第54回関東高校ホッケー大会1日目 山学初戦快勝
成城学園高に大勝も、最後まで自分たちのプレーに徹する
活きのいい1年生が加わり、選手層に厚み

高校ホッケー関東一を決める「第54回関東高等学校ホッケー大会」男子の1回戦4試合が6月7日、埼玉・飯能市阿須ホッケー場、駿河大学ホッケーグラウンドで行われた。1都7県男子8校、女子6校によるこの大会は全国高校総体(インターハイ)関東地区予選会を兼ねており、男子は5校までに出場権が与えられる。山梨学院高(山学高)は昨年のこの大会で6年ぶり6度目の優勝を飾り、16回目のインターハイ出場を果たした。大会1日目、山学高の第1試合は成城学園高(東京)との対戦。山学高が立ち上がりからボールを支配、相手陣営に攻め込み開始3分、ゴール前の混戦で#15中澤海慈が押し込み先制。12分にはサークル内に供給されたボールを#17加納遵人がリバースシュートを振り抜き2点目。第2Qは#13米山蒼太郎の1点のみで前半は3対0で折り返した。第3Qに入っても、山学高は攻撃の手を緩めずボールを支配し続け、9分に#15中澤(海)がゴール前の混戦でパスを見極めタッチシュートで4点目、その直後にも#17加納の個人技のアシストで#12帆風奨晄がきれいにゴールを決め5点目を奪った。第4Q、疲れが見える成城学園高に対して、なおも攻め入る山学高は司令塔の#8中澤颯吾が序盤に、#18阿部兼人が終盤に2得点ずつを加え10対0で快勝。まずは17回目のインターハイ出場権を獲得した。翌6月8日の2回戦は関東の覇者今市高(栃木)と対戦、2連覇を狙う。
山学高ホッケー部の挑戦
山梨学院高ホッケー部は、ハイスクールスポーツ強化運動部として2007年度に創部。その翌年、2年目で山梨県総体に初優勝すると2009年の関東大会で初優勝。さらに2012年、2013年と2連覇。2016年に4回目、2018年に5回目(山学高と今市高同時)の優勝を果たし、そして昨年、2024年には6年ぶりの優勝に輝いた。インターハイへの出場はこの日の勝利で17回連続と伝統と実績を積み上げていく。
6月7日大会1日目 東京都代表・成城学園高と対戦
山学高の対戦相手の成城学園高は、昨年暮れの選抜出場を懸けた秋の関東大会初戦に山学高が敗れ出場権を逃した早稲田学院高を破り、関東大会東京都代表として勝ち上がってきた。
❖6月7日11時35分。夏の日差しが照り付ける飯能市阿須ホッケー場。山梨学院高のセンターパスで試合は開始した。第1Q(クォーター)立ち上がりから山学高がボールを支配すると、右サイド攻撃を中心に左サイド、中央と自在にパスをサークル内へ供給。山学高はボールへの集散が速く、相手ボールを奪い司令塔の#8中澤颯吾主将(3年)へボールを集め、試合を展開した。3分、左サイドから相手ゴール前へ通した混戦から#15FW中澤海慈(1年)が押し込み1点を先制した。早い時間帯での得点が山学高を後押し、さらに攻撃の手を強めた10分にも、サークル内へ通ったボールを#17加納遵人(2年)がリバースシュートで合わせ2点目。その後も、山学高はスペースを縦横無尽に使い、速攻と攻撃を阻止する相手の反則によるPC(ペナルティコーナー※)獲得で幾度となく成城学園高ゴールを狙ったが、相手GKや守備陣の粘り強いディフェンスにより得点を阻止された。第2Q、成城学園高も反撃を見せるが、山学高の堅固なディフェンスで相手に隙を見せずに対応。相手より速く、より多く走る山学高の優位は揺るがず10分、右サイドからサークルへのパスを#13米山蒼太郎(2年)が低い姿勢のままタッチシュートを決め、3点目を入れた。
❖後半第3Q、サイドが変わり成城学園高のセンターパスで開始。9分、PCを得てその攻防の中から#7MF小林優心(3年)のシュートの跳ね返りを#15中澤(海)がタッチシュートして4点目。11分には#17加納が相手のパスをカット。そのままドリブルでサークル内へ持ち込み#12MF帆風奨晄(3年)にパス。そのままリバースシュートで5点目を奪った。
第4Q、勝敗は決定的になるも、両チームは必死にボールを追った。疲れが見える成城学園高陣営に開始早々3分、山学高はPCを得ると#2楢橋 力(3年)のヒットシュートを#8中澤(颯)がタッチしてシュートを決め6点目。5分には成城学園高ゴール前の混戦の中、こぼれ球を#8中澤(颯)が再び決め7点目。一方的な展開の中、さらに相手ゴール前の混戦。8分、山学高#14FWイルハム ヘルディアンサ(3年)が押し込み8点目。12分、#18FW阿部兼人(1年)が一人ドリブルで持ち込みリバースヒット、9点目。そして終了間際にも、#18FW阿部が押し込み10点目。その直後、試合終了のフォーンが鳴り響いた。山学高はこの勝利で17回連続インターハイの出場権を獲得した。
※PC(ペナルティコーナー)=ホッケー特有のセットプレー。守備側の選手が自陣サークル内で反則した場合など攻撃側に与えられる。攻撃側は自由に人数を割けるのに対して守備側はGKを含めて5人で守らねばならず、攻撃側にとって大きなチャンスとなるプレー。
試合記録

《山梨学院高スターティング11》※〇囲みは学年 #前〇印は主将
#1GK仙洞田光弥②、#2DF楢橋 力③、#3DF望月蒼生①、#4DF興野蒼太②、#6DF秋山波琉①、#7MF小林優心③、〇#8MF中澤颯吾③、#12MF帆風奨晄③、#14FWイルハム ヘルディアンサ③、#15FW中澤海慈①、#17FW加納遵人②
《リザーブメンバー》
#13FW米山蒼太郎②、#18FW阿部兼人①、#10MF飯野耀太①、#11MF有井陸人②、#9MF春山高輝②、#16FW平賀慶士③、#5DF志村咲太郎②
試合後インタビュー
山梨学院高校・大学ホッケー部出身で元男子日本代表選手の高野雄介監督は、一方的な試合に「正直に言うと、今年のチームは昨年の関東大会優勝したチームに入っていた選手が4人位しかいません。だからほぼ関東大会初出場という選手ばかりだったので、堅くなるだろうと思っていて、こんなに点が入るとは思わなかったのですが、とにかくみんなでアップから盛り上げて緊張しないようにと考えて、だいぶ早い時間に点を取れたことが大きかったですね。そこからみんないつも通りのホッケーができたので、結果的にこれだけ点数が入ったと思います。練習試合でも10点も入ったことないですもの」と若い選手の潜在能力に驚きを隠さなかった。
#8MF中澤颯吾主将は「去年負けてしまった相手(早稲田学院高)に勝ったチームだったので、前から前からと攻めて、得点は10点以上目指して戦いました」とリベンジの気持ちも込めて戦った。試合の内容を「自分たちの課題は立ち上がりにありましたけど、今日の試合では立ち上がりから上手く戦えていて、一方的な試合で終われてよかった」と振り返った。翌6月8日の関東王者、今市高との対戦について「今年は1年生が結構強いという噂を聞いていますが、自分たちも1年生が入ったので、しっかりといい試合ができて、勝ちきれるように頑張っていきたい」とライバル心を燃やした。今年の目標は「全国1位です」とさらに上を目指す。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2025.6.7