勝するなど総合2位となった。ソフトボールも相手を寄せ付けず圧倒した。その他、団体女子バドミントン2位、男女空手道も上位入賞し、新しい競技では卓球男子2位、女子3位と躍進。得点獲得に貢献した。また、5年前に復活したラグビーも順当に2年連続優勝を果たした。全競技終了後に行われた閉会式で成績発表、表彰式が行われ山学高男子に優勝旗が授与された。総合成績は男子優勝:山梨学院高、2位:甲府工業高、3位:日本航空高。女子は優勝:日本航空高、2位:山梨学院高、3位:甲府商業高と続き、6位までが表彰された。
大会2日目(陸上競技は3日目)
5月8日午前9時、釜無川スポーツ公園で女子ソフトボール準決勝が行われた。試合前、石川まゆは主将(3年)は「昨日はいい感じで勝てたので、今日は点を獲ってピッチャーを楽にして勝ちたい」と甲府昭和高相手に、有言実行するがごとく初回先頭打者に立った石川が中越えの本塁打、次の打席でも右越えの2点本塁打を放ち、試合は山学高が勝利。決勝戦も帝京第三高を破り優勝。続いて熱戦が続く陸上競技女子800mでは、中里樹乃(1年)が女子400mに次いで優勝した。中里は1周目、2周目と集団の後方に位置していたが残り100mでスパート。1着でテープを切った。中里樹乃選手は「今まで練習してきた成果が出せてうれしいです。強い選手がたくさんいて緊張しましたが、自分の走りに自信を持って、全力で走りました」。続いて行われた男子800mでも佐藤新太(3年)がスタートから前傾姿勢で一気に先頭に立ち、そのまま後続を引き離して優勝した。佐藤新太選手は「1周目は設定より速かったですけど、身体も思うように動いて2周目目の最後は少し落ちましたが、耐えて自己ベストで走れたので良かった」と快心のレースに笑顔がこぼれた。2位の錦織颯選手(3年)は「新太がいたので絶対に2位を獲るというイメージで走っていました。最初はついて行こうと思いましたが、スピードが違ったため2位を死守した方がいいと判断した」。
同じ時間帯にテニス場では、男女ダブルスが行われ、男子では駿台甲府高と3位決定戦が行われ、惜しくも敗れ4位となった。女子は決勝戦と3位決定戦の4チームの同門同士の対決となり、優勝は三好栞奈(3年)・深沢茉央(3年)ペアが佐藤里美(3年)・吉井來末(3年)を破り優勝した。
陸上競技場に戻ると女子3000m決勝が行われ、坂元唯花(3年)がレースを引っ張り、ラスト1周で新鋭・大﨑美希(1年)に抜かれたが、最終コーナーから抜け出た直線で二人がスパート。先輩の坂元が競い勝ち意地を見せた。坂元唯花選手は「自分でレースを引っ張るというのは得意ではないので、後輩に抜かれるまでは体力的にも精神的にもしんどく、ここでついて行ったら楽かなとも思ったのですがこれが反省点ですね」とレースを振り返った。坂元は昨年に続き、このレース2連覇。今回は1500mに次いで2冠を達成した。男子5000mはスタートから1500mでも優勝したフェリックス・ムティア(3年)が異次元の走りを見せ独走の優勝。2位、3位に保々遼斗(3年)、橘田響(3年)が続き、対抗得点に大きく貢献した。
陸上最終日に男女4X400mR(リレー)が大会を最高潮に盛り上げた
陸上最終日に最終種目、陸上の花・男女4X400mR。初めに女子の部が行われた。山学高女子の布陣は第1走・三井陽里(3年)はややスタートで遅れるも、第2走者・戸澤瑠南(2年)はトップに順位を引き戻し、第3走者・持田美陽(2年)は3位でリレー、そして最終第4走者・中里樹乃(1年)は中間点で2位に浮上。ゴール前100m付近でラストスパート。1位でゴールを走りぬけた。レース後、三井陽里選手は「緊張しましたが、走り切れてよかったです。もともと4人は仲が良いので1位を目指し頑張りました」。戸澤瑠南選手は「優勝を目指していたのでうれしいですし、タイムも目標より速いタイムで走れたので、チームとしてもいい結果でした」。持田美陽選手は「次のアンカーを走る中里さんに少しでもいい位置で渡したいという思いがあったので、自分が思っていたよりも粘ることができ、良かったです」。中里樹乃選手は「絶対に優勝するぞという気持ちで、全力で走りました。頼りになる先輩ばかりなので安心して走れました」とそれぞれ話し、写真に納まった(左から走者順)。
