山梨学院大学ニュースファイル

第107回全国高校野球山梨大会決勝戦 山学高3年ぶりV

Vol.3510 | 2025年7月23日

日本航空高に先制許すも、逆転3年ぶりの夏の甲子園出場
春・夏連続出場。“夏のため”全校全力甲子園で全開

7月10日に開幕した「第107回全国高校野球選手権山梨大会」決勝戦が7月23日に行われ、3年ぶり夏の甲子園、春・夏連続出場を狙う山梨学院高と前回大会優勝で2連覇を目指す日本航空高が午前10時、すでに夏の日差しに照らされた山日YBS球場で激突。試合は、日本航空高が先制。山学高が追いかける展開になったが接戦の末、山学高が優勝を飾った。日本航空高の先攻で開始された。山学高の先発は準決勝で好投した檜垣瑠輝斗が決勝戦マウンドも託された。1回表、檜垣は日本航空高1番に粘られ四球を出すと犠打、安打、四球とつながれ一死満塁のピンチに、5番日本航空高エースに敵時打を打たれ2点を先制された。檜垣はその後、立ち直り味方の援護を待った。山学高は4回裏、先頭打者4番横山悠が左中間二塁打、6番萬場翔太の右前打で1点を返すと、8番田村颯丈郎の犠飛で同点に追いつくも、5回表に2連打と死球で一死満塁から次打者の内野ゴロの間に1点を失い、再びリードされた。しかし、山学高打線はしぶとく、5回の裏、先頭の2番宮川真聖が右翼スタンドへ本塁打を放ち同点。山学高は6回裏にも先頭打者8番田村の安打を足掛かりに、相手の失策から1点を奪い、この試合初めてリードした。7回表、山学高は菰田陽生をリリーフに送り、1点を阻止する万全策を取った。菰田はピンチを背負う場面もあったが、無失点に抑え、4対3の接戦を制した。山学高はチーム一丸となり、3年生の悲願だった3年ぶり夏の甲子園切符を手にした。

3年ぶりの夏の甲子園を目指して、伝統の“全校応援”でスタンドを埋めた

7月23日、「第107回全国高校野球選手権山梨大会」決勝戦が行われる午前10時前に、小瀬・山日YBS球場一塁側応援スタンドには山梨学院高生徒会を筆頭に応援団、吹奏楽部、チアリーダー部、登録選手外の野球部員、一般応援生徒約600人が揃いのC2CカラーのTシャツを身につけ、教職員と保護者会約150人を合わせ約750人が山学高伝統の全校応援のため応援スタンドを埋め尽くした。

立ち上がり日本航空に先制されるも中盤、地力を発揮

試合は、午前10時に日本航空高の先攻で開始された。山学高は今年の山梨大会、関東大会でチームの信頼を勝ち取った左腕檜垣瑠気輝斗(2年)が好投した準決勝に続き、決勝戦も先発のマウンドに上がった。1回表、日本航空高の1番がフルカウントから四球を選び出塁。次打者は犠打、安打、四球と一死満塁のピンチを迎えた。続く5番打者に左翼線に痛打を浴び、先制の2点を献上。なおも一死二塁一塁の走者を背負ったが、ここは遊⇒ニ⇒一のWプレーに抑えた。山学高は2、3回に得点圏に走者を出すも無得点。先発の檜垣も立ち直り、4回まで無失点で切り抜けた。4回裏、山学高は先頭打者4番横山悠(3年)が左中間に二塁打。一死後三塁で、打撃好調の6番萬場翔太(3年)が左前適時打で1点を返し、さらに7番菰田陽生(2年)は振り逃げの敵失で一死三塁一塁。8番田村颯丈郎(3年)の中犠飛で2対2の同点に追いついた。振り出しに戻るも束の間、5回の航空の攻撃に先頭打者、次打者の2連打、犠打で一死三塁二塁のピンチを迎えると、力みからか次打者に死球を与え一死満塁。後続の4番を二ゴロに仕留めるが、その間に1点を入れられ再びリードを許した。しかし、今の山学高はつながるをテーマにひとり1人が役割を果たす。5回裏、先頭打者2番宮川真聖(3年)は3回の得点好機に三振を喫し、この回は塁に出ることだけを思い打席に立った。追い込まれた4球目高めのストレートを振り切り打球は右翼ポール際スタンドへ飛び込み、再び振り出しに戻す本塁打となった。

