インターハイバスケットボール 山学高初陣敗退
常連校相手に善戦も、あまりにも大きい第1Q失点が響く
後半は相手を追い詰める場面も。全国大会に手応え

2025年度「全国高校総体バスケットボール競技大会(インターハイ)」(開け未来の扉 中国総体2025)が開幕、27日に1回戦が岡山市・ジップアリーナ岡山で行われた。男子52校、女子51校の計103校が岡山県を舞台に夏の王者を目指して激突する。インターハイ初陣の山梨学院高は愛知代表、出場18回を誇る中部大学第一高と対戦した。奇しくも中部大一高は山学高江崎悟監督の前任校の桜丘高を破って今大会出場した。試合は第1Q(クォーター)開始早々、中部大一高の留学生がゴール下から得点、さらに日本人エースの3Pでリード。山学高も#21桂川遼太郎が持ち込み初得点。その後は、山学高は全国大会初出場のプレッシャーと堅固な相手ディフェンスにより、パス、シュートと手につかず、中部大一高がその間隙を縫い、次々に得点。5対26と大差をつけられた。第2Q、山学高が攻勢を見せた。#1岡本素直のドライブ、#30前田瑛太のインサイドからのシュート、#95コッシーオ・アンドレイ、#5長澤龍未の3Pなどがよく決まり一時は6点差まで詰め寄った。このQは25対16と取り30対42とした。第3Qも、立ち上がりは山学高が先行し、その後は互いに得点を重ねるも山学高の#30前田の2連続3Pが光り、46対58と勝負は混沌とした。互いに疲れが見える第4Q、最後の力を振り絞り合い一進一退が続いたが、最後は中部大一高の3Pが決まり62対75。山学高は終盤まで相手を追い上げたが第1Qの失点が響き初戦敗退した。
創部復活2年目の山学高と対戦する全国大会常連校中部大第一高とは
2024年度、山梨学院高バスケットボール部は強化運動部に指定され、創部復活2年目を迎えた。江崎悟監督を招聘してから1年間の準備期間を経てひ弱な1年生だけの部員をフィジカル、技術、精神面で鍛え上げ、2年目にして県内トップクラスのチームに育て上げ、全国大会インターハイに初出場するまでになった。
対戦する中部大学第一高はこれまでインターハイ17回、ウィンターカップ11回出場の強豪校。2021年度にはインターハイに優勝、2018年に準優勝、冬の王者を決めるウィンターカップにも準優勝、3位と実績を残し、今年度のインターハイ東海大会では現、山学高江崎悟監督が長年指導してきた桜丘高校を破り今大会に出場した。チームは205cmの留学生と192cmの#7日本人の2人エースを中心とした、山学高を一回り上回る身体の大きさが際立つチーム。
山学高の応援にC2Cブルーの保護者応援団
男子インターハイ初日は、ジップアリーナ岡山に設けられた4面コートで各5試合、合計20試合が行われた。山学高は最終試合時刻午後4時10分、Cコートに登場した。プレーサイドの一角に設置されたひな壇の応援席には揃いのC2Cブルーで統一されたTシャツの山学高保護者会応援団約100人が駆け付け熱い声援を選手に送った。
第1Q、危惧されたフィジカルの差が歴然
❖試合は第1Q(クォーター)開始早々、中部大一高の留学生が高さを活かしたポストプレーで先制。直後には日本人エースの3Pでリードされるも、山学高は司令塔#21桂川遼太郎(2年)が持ち込み初得点。しかし、その後は、中部大一高の司令塔に対する執拗なマークによって、山学高の攻撃を封印。さらに山学高は全国大会初出場のプレッシャーと高さある堅固な相手ディフェンスにより、うかつなパスワークや無理な態勢からのシュートなど完全に攻撃不全に陥った。優位に立った中部大一高は攻守の要、リバウンドからのインサイドプレーや3P(ポイント)など多彩な攻撃で山学高を翻弄。26得点を挙げ、山学高はわずか5得点に留まった。第2Q、山学高は一方的な攻撃を打開すべく攻勢を見せた。まずは#1岡本素直(2年)のドライブ、山学高のエース#30前田瑛太(2年)のインサイドからのシュート、もう一人のエース#95コッシーオ・アンドレイ(2年) の3P、#13佐藤瑠威(2年)のカットインと、リバウンドを奪う場面から立て続けに得点。さらに#12ディエイモハメド ファリル(2年)の2連続ポイント、#12ファリルから#5長澤龍未(2年)へのパスからの3Pなどが決まり一気に6点差まで詰め寄った。しかし、相手もこの後盛り返したが第2Qは25対16と山学高のQとし、劣勢を跳ね返し30対42となった。
