第20回関東学生女子ソフトボール春季1部リーグ
1回戦に清和大に惜敗するも、先発兵働好投
2試合目、東京国際に中込の気迫勝りサヨナラ打

昨夏、山梨学院大ソフトボール部女子(山学)は創部17年目で全日本大学選手権(インカレ)初優勝の快挙を成し遂げた。しかし、関東学生ソフトボール1部リーグを主戦場とする山学にとって、昨年の春季リーグ5位、秋季リーグ4位の成績は通算15回の優勝を誇るチームとしてのプライドを傷つけてしまった。あくまでインカレ連覇を目指す山学にとっては「第20回関東学生女子ソフトボール春季1部リーグ戦」で2位までに入り、インカレ出場権を獲得するべく春季リーグ戦に臨んだ。4月26日、山学は1回戦を清和大と対戦。先攻の山学大は1回表、先頭の須藤里咲が四球を選ぶと、2番山下実莉のセーフティバントなどで一死三塁・二塁の好機をつくったが、後続が凡打し惜しい得点機を逃がした。山学大の先発は兵働彩七。兵働は3回から5回まで、先頭打者の安打と四球が得点に絡み3点を失った。山学も6回に3本の安打と四球の一死満塁で代打神崎菜々子が四球を選び1点を返したが、そのまま山学大が1対3で敗れた。2回戦は、東京国際大(東国大)と対戦した。1回戦に続いて兵働が先発。先攻の東国大が2回、3回に1点ずつ入れると、山学大も2回には四球と安打の無死満塁から、7番小野瀬真帆がエンドランで1点を返し、3回には先頭の須藤の二塁打を、3番田中愛花の適時打で同点とした。その後、両チーム投手の投げ合いで7回表を兵働が切り抜けると、後攻の山学大が二死二塁から、4番中込楓が粘って左翼線を破るサヨナラ打により東国大を3対2で退け、開幕戦を1勝1敗とした。
関東学生女子1部リーグ戦は、春、秋に実施され、東京都の大学を除く関東7県の大学チームによって争われる。今季春季リーグ1部は、山梨学院大(山梨)と城西大(埼玉)、淑徳大(埼玉)、清和大(千葉)、東京国際大(埼玉)、順天堂大(千葉)の6チームが5試合を戦い、勝敗と得失点差で順位を決める。近年、各チームの実力が拮抗しており、僅かなミスが勝敗を分け、一瞬たりとも気が抜けない。山学は2009年の1部昇格から2022年秋季リーグ優勝まで春・秋通算15度の優勝を誇り、今春季リーグに4年ぶり6回目の王者を目指す。
1部リーグ戦1回戦1試合目、負けられない台頭目覚まし清和大戦
4月26日、東京国際大学坂戸キャンパスソフトボール場で行われた1日目1試合目は、過去に優勝経験もありその後しばらくは低迷していたが、再び実力をつけてきた清和大(千葉)と対戦。この日は、夏日を観測するここ数日と打って変わり、曇り空の肌寒い一日となった。先攻の山学は1回表、先頭の須藤里咲(3年)が粘って四球を選ぶと、2番山下実莉の(4年)のセーフティバントと3番中込楓(4年)の犠飛で上級生が一死三塁・二塁の先制点のお膳立てをしたが、後続が清和大投手からポップフライで簡単に得点機を逃がした。山学先発は兵働彩七(2年)。兵働は1回表、先頭打者に左中間二塁打を浴びたが、その後2回まで無得点に抑えたが、3回から5回の3イニングに先頭打者に安打と四球で出塁させたことが清和大のエンドラン、スクイズ、牽制ミスで得点を許し3点を失った。山学も6回に先頭の2番山下がこの日2本目の安打で出塁すると一死後、4番田中愛花(4年)、5番岩本唯花(2年)の連続安打で一死満塁にすると続くDP平方汐音(3年)の代打神崎神崎菜々子(1年)が四球を選び押し出しで1点を返した。次打者の大坪穂乃花(3年)も、ファールで粘って追加点を狙ったが三振に倒れ、そのまま山学が1対3で敗れた。
≪山梨学院大VS清和大 東京国際大学坂戸キャンパスソフトボール場 ≫
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
山梨学院大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 |
清和大 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 0 | × | 3 |
◆《山梨学院大出場メンバー》
1.(中)須藤里咲②、2.(左)山下実莉④、3.(遊)中込楓④、4.(一)田中愛花④→(4回)(代走)小宮祐希③→(4回)(一)田中愛花(再出場)、5.(二)岩本唯花②、6.(DP)平片汐音③→(6回)(代打)神崎菜々子①→(6回)(DP)平片汐音(再出場)、7.(捕)大坪穂乃花③→(4回)(代打)星隈友愛①→(4回)(捕)大坪穂乃花(再出場)、8.(右)小野瀨真帆④→(6回)(代打)土谷琉華④→(6回)(右)小野瀨真帆(再出場)、9.(三)本田紗彩④→(7回)(代打)田中優空①(FP・投)兵働彩七②
※DP(打撃専門選手)、FP(守備専門選手)
◆〔バッテリー](投手)兵働彩七-(捕)大坪穂乃花