振り出しで流れを変えた山学高リードを守護神菰田が1点を守り切る

檜垣が6回表を三者凡退に抑えたその裏、先頭8番田村颯丈郎(3年)が日本航空高の交代した投手から左前打。続く檜垣の代打岩城敦仁(3年)の投前犠打を失策。無死二塁一塁。さらに続く1番鳴海柚萊(3年)の三前バンドを、一塁暴投で二塁走者が本塁を突いて1点を入れ、この試合、山学高が初めてリードを奪った。7回表、山学高はこの大会から背番号1を託された菰田陽生(2年)が檜垣からマウンドを引き継いだ。菰田は7回、8回と本来のスピードはないが、直球とスライダーを駆使、走者を背負うも無得点に抑えた。9回表も先頭打者に中堅への大きなあたりと次打者の難しい打球を左翼手の好プレーにも助けられたが、最後の打者は遊ゴロに抑え1点を守り切った。山学高は3年ぶりの優勝と、夏の甲子園へ3年ぶり11回目の出場を決めた。

試合記録

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日本航空高2000100003
山梨学院高00021100×4

◆山梨学院高先発メンバー 〇囲みは学年、〇印は主将
1.(右)鳴海柚萊③、2.(左)宮川真聖③、3.〇(三)梅村 団③、4.(捕)横山 悠③、5.(遊)平野天斗③、6.(二)萬場翔太③、7.(一)菰田陽生②、8.(中)田村颯丈郎③ 9.(投)檜垣瑠輝斗②

◆山梨学院高バッテリー=檜垣⇒菰田 ー 〔捕手]横山
[投手]檜垣:投球6回、投球数91、被安打5、奪三振2、四球4、死球2、失点3
    菰田:投球3回、投球数42、被安打3、奪三振2、四球2、失点0
[打撃]安打10(長打:本塁打=宮川、ニ塁打:鳴海、横山)、三振4、四球2、得点4
[交代]檜垣(投)⇒(代打)岩城敦仁③、檜垣(投)⇒(投)菰田(一)⇒(一)岩城、宮川(左)⇒石井陽昇(左)

試合後インタビュー

吉田洸二監督は相好を崩し、「今日は良かったです。1回戦から山梨学院の関係の皆さんが応援に駆けつけてくれて、本当に期待に応えられて良かった」と胸を撫で下ろした。重圧もあったと思うが「病気になるくらい(重圧は)ありましたけど、選手はそれ以上でしょうね。でも勝ちきってこの喜びがあるのでうれしいです。いい決勝戦でした」。終始笑顔で答えた。
夏に向け、チームを鼓舞し続けた梅村 団主将は甲子園出場を決め、「2年悔しい思いをしてきたので、今日勝ててうれしいですし、甲子園が楽しみ」と久しぶりに柔和な表情を見せた。立ち上がりに先制点を取られたことに「硬さはなかったです。(檜垣)瑠輝斗が点を取られることも準備して試合には臨んでいたので慌てることもなかったし、こういう展開も予想していたので落ち着いてできた」。甲子園では「一つひとつを戦うのが最後の甲子園大会なので、その一試合に全力を懸けるつもりで、少しでも勝ち上がれればいい」と慢心はない。
大会を通じて打撃と守備で貢献した萬場翔太選手は、初の夏の甲子園の出場を決めて「自分にとっても初の夏の甲子園ですので、そこを楽しむことを忘れずに思い切ってプレーをしたい」。この大会を振り返っては「4回勝てば優勝ということですけど、その前にまずは目の前の一戦必勝というところで、1試合1試合をベストな状態で準備してきたことが今日の優勝につながった」。甲子園に向けては「一戦必勝というのは変えず、確実に勝ち上がっていけるようなチーム作りをしていく」と気を引き締めた。
好調の打撃と投手のリードで全幅の信頼でチームをまとめた横山 悠選手は今の気持ちを「自分は去年も試合に出させてもらって、悔しい思いをして、あの夏が終わってからこの夏に向けてやってきたことが優勝という形になって本当に良かった」。今日の試合は先制されたが「先制されることも想定していたので、焦ることなく自分たちの攻撃がしっかりできた」と万全な準備が接戦の試合に功を奏した。
山梨学院野球部保護者会長の大石光泰さんは「ほっとしました。今までいい試合内容で勝ち上がってきたので、もう少し楽な展開になるかと思っていましたが、さすが日本航空ですね。甘くはなかったですが、堅実な守備と好走塁が随所に出ましたので、やってきたことが全部出て本当にいい集大成の試合でした」。「3年ぶりということで、選抜大会は出ているけど、次は夏だよとずっと言われていましたので達成できてうれしいですし、反面これからがスタートで、甲子園で優勝を狙うチームなのでまた一つひとつ頑張ってきたい」と選手たちの支えになる。

組み合わせ抽選日は8月3日(日)。ただし、開会式直後の第1試合で対戦する2チームの抽選は、本抽選に先んじて8月1日(金)にオンラインで行われる。本大会は熱中症対策のため、開会式は8月5日(火)16時00分に開催。開会式後の第1試合1回戦は17時30分開始される。

文・カメラ(K.F) 2025.7.23