関東大学バレーボール男子1・2部入替戦
専修大との対戦。1部の壁を痛感。完敗を喫する
攻守で平均身長の差が大きな圧力となった

2025年度春季「関東大学バレーボール男子1・2部リーグ入替戦」が5月31日、駒澤大学玉川キャンパスで行われ、山梨学院は2018年の強化指定以来、昨秋リーグに続いて2部2位から2度目の入替戦に臨み、1部リーグ11位の専修大学と対戦した。試合は蓋を開けて見ると、第1セットから身長差の大きい専修大の攻撃に晒された。高さと強烈なジャンプサーブで山学大のレシーブを崩すと、全日本代表選手の身長200cmの専修大#1甲斐優斗を中心にした大型選手のシンプルなオープン攻撃に苦しんだ。山学大も#2リベロ池崎響を軸とした堅固なレシーブを誇るが、角度のある鋭く強烈なスパイクでその守備力がことごとく粉砕された。そして山学大のアタック決定本数や決定率で2部トップラスの攻撃陣を担う石塚連や米澤琉冶のスパイクを、高さあるブロックでサイド、エンドラインを割るミスを誘うなど、完全に封印されてしまった。第1セット13対25、第2セット14対25、第3セット20対25、セットカウント0対3で敗れ、1部昇格は遠く及ばなかった。試合後、伊東克明監督は「相手の高さを想定して練習をしてきたが、練習と実際は大きく違った」と完敗を認めた。1部リーグの壁の高さを体感した貴重な一戦から、克服すべき課題が見えた。
山学大バレーボール部男子、ここまでの足跡
山梨学院大バレーボール部男子は2018年に強化育成クラブに指定され、今年8年目を迎えた。4部リーグからスタートし、その年の春季リーグで3部昇格。2019年秋季リーグで2部昇格を果たした。その後は、2部上位に位置し、1部昇格を目指してきた2024年秋季リーグでようやく2部2位となり、1部・2部入替戦に臨み法政大と対戦するも、フルセットの末に敗れ、初挑戦での1部昇格を逃した。そして迎えた2025年春季リーグ。9勝2敗2位。再び入替戦の舞台に上がった。
1部リーグ2度の準優勝の実績を持つ専修大と対戦
山梨学院大が対戦するのは、今年の春季リーグ11位の専修大学。過去に2度の準優勝の実績を持つが、最近は1部12チーム中、中位から下位に位置している。しかし、長身揃いのメンバーを揃え、特に#1アウトサイドヒッター甲斐優斗選手は、日本代表登録メンバーにも選出される身長200cm越えのスパイカー。他にも大型選手を擁する攻撃型のチーム。リーグ戦では低迷したが、昨年度の全日本インカレを制した実力校である。
サーブから相手守備を崩し、長身から繰り出す角度あるクイックスパイクやバックアタックなど様々なオープン攻撃を展開する専修大に対して、身長での高さで劣る山学大は、速攻を軸に相手ブロックが付かないようなスパイク攻撃、フェイントなどいろいろなバリエーションで対抗する。コンビバレーがどこまで通用するかが勝負の鍵となる。
❖試合は5月最終日とは思えないほどの寒さと雨の天候の中、東京・駒澤大玉川キャンパス体育館で午前11時、専修大のサーブで試合が開始された。 ❖第1セット、サーブを受けた山学大は、エース#3石塚蓮(4年)のスパイクがブロックされ、専修大が先取した。序盤の山学大は、#17米澤琉冶(4年)のスパイク、#1山内智貴(4年)のサービスエースなどの得点とともに、ミスもあったが一進一退の立ち上がり。しかし、ここから専修大の全日本代表の#1甲斐を中心にスパイク、フェイント、バックアタックなどで一方的展開となり、第1セットは13対25で落とした。 ❖第2セットの立ち上がり、専修大#1の鋭い角度のスパイクから始まり、連続6得点を先行される。山学大は相手の高さにブロックアウト、スパイクオーバーとミスが重なり苦戦。その中でも山学大は、石塚がサービスエース、バックアタック、他の選手も散発的に得点するも、相手の高さに翻弄され、このセットも14対25と山学大らしさを封印された。 ❖第3セット、先行したのは専修大。しかし、山学大も#13平井将大(4年)のスパイクや相手のミスで追いすがるも、専修大の#1と#23の大型選手の高さのあるスパイク、バックアタック、ブロックを止められずに試合は専修大に傾き始めた。ここで山学大のアタック陣の#17米澤、#1山内、#3石塚が得点を決め、相手のミスもあり10対10の同点に追いつく。その後は専修大の#1の攻撃が際立つも、山学大#3石塚もレシーバーの間を射抜くスパイクやストレートなどで必死に後を追うが、最後は#1山内がスパイクをネットに引っ掛け20対25と万事窮す。ストレート負けを喫した。専修大は1部リーグ12チーム中11位ながら、高さとスピードある攻撃とブロックを最後まで崩せず、1部の壁の高さを実感した一戦となった。