◆〔投手〕兵働6回:投球数89、被安打4、四球1、死球1,三振2、失点3
◆〔打撃〕安打7、四球1、三振3
2試合目 東京国際大戦
2試合目は、東京国際大戦(東国)と同会場で午後12時15分、対戦開始となった。山学は後攻。先発は1回戦に続いて兵働彩七(2年)が1試合目の疲れも見せずにマウンドに上がった。兵働は1回を三者凡退に打ち取ると、2回二死から安打と適時二塁打で1点を失った。その裏の山学も、相手投手の乱調から2四球1安打で無死満塁にすると、7番小野瀬真帆(4年)が投手前に絶妙なボールを転がしスクイズで同点とした。しかし、追加点が欲しい山学は三振とWプレーで好機を潰した。3回表、東国大は2本の安打で1点を追加。山学もその裏、1番須藤里咲(4年)の左中間二塁打を放つと、一死三塁に3番田中愛花(4年)が三塁線横を抜く適時打で再び同点とした。その後、兵働と東国投手の好投で膠着状態が続いた。7回最終回、兵働が相手打線を抑える。その裏の山学の攻撃。ここで得点しないとタイブレークにもつれ込む。1番須藤の打席では山学ベンチは大声援で須藤を後押し、粘って四球を選び、山学は無死の走者を出したが後続が三振。走者は飛び出し1、2塁間に挟まれたが、1塁帰塁が間一髪セーフ。次打者の田中の一塁ゴロもWプレート思われたが、一塁セーフ。流れが山学に傾くと、ここで4番中込が登場。カウント、2ボール2ストライク。好投の東国大投手の5球目、左打者の中込は外角のボールを上手く合わせ、ボールは左翼線に落ち、一塁走者は懸命に本塁に飛び込み、山学は3対2のサヨナラ勝利を収めた。次戦29日の淑徳大戦、城西大戦にこの勢いを持ち込めるか。
≪山梨学院大VS東京国際大 東京国際大学坂戸キャンパスソフトボール場 ≫
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
東京国際大 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
山梨学院大 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1× | 3 |
◆《山梨学院大出場メンバー》
1.(中)須藤里咲②、2.(左)山下実莉④、3.(遊)中込楓④、4.(一)田中愛花④→(7回)(代走)周藤南美④→(一)田中愛花(再出場)、5.(二)岩本唯花②、6.(DP)平片汐音③→(6回)(代打)神崎菜々子①→(6回)(DP)平片汐音(再出場)、7.(捕)大坪穂乃花③→(4回)(代打)星隈友愛①→(4回)(捕)大坪穂乃花(再出場)、8.(右)小野瀨真帆④→(6回)(代打)土谷琉華④→(6回)(右)小野瀨真帆(再出場)、9.(三)本田紗彩②→(6回)(代打)神崎菜々子①→(7回)(三)本田紗彩(再出場)、(FP)(投)兵働彩七②
※DP(打撃専門選手)、FP(守備専門選手)
◆〔バッテリー〕(投手)兵働彩七②-(捕手)大坪穂乃花
◆〔投手〕兵働7回:投球数84、被安打6、四球1、三振2、失点2
◆〔打撃〕安打、長打《二塁打:須藤、大坪》四球5、三振3
試合後インタビュー
清水正監督は「今、このチームの怪我人が多く、エースの手塚を欠いている状態で万全な状態ではないため、苦しい春のリーグ戦になるとは思っていますが、今日の兵働もだいぶ成長してきていて、2試合とも粘っていました。球自体は色んな球種を持っているので、今までコントロールが自分の思い通りにならなかったものが、多くの場面でコントロールできるようになってきたので楽しみ」と話す。開幕戦の1勝1敗は「今年はインカレ2連覇が掛かっていますから、とにかくリーグ戦で出場権を獲得して、夏までにはチームを仕上げていきたいと思っています。昨年のインカレのメンバーはほとんどいないですが、ゼロからのスタートでやっていますので、きっと面白いチームになると思いますよ」と笑みを浮かべた。2試合目、サヨナラゲームで連敗を阻止した中込楓選手(4年)は、あの場面で打席に立った気持ちを「私でゼロになってしまうとタイブレークになってしまうので、何としても1本打とうと思った」と執念の一打と明かした。このところリーグ戦であまり良い成績を残してないが「これから淑徳大、城西大と強いチームと戦うことになりますが、絶対に気持ちで負けないように全員で戦っていきたい」と意気込んだ。山下実莉主将(4年)は「チャンスの場面で返すというのがまだまだこれからも課題だと思うし、弱いなりにどう戦っていくのか」。目の前の一戦に集中する。「怪我人も多い中でのチームでも、この春1位でインカレの切符を掴みたいという目標であるので、そこは諦めずにやっていきたい」と先輩に続く。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2025.4.26