明治神宮野球大会山学高初戦突破
関東大会優勝校として帝京高と対戦
石井大活躍満塁走者一掃逆転2塁打

秋の学生野球日本一を決める「第56回明治神宮野球大会」が11月14日に開幕した。各地区優勝の高校10校、大学11校が出場、関東大会優勝の山梨学院高は3年ぶり2度目の出場、大会初日に東京代表の帝京高と対戦した。1番の石井陽昇がこの試合5打数4安打の活躍、8回表には満塁走者一掃の逆転3点2塁打を放つ殊勲打。投手陣は木田→檜垣→菰田→そして公式戦初登板の1年生左腕渡部瑛太への4人の継投で強打の帝京打線を3点に抑え6対3で勝利、準々決勝進出を決めた。
先行したのは帝京高だった。2回裏に6番蔦原外野手に本塁打を放たれるなど6回までは1対3とリードされた。7回表に3番菰田陽生(こもだ はるき)主将のタイムリーで1点差に追い上げ、8回表2死から下位打線の3連打でこの試合最大のチャンスを作り、ここまで3安打の1番石井陽昇(あさひ)中堅手が初球をライトセンター間に深々と放ち満塁走者一掃の逆転3点2塁打で試合をひっくり返した。先発した木田倫太郎が持ち味の強気のピッチングで好投、檜垣は関東大会ほどの出来ではなかったが要所を締め、遊撃手の住友輝人が大会前に手を骨折したため3塁手の藤田蒼海が遊撃に回り、この日は3塁手として出場した菰田主将が6回から7回途中まで投げ、ここから1年生左腕渡部瑛太(わたべ えいた)が好救援した。渡部は公式戦ほとんど初登板(1年生大会で一度登板)だったが物怖じせず、凛としたピッチングで強打の帝京打線に付け入るスキを与えずに9回まで投げ切った。試合後、ライブ配信のインタビューを受けた石井陽昇選手は「チャンスは初球から打つをテーマにしていました。今年のチームは9回トータルで粘り強く戦い、一つでも多く勝ち上がり、秋の全国制覇を目指したい」と語った。
試合結果

◆山学高出場メンバー※●内数字は背番号〇内数字は学年
[守備]
投手❿木田倫太郎②→❶檜垣瑠輝斗②→➎菰田陽生②→⓳渡部瑛太①、捕手❷光永惺音①、1塁❸菅原歩夢②、2塁➍島田達也②、3塁菰田→⓲白井爽心②、遊撃➏藤田蒼海②,左翼➐金子舜①、中堅➑石井陽昇②、右翼➒古川颯太郎①→⓮杉村空飛②
[打順]
1番➑石井陽昇②、2番➍島田達也②、3番➎菰田陽生②、4番➒古川颯太郎①→⓮杉村空飛②、5番❸菅原歩夢②、6番➐金子舜①、7番❷光永惺音①、8番➏藤田蒼海②、9番❿木田倫太郎②→⓯内田虎翔①→⓲白井爽心②
「本塁打」蔦原(帝京)、「2塁打」石井・光永(山学)、目代(帝京)、[安打数]山学15、帝京7、[失策]山学0、帝京2
それにしても山学高は何故こんなに強いのだろう。週末に砂田グラウンドの練習や練習試合を見に行くのを楽しみにしているのだが、藤田蒼海は元々は投手、夏の大会後に3塁手にコンバートされたばかり、まして遊撃手は初めてだろうに3回裏にショート後方に上がった打球を背走してダイビングキャッチ。また、菰田が3塁を守るのも初めて見た。5回裏に三遊間を抜けそうな打球をダイブして飛びつき一塁に矢のような送球、急造内野手のはずの2人がピンチを防いで見せた。さらに4番手で投げた1年生左腕の渡部瑛太は公式戦初登板のはずなのに実に落ち着いた投球で帝京打線を抑えて見せた。渡部は夏の甲子園ベスト4・秋の国スポ優勝に貢献した札幌新琴似リトルシニアの2学年上の先輩鳴海柚莱・田村颯丈郎、1学年上の菅原歩夢を慕って札幌から津軽海峡を越えて山梨に来た。7回裏には前進守備をしていたレフト金子舜が大飛球を背走してキャッチし渡部を助けた。山学高の選手たちは高い能力を持った選手たちが全国から集まってきた集団。また、山梨出身ただ一人のレギュラー石井陽昇(上野原中出身)は指を骨折していながら5打数4安打の大活躍。身体能力も精神力も高いすごい選手たちの集団なのだ。
山学高チームの次の試合は準々決勝、16日第2試合(午前11時開始予定)で九州国際大付高と対決する。
文(井出昌孝)・写真提供(山梨学院高) 2025.11.14