試合記録

◆山梨学院大スターティングメンバー ※〇印はゲームキャプテン
〇#1アウトサイドヒッター山内智貴④、#2リベロ池崎 響④、#3オポジット石塚 蓮④、#13アウトサイドヒッター平井将大④、#17ミドルブロッカー米澤琉治④、#25セッター平松陸哉③
◆他登録メンバー
#6アウトサイドヒッター堤箸颯弥④、#15セッター猶明 然④、#19アウトサイドヒッター新井幸志③、#22セッター齋藤 唯③、#33ミドルブロッカー坂本蒼真②、#40市川智章①、#47リベロ坂戸久龍①、#50アウトサイドヒッター佐藤彪磨①
試合後インタビュー
伊東克明監督は「完敗でした」と開口一番。「一枚も二枚も三枚も上ですね。それは想定しながら準備をしてきて、そこに合わせる練習をしてきても、実際やってみると当然違うので、合わせるというよりは変に意識してミスをしてしまい、大きな失点をしてしまったというのが感想です。3セット目から徐々によくなりましたが、最終的にはアタックを決めるところでミスになってしまった。最後まで相手のプレッシャーを拭えなかったですね」と敗因を語った。今後、1部を目指すにあたり。「そんなに簡単に1部には上がれるとは思ってないですし、ここまでだいぶ成長し頑張ってきていますが、ただ1部に行くまでの力はないなという感じです」と話した。
山内智貴主将は「ブロックが高く、サーブが速いのを、僕たちは我慢できなかったので、自分たちがバレーする前に負けたという感じです。3セット目でちょっと盛り上げましたが、ダメでした」。1部で戦たいたかった気持ちは「それを目標にやってきたので残念です。自分たちは1部では戦えないですけど、もう1回(秋季リーグで)頑張って入替戦に行けたら」と気持ちを入れ替えた。
リベロの池崎響選手は「自分が思っていた以上にパワーがすごく、タイ等ナショナルチームの選手がいたので、自分たちとのレベルの差というのを感じました」。昇格は逃したが「秋は上に上がっても(来季は卒業のためプレー)できないので、春に上がって少しでも1部を経験したいという思いはありましたけど、やはり伝統あるチームの雰囲気に自分たちは盛り上げられずにやられたという感じです」。どこが足りなかったか「相手の決められ方に対して、ブロックでアウトにしたり、チャレンジャーとしてチームの良さを出せずに負けてしまった」と実力差を認めた。
米澤琉冶選手は「非常にブロックが高くて自分たちの攻撃が上手く通らない面が多々あって、サーブもアタックも走っていて、自分たちが持っている力が最初から出せなかったですね」。
1部リーグで戦うという目標について、「その気持ちで行ったですけど残念です。1部では戦うことができないですが、秋に絶対にリベンジしたい」と1部昇格を目指す。
平井将大選手は「相手のブロックが高くて、最初はブロックを利用することができなかったですけど、終盤にかけて安定したというか、冷静にブロック使ってスパイク打てたかなと思います」。1部のチームとの対戦について、「とても高さがあって、ものすごいバレーをしてきたので、自分たちもそこの重圧に負けないようにしっかり練習して秋にリベンジしたい」とあくまでも1部昇格に思いを馳せる。
石塚蓮選手はマークされ、良さが見られなかったことに「自分の課題の部分でもありますし、上と戦う時に決まらないと勝てないのは当然なので、しっかりスパイクの仕方など、もう1度見直すべきかなと思いました」。「今上がれたら最高の状態というか、1部でラストシーズンを戦えましたが、今のまま1部で戦ったとしても、多分ぼろ負けして2部に戻ってきてしまうので、この負けというのはとても重要になってくる。もう1回頑張ってきたい」と自省の言葉で締めくくった。
文(K.F)、カメラ(平川大雪) 2025.5.31