続けて行われた男子4✕400mは第1走者・雨宮剛生(2年)は2位でリレーすると、第2走者・佐藤新太(3年)は1位で第3走者・錦織颯選手(3年)にバトンを渡した。一時は2位に落ちるも、仲間の気持ちがこもったバトンを大きく振って1位を死守。第4走者・三島泰叶(2年)とのバトンの受け渡しも上手くいき、三島は一気に20m差をつけた。しかし、後続一人に追いつかれ、最終コーナーを抜けるとスパート。15mの差をつけ1位となった。男女W優勝を飾った。雨宮剛生選手は「前半、他のチームに先行されて焦りましたが、自分の走りを続ければ抜けると思ったので、冷静に行けてよかった」。佐藤新太選手は「最初は差があって、自分もきつかったのですが、最後は力を振り絞り走れてよかった」。
錦織楓選手は「自分の役目がしっかり先頭でいい位置で渡すことだったので、その役目はしっかりこなせた」。三島泰叶選手は「トップでもらったので最後は絶対に1位でゴールしかないと思って、自分の種目のタイムがよくなかったので最後いい形で終われてよかった」とはにかんだ。最後は女子と同じく4人で写真に納まった(左から走者順)。
陸上競技の総合成績は男女とも優勝という最高の結果を残した。
大会3日目最終日
5月9日大会最終日、11の決勝競技が行われた。山学高はその内5競技の決勝戦に臨み、ラグビー、ホッケーは優勝し、関東大会に出場。テニスシングルスは優勝の三好栞奈選手、2位深沢茉央の二人は関東高校・インターハイの出場権を獲得した。バトミントン団体戦は男子が5連覇を果たし、インターハイ出場を決めた。女子は甲斐清和高に敗れ準優勝となった。
昨年、部活動が本格的に復活。1年で山梨県トップに近づくバスケットボール部
2月の新人戦決勝で絶対王者日本航空高を破り、初優勝を果たしたバスケットボール部は再び山梨県総体決勝で日本航空高と富士北麓公園体育館で対戦した。この試合には、一気に力を付けた山学高が日本航空高にどこまで戦えるか、メディアの関心も高く、多くの報道陣も行方を追った。試合は第1Q立ち上がり、山学高が着実に得点を重ねリードするも、日本航空高の3Pが決まると流れが大きく変わり、この後、第1Qから第2Qにわたり、連続17ポイントを奪われ、ワンサイドゲームの状況となった。その後第3Qに入り、山学高も一時差を5得点まで縮めるが、日本航空高もインターセプトからの得点や、インサイドプレーでのパスの正確さ、積極的なカットイン、ドライブシュートなど、ことごとく山学高ディフェンスを破り得点を重ねていった。この日は日本航空高のスピードとディフェンス力、得点能力の差など組織力に違いを見せつけられ、山学高は最後まで立て直しに苦慮し、2位に終わった。次はインターハイ山梨県予選でリベンジすべく、チームを見直す。
総合成績発表・表彰式
すべての競技が終了し、午後3時より小瀬スポーツ公園体育館で成績発表と表彰式が行われた。総合優勝した山学高男子には、高体連の山田芳樹会長より山梨学院選手団の代表として生徒会役員が優勝旗を受け取った。3日間にわたった熱戦はこの日で閉じられたが、ここでの経験が高校生アスリート一人ひとりに新たなる目標を与え、青春の1ページに記憶として記された。山学高の小林里美生徒会長は、男女の好成績について「一人ひとりだけでなく、出場した選手の多くが結果を残したことで、成し遂げられたことだと思っています」と話した。
今大会の学校対抗得点
《男子総合得点》=1位:山梨学院50点、2位:甲府工40点、3位:日本航空34点、4位:駿台甲府30,5点、5位:甲府南22,5点、6位:日大明誠21,5点
《女子総合得点》=1位:日本航空28点、2位:山梨学院27点、3位:甲府商25,12点、4位:甲斐清和19,5点、5位:駿台甲府17点、6位:甲府南15点
文(K.F) カメラ(平川大雪、今村スタジオ、小池裕太) 2025.5.09