山梨学院大学ニュースファイル

第54回関東高校ホッケー大会2日目 準決勝

Vol.3494 | 2025年6月8日

立ちはだかる今市高の壁。今回も破れず3位
課題の立ち上がりの失点。重く圧し掛かる

高校ホッケー関東一を決める「第54回関東高等学校ホッケー大会」男子準決勝・決勝が6月8日、埼玉・飯能市阿須ホッケー場、駿河大学ホッケーグラウンドで行われた。1都7県男子8校よるこの大会は全国高校総体(インターハイ)関東地区予選会を兼ねており5校までに出場権が与えられ、山梨学院高(山学高)は前日6月7日の大会1日目に成城学園高(東京)との対戦に勝利し、17回目のインターハイ出場を決めた。8日の2日目は、関東大会で王者として君臨する今市高(栃木)と準決勝に臨んだ。試合は第1Q、立ち上がりの3分、5分と速いパス回しでサークル内に通され、続けざまに2点を失点、優位に立たれた。山学高も徐々にペースを取り戻したが得点には至らず、0対2で第2Qへ。9分、今市高は、中盤位置でのスクープパスから前線選手が前に出たGKをさらにスクープシュートし3点目を挙げた。第3Qは、今市高に主導権を握られるも無得点に抑えた。第4Q、反撃したい山学高だが、今市高の組織力と個人技で劣勢に立たされ、自陣サークル内での相手パスから山学高ディフェンスの一瞬の隙を見事にシュートされ4点目を奪われた。残り時間も5分となり、挽回も難しい状況になった。山学高は、最後まで死力を振り絞り対抗するも、振り切られそのまま0対4で敗退、3位でこの大会を終えた。

対戦の今市高校

今市高校は、昨年の関東大会では準決勝で敗れる波乱はあったものの、それまでは直近の大会で6連覇を果たすなど、関東の王者として君臨してきた。インターハイ優勝5回、全国選抜大会優勝3回と、全国でも屈指のホッケーチーム。昨年、関東大会6年ぶり6度目の優勝を果たした山学高だが、直接対決はなかったため、満足のいく優勝ではなかった。

❖試合は午前9時、同会場での一戦。昨日の真夏日とは変わり、やや蒸し暑い曇り空の中で開始された。試合は第1Q(クォーター)、立ち上がり3分、今市高がセンターライン正面付近からサークル内へスルーパス。それを今市高の#13がタッチシュートしあっという間の先制。山学高は4分、左サイドの#12MF帆風奨晄(3年)からのパスを#7MF小林優心(3年)がドリブルで相手を交わしサークル内へタイミングの良いパスを入れるも、相手ディフェンスに阻まれた。その直後、今市高は山学高サークル前左からパスが通ったボールを再び#13がタッチシュートで得点。0対2とした。山学高は立ち上がりに得点される課題がこの日も出てしまったが、この得点を機に山学高は堅さが取れ、反撃を開始。#8MF中澤颯吾(3年)を起点に好機をつくるも、無得点に抑えられ第1Q終了。第2Q、今市高はボールをすくい上げ、前に送るスクープパスがよく通り、山学高は苦しめられるが8分、#7MF小林優心(3年)のロングパスがサークル内にきれいに通るも、サポートがなくラインを割った。その直後、今市高が前線にスクープパス。それに反応した#5が走りながらトラップ。すぐさまスクープシュート。まさにファインプレーの得点、0対3とした。その後、山学高も好機をつくるが決定打が打てずに無得点0対3で前半を終了した。

❖第3Q、山学高は円陣を組み気合を入れ選手はグラウンドに入った。
しかし、ここでも今市優位に変わりなく、PC(ペナルティコーナー)で#1GK仙洞田光弥(2年)がファインセーブで得点を防ぐ見せ場や左サイドを#7小林と#6DF秋山波琉(1年)のコンビネーションで相手を突破するパスをセンター内に通すが、サポートが追いつかずにシュートに繋がらなかった。このクォーターは0対0で終了した。第4Q、反撃したい山学高が持ち味のハードワークで好機を生む場面もあったが、さらに今市のそれを上回るスピード、パスワーク、球際の強さでボールを支配され主導権を握られたまま9分、自陣サークル内での混戦の中、山学高ディフェンスの一瞬の隙を見逃さない今市#4の反転リバースシュートが山学高ゴールに突き刺さり4点目を奪われた。残り時間も5分を切り、挽回も難しい状況になった。山学高は、最後まで死力を振り絞り前へ前へと対抗するも、今市のディフェンスも粘り強く対応。0対4で振り切られた。鍛え抜かれた組織力、フィジカルの強さ、個人技の巧さに、この試合の山学高はあと1歩及ばなかった。

※PC(ペナルティーコーナー)=ホッケー特有のセットプレー。守備側の選手が自陣サークル内で反則した場合など攻撃側に与えられる。攻撃側は自由に人数を割けるのに対して守備側はGKを含めて5人で守らねばならず、攻撃側にとって大きなチャンスとなるプレー。

試合記録

《山梨学院高スターティング11》※〇囲みは学年 #前〇印は主将
#1GK仙洞田光弥②、#2DF楢橋 力③、#3DF望月蒼生①、#4DF興野蒼太②、#6DF秋山波琉①、#7MF小林優心③、〇#8MF中澤颯吾③、#12MF帆風奨晄③、#14FWイルハム ヘルディアンサ③、#15FW中澤海慈①、#17FW加納遵人②

《リザーブメンバー》
#5DF志村咲太郎②、#9MF春山高輝②、#10MF飯野耀太①、#11MF有井陸人②、#13FW米山蒼太郎②、#16FW平賀慶士③、#18FW阿部兼人①

試合後インタビュー

高野雄介監督は「実力の差かな」と完敗の言葉を口に。「でも、0対4という点差の広がるほどの差はないんですけど」と結果に悔やんだ。「ただ、今日は戦術を変えた部分もあって、考え直さないといけないなという反省はあります」。課題の立ち上がりに得点されたが「立ち上がりの時間帯に点を入れられてしまうと、強い相手に返すのはなかなか厳しくなってくるので、そこはインターハイまでの残りの期間でしっかり修正して、一つでも多く勝てるようにしていきたい」と短期間での立て直しを図る。
#8MF中澤颯吾主将は立ち上がりの失点について「2点決められた時に、みんなチャレンジできていなかったということがあって」と態勢の甘さを嘆いた。さらに敗因を「パススピードだったり、決定力、走る量も全然違った。スクープを上げるにしろトラップにしろ、こちらも作戦としてやっていたのですが、それをもう少し活用できたらよかった」と敗因を挙げた。 インターハイに向けては「今日出た課題を改善して、これからもレベルアップして成長し、頑張っていきたい」と前を向いた。

2025年度インターハイホッケー競技は鳥取県で8月2日から5日までの日程で行われる。目指すは、あくまでも全国一。試合後に流した悔し涙を励みに、あと約2ヶ月の間にどこまで仕上げてくるか。期待を寄せる。

文(K.F) カメラ(平川大雪) 2025.6.8