第77回春季関東高校野球大会準々決勝
山学高 強豪東海大相模高に快勝4強
檜垣9回完投 打線もつながり14安打

5月21日、「第77回春季関東地区高校野球大会」2回戦準々決勝に進出した山梨学院高は、1回戦の寒さにうって変わり暑さを感じるノーブルホームスタジアム水戸で東海大相模高(神奈川2位)と4強を懸け対戦した。試合は1回、両チームとも得点圏に走者を置くも、無得点。先攻の山学高は2回、先頭の梅村団の四球と萬場翔太の二塁打などで1点を先制。その裏、東海大相模高も山学高の2試合連続先発の檜垣瑠輝斗から1点を奪い、同点とした。東海大相模高は、3回にも2連続安打を犠飛で返し1点を追加、リードした。一方の山学高も4回に先頭の梅村への四球と萬場の左前打で得点のお膳立てをしたが、次打者のWプレーで好機を逃したかに見えるも、ここは山学高のつなぐ野球の神髄を見せ、檜垣が三塁強襲安打で1点。続く1番高橋英登の左前適時打、石井陽昇も右中間への2点二塁打で続き4対2と逆転、序盤で東海のエースをマウンドから下した。先発の檜垣は序盤に2点を失うもそれ以降は、散発安打と味方守備にも助けられ、安定した投球で追加点を待った。7回表、山学高は3番菰田へのエラーを足掛かりに横山の二塁打、平野四球の一死満塁から6番梅村が中前敵打で1点。さらに打撃好調の萬場が適時打で1点を加え6対2と、檜垣に大きな力を与えた。9回裏、東海大相模高の攻撃。檜垣は安打と味方のエラーでピンチ迎えたが、続く打者のニ直でWプレー。昨年甘んじた8強をまずは越え、4強に進出。準決勝は24日、同球場で健大高崎高と対戦する。
山学高、前半は先制も一転二転
❖19日、山梨学院高の初戦はこの時期には“寒い、寒い”と震えるほどの季節外の天気。1日置いて迎えた山学高の2回戦準々決勝は一転、夏を思わせる蒸し暑い晴れの1日となった。1回戦千葉の叡明高にタイブレークで勝利した山学高は、準々決勝で神奈川2位の東海大相模高と対戦。東海大相模高とは昨秋の関東大会でタイブレークを制しているが、強豪には違いない。
試合は1回、両チームとも2安打で得点圏に走者を置くも、無得点。先攻の山学高は2回、先頭の梅村団(3年)の四球とこの大会打撃好調の萬場翔太(3年)が左翼越えの二塁打を放ち、無死三塁二塁。続く8番鳴海柚萊(3年)の一ゴロの間に1点を先制。なおも走者を三塁に置いて9番檜垣瑠輝斗(2年)の三ゴロに俊足の萬場が果敢に本塁を狙うが、タッチアウト。
この回は先制の1点に終わる。その裏、東海大相模高も山学高の2試合連続先発の檜垣から一死後、打者が死球で出塁すると、次打者が鋭く三塁ベース際を抜く適時二塁打で、すぐさま1点を奪い同点とした。東海大相模高は3回にも2連続安打を手堅く犠飛で返し、1点を追加。1対2と逆転した。一方の山学高も、給水タイムを挟んだ4回に先頭の梅村への死球と萬場の左前打で無死二塁一塁。追加点のお膳立てを、次打者鳴海のWプレーで好機を逃したかに見えたが、二死三塁から山学高は、身上とするつなぐ野球が機能。檜垣が三塁強襲安打でまずは1点。続く1番高橋英登(3年)がフルカウントから粘って左前適時打、石井陽昇(2年)も右中間への2点二塁打で続き、この回3連打を含む4安打、4対2と再逆転。序盤で東海大相模高のエースをマウンドから下した。先発の檜垣は序盤に2点を失うも、それ以降は、安定した投球で散発安打に抑え、味方守備にも助けられて、6回まで無失点に抑えた。
終盤7回、追加点の欲しい山学高
試合も7回表、4対2とリードする東海大相模高を相手に追加点が欲しい山学高。一死から3番菰田陽生(2年)の深い遊ゴロが相手失策を誘い出塁。4番横山悠(3年)はここまで3打数3安打。この打席でも初球を振り抜き、左翼線二塁打で4打数4安打。一死三塁二塁にすると、5番平野天斗(3年)の四球で満塁。続く6番梅村、萬場と適時打が続き2点を重ねた。先発で相手打線を抑える檜垣にとって、これ以上の大きな支えはなかった。8回裏を僅か7球で三者凡退に抑え9回、東海大相模高の先頭打者を空振り三振で切ると、一塁側応援スタンドから大きな声援が起こった。続く打者に左前打、味方失策が絡み一死二塁一塁となるも、最終打者に投じた