❖第3Qも、立ち上がりは山学高が先行し、追い上げムードは上がった。#12ファリルの得点と中部大一高の#7の得点の取り合いで進むと、この試合、得点を入れられずにいた山学高#30前田が3Pを決め7点差に縮め、終盤にも2連続となる3Pを決めるが、中部大一高も上位校の意地からか盛り返し第3Qは16対16のイーブン、46対58と12点差まで広げられた。第4Q,あと一歩まで迫る山学高。序盤は、攻め入るが相手のガードが堅く、攻撃では#8留学生と#7日本人エースにボールを集め、山学高はターンオーバーで得点を奪われるなど徐々に点差を広げられた。互いに疲れが見られる中でも、激しい攻防で応援席を沸かせるが、#1岡本がオフェンスリバウンド奪いこのQ,初めての得点を入れると、#13佐藤がドライブ、#95アンドレイのフリースローで反撃。さらに終盤にも#30前田、#12ファリルのポストプレーで食らいつくも、終了間際に相手に3Pを決められ、このQも16対17のイーブン、結果は62対75と敗れた。第1Qの大差を覆すことができなかったが、インターハイ常連校に最後まで追い詰めた見事な戦いぶりは大健闘と言える。ウィンターカップにつながる大きな経験を積んだ全国大会だった。
試合記録

◆山梨学院高のスターティング5(ファイブ)
#1岡本素直②、#12ディエイモハメド ファリル②、#21桂川遼太郎②、#30前田瑛太②、#95コッシ―オ アンドレイ②の5人。
◆サブメンバー・交代=〇#3廣島樹々人③、#5長澤龍末②、#13佐藤瑠威②、#55ディオフ サム①、#71北澤 蓮①、#91川島花海①が随時途中交代した。※#前の〇印は主将、〇の中の数字は学年。
試合後インタビュー
江崎悟監督は開口一番「初めての全国大会はこうなる」と第1Qの大差を悔いた。「後は悪いなりに慣れてくればあのような感じになるが、しょっぱなにあのリードは。やはり強い相手とやるときは先行して逃げ切らないといけないのに追いかけるはちょっときついですし、相手の身体の大きさ、背の高さに手を焼いた。フォワードにもっと点を獲ってもらいたかった」と敗因を語った。初の全国大会を経験して次に向け「県大会を心配しないようにこの夏にチーム作りをして、相手を圧倒できるように全国標準というチームをつくって、意識も全国に持っていき一人一人がもう少し得点を取れるようにしないといけないですね」とさらなる上を目指す。
ゲームキャプテンを務めた桂川遼太郎選手は「初めての全国大会ということで創部2年でインターハイに出られるのは貴重な経験でした。その大舞台でやった時に自分たちの経験の無さからか緊張してしまっていつもの自分たちのプレーがあまりできなく、いい流れが掴めなくて負けてしまったのですが、やはりこの経験を無駄にしてはいけないと思うし、課題もしっかり持ち帰って自分たちの成長にしっかりとつなげていかなければいけない」と全国大会出場で学ぶ経験は大きい。
ゴール下のリバウンドで貢献した岡本素直選手は、初の全国大会に「みんな緊張して、いい状態で試合に入れず、自分たちのバスケができずにそのままプレーが続いてしまい、何もできないまま第1Qが終わり、ずるずるといってしまった」と雰囲気にのまれた。全国大会での印象は「県大会とはレベルが違い、身体の強さとか、ワンプレー、ワンプレーの大事さが鍵になってくると思ったので、その経験は忘れてはいけないと思うし、それを積み上げていくことによって自分たちがもっと強いチームに、全国でも勝っていくチームになると思う」と経験を強さの糧とする。
エース前田瑛太選手は「自分たちがやれることを全力でいつも通りに出し切れれば勝てるという思いで臨みましたが、やはり本大会になってみると最初のプレーのやり出しやチームのプレーができなかったときに、そこで自分がしっかりシュートを決めていれば状況は変わったと思います。こういう場で経験を積んで、最初からチームプレーができるようにしていきたい」と役割を果たせなかったことを悔やんだ。第3Qの連続3Pについて「最初は全然シュートが入らなくて、あそこで2本決まったのですが、その後に自分がミスしてしまい流れを呼び込むことができなかった。そこはチームの課題でもあるし、自分の課題でもあるのでしっかり改善していきたい」と前を向いた。
唯一の3年生で最後の試合となった廣島樹々人主将は「全部が上手くいくわけはないとは分かっていたのですが、そんな中でもみんなが全国に全力で向かって行く姿。もちろん悔しいですが、何にもできずに負けた勝負ではなく、自分たちのやるべきことはやって、その上で実力差があっただけだと思う。この先、今残っている後輩たちには今回の経験を無駄にしてほしくなく、先に進んでもらいたい」と言葉を残した。
文(K.F) カメラ(平川大雪)2025.7.27