初球は二ライナー、Wプレーで山学高の勝利で幕を閉じた。山学高は4強に進出。紛れのない強豪として名を留めた。
試合記録
◆準々決勝 山梨学院高VS東海大相模高 5/21(水) ノーブルホームスタジアム水戸
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
山梨学院高 | 0 | 1 | 0 | 3 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 6 |
東海大相模高 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
◆山梨学院高先発メンバー 〇囲みは学年、〇印は主将
1.(左)高橋英登③、2.(中)石井陽昇②、3.(一)菰田陽生②、4.(捕)横山 悠③、5.(遊)平野天斗③、〇6.(三)梅村団③、7.(二)萬場翔太③、8.(左)鳴海柚来③、9.(投)檜垣瑠輝斗②
◆山梨学院高バッテリー=檜垣-〔捕手]横山
[投手]檜垣:投球9回 打者35 投球数101球 被安打9 奪三振3 与四死球1 失点2
[打撃] 安打14(長打:二塁打=萬場、石井、横山)、三振8、四死球4
[交代]なし
試合後のインタビュー
吉田健人部長は勝因を「今日はいいつながりをしました。簡単に1球でパーンと打ってアウトになること等がなく、相手に5、6球投げさせてダメージを与え、アウトになることが多かった」と打線の効果を挙げた。連投の檜垣投手について、「初戦は合わせられましたけど、ビデオを見て東海大相模高の方がちょっと合わないのかなと思ったので、もう1回そのまま投げさせました。今日は良かったです」と分析の結果が吉とでた。次の健大高崎戦には「今年の関東大会に関しては、健大さんと横浜さん2つが抜け出て、うちが3番手位にいると思うので、あくまでもうちは選抜に確定というところで選ばれたわけではないので、この春からどれだけチーム力が上がるか、夏仕様にしてきたので今その部分が出ていると思うのですが、それが両チームにどれだけ通用するか、選手にはいい経験になる」とすでに夏の甲子園に照準を合わせていた。
1回戦に続き、大事な2回戦にも先発した檜垣瑠耀斗選手は「自分はテンポというところが持ち味なので1回から9回までどういう風に同じテンポで投げられるか、考えながらできたところがよかった」と試合を振り返った。1回戦と違うところは「自分はランナーが出ると動揺してしまい、悪い癖が出るのですが、それがでなかった」と好投の理由を明かした。24日の準決勝にも登板の可能性があるが、「今日はいいピッチングができましたが、その時は今日のことは忘れて、自分の持ち味を(新しい気持ちで)出していきたい」と意欲を示した。
檜垣の投球リードと5打数4安打の打撃で勝利に貢献した横山悠選手は、「今日はチームが一つにつながるというところでいい結果が出たと思います」。次の健大高崎戦には「健大さんもチーム力、ピッチャーもいいですし、簡単に戦える相手ではないので、この残りの2日間を大事にまたチームが一つになれるように頑張りたい」と笑顔で答えた。
この試合も打撃と堅守でチームを盛り上げた萬場翔太副主将は「あと1点をどちらが取るかという展開の中で、梅村が苦しいところで1本出してくれて、自分もチャンスだったのでつないで打っていこうと打席に立ちました」と追加点が欲しいところでの一打となった。2試合を振り勝って「1回戦苦しい状況から勝ちきれたことが大きくて、次の健大高崎戦は全国的にも上位のチームなので、どれだけ自分たちの力を出していけるか、頑張ります」と話した。
梅村団主将はつながりを軸としてチームをまとめてきた。「今日は打つ方に関しては3年生が中心になり、そこに2年生も絡んでつながり、点を取ることができましたし、投手の檜垣もいいテンポで投げてくれたので、チームにいいつながりができたと思いますけど、もちろんミスもあったので、そこを次の試合までに直していく作業を繰り返して試合に臨みたい」と気の緩みは全くない。
24日の準決勝は、第1試合に横浜高-専大松戸高(10時)、健大高崎高-山梨学院高(12時30分)の2試合がノーブルホームスタジアム水戸で行われる。
文・写真(K.F) 2025.5.21