2025年度全日本大学ホッケー王座決定戦準決勝
山学大男女とも4年ぶり決勝進出
決勝は男女とも立命館大。ともに譲れない一戦


7月12日、2025年度「第44回全日本大学ホッケー王座決定戦」男女準決勝4試合が大阪府茨木市・立命館大学OICフィールドで行われた。午前中に行われた女子は、山梨学院大と東海学院大との対戦。2対0で勝利し4年ぶりに決勝へ。午後からの男子は朝日大に1対0で辛勝。男子も4年ぶりに決勝進出した。大会は全国から男女12校ずつが参戦。10日から13日までの日程で行われ、山学大男子は大会初日、関西大に10対1で快勝。2日目準々決勝で前回大会準優勝の天理大に2対1で勝利した。女子は、2回戦準々決勝から参戦。関東第3代表の東京農業大に11対0で大勝。12日大会3日目、女子準決勝は朝9時、この時点で真夏の日差しが照りつける中、試合は第2Q、序盤から東海学院大陣営に迫った4分、PC(ペナルティコーナー)を得ると#19齋藤はなみのゴール右上に刺さるフリックシュートで先制した。その後も試合は、山学大優位に展開。第3Q、#1澤口莉奈の鋭いシューティングサークルへのボールを#9今井涼音がタッチシュートで2点目を入れた。試合はそのまま山学大が主導権を握って終了。4年ぶりの決勝進出を決めた。男子はさらに気温が上がった午後からの一戦。第1Q、朝日大優勢で試合は進むが、第2Q、徐々に山学大も相手サークルに攻め込む場面が増え一進一退。10分、サークル内でのパスに身体を反転させ#11木村嶺央がシュート。先制した。その後は互いに好機をつくる激しい攻防に、山学大は1点を守り切り勝利。男子も4年ぶりに決勝に進んだ。
山学大女子、4年ぶりの決勝進出に懸ける
山梨学院大女子は、天理大、立命館大、東海学院大、山梨学院大の実力伯仲の4強の中、2016年に6回目の優勝を果たした以降、2021年に5年ぶり(2020年コロナ禍で中止)に決勝に進んだが、結果は準優勝。2022年から2024年は準決勝で敗れ、決勝進出を逸している。今大会ではまずは決勝進出を目指し大会に臨んだ。
❖山学大女子(関東第1代表)の初戦は、11日大会2日目、東京農業大(関東第3代表)と対戦。同じ関東リーグで戦う東農大に反撃のいとまを与えぬ猛攻で7人のシューターが大量11点を奪い勝利。準決勝に駒を進めた。山学大女子は、高円宮牌ホッケー日本リーグで現在、2位と勝ち点で並ぶ3位につけ大学チームでは1位と好調を維持している。

準決勝 山学大は難敵東海学院大と相まみえる
今年の大会も順当に4強が勝ち上がり、準決勝では、第1シード立命館大(関西第1代表)第4シード天理大(関西第2代表)が対戦。第3シード山学大(関東第1代表)と前回大会準優勝、第2シード東海学院大(東海第1代表)との対戦となった。
❖大会3日目、東海学院大学との対戦は午前9時より開始された。この日も真夏日の予報が出された大阪。両チームは第1Q序盤から選手交代を頻繁に行い選手の消耗を抑えた。第2Qに入り、山学大が相手シューティングサークルに積極的に攻め入り開始4分、サークル内の混戦に#19齋藤はなみ(3年)のフリックシュートがゴール右上にきれいに決まり先制点を挙げた。その後もPCで得点好機を多くつくるも、ボールの支配率で山学大ペースに進んだ。第3Q開始早々、相手ゴールに攻め入り、#1澤口莉奈(4年)の強いシューティングサークルへのパスに反応した#9今村涼音(4年)がタイミングの良いタッチシュートで2点目を加えた。優位に立った5分には、PCで続けて鋭いシュートを放つが相手GKの好セーブで阻止された。第4Qに入っても山学大ペースは変わらず、両サイドからの攻撃で惜しいシュート場面が見られたが、得点には至らず2対0で終了のフォーンが会場に響き渡った。ここで4年ぶりの決勝進出が決まり、2016年以来の優勝に挑む。

試合終了後、ジョン・シアン女子監督は4年ぶりの決勝進出に「うちはコロナの時期からなかなか決勝に行けなくなって、ここまできてやっとコロナの影響が解けたなという感じで本来のチームに戻りましたね」とコメント。日本リーグは現時点で3位。調子が上がっているが「今年はすべての学年にいい選手が多く、結構層が厚いチームで、チームの雰囲気もいいです。今年は、前半戦を完璧な形で終わらせたい」と、この大会の優勝に懸ける。
先制点を挙げた齋藤はなみ選手は「自分にいいチャンスが巡ってきたのでしっかり決め切るという強い気持ちで打つことができました」と力強いシュートが印象的だった。決勝戦は「ここまで来たら絶対優勝」ときっぱり。
きれいな2点目シュート決めた今村涼音選手は「同期の澤口が打ち込んでくれたのですが、同期だからこそ絶対に中に入れてくれるという信頼感があったので、自分は飛び込むしかないと思い、前に出ました」。「決勝戦は絶対に決勝進出、優勝すると頑張ってきて、一つ形に残せたのですごく良かったです。天理大学さんも立命館大学さんもどちらも強いチームですので、山学らしいプレーで優勝できるように頑張りたい」と満面の笑顔で応えた。
主将の澤口莉奈選手は「自分たちが攻めることが多かったですが、攻められることも多く、そこでしっかり全員で戻って守って、守備でゼロ点に抑えられたことは明日につながるいいゲームができた」と振り返った。4年ぶりの決勝は「先輩たちのお陰で自分たちも強くなれたので、しっかりそこは感謝して明日優勝して恩返しできるように頑張りたい」と上を目指す。
山学大男子は19年振りの優勝へ向け、好発進
山梨学院大男子(関東第2代表)は、7月10日に開幕した初日1回戦を関西大(関西第4代表)と対戦。第1Q序盤、関西大にPC先制されたがその後は、そつなく得点を重ね、#35篠原陵佑(2年)が4得点を上げるなど7人で10点を挙げ初戦を突破した。
❖11日大会2日目準々決勝、前回大会準優勝の第1シード天理大(関西第1代表)との対戦は、山学大が2分、#11木村嶺央(4年)のヒットシュートで先制。12分に天理大がPSを獲得、落ち着いて決められ同点とされる。第2Q、激しい攻防の中8分、山学大がPCを獲得。#16佐藤宇央(3年)がヒットシュートを決め2対1とリードした。第3、第4Qと拮抗した試合展開になるも、堅い守備で天理に得点を与えず2対1で勝利。準決勝に進出。
※PS(ペナルティストローク)=サッカーと同様、GKとシューターが1対1で対峙してゴールを争う。※PC(ペナルティーコーナー)=ホッケー特有のセットプレー。守備側の選手が自陣サークル内で反則した場合など攻撃側に与えられる。攻撃側は自由に人数を割けるのに対して守備側はGKを含めて5人で守らねばならず、攻撃側にとって大きなチャンスとなるプレー。

準決勝 朝日大(東海第1代表)との対戦
第1Q、朝日大のセンターパスで試合が開始された。序盤から両チーム激しい攻防が繰り広げられるも、両チーム得点に至らない展開が続いた。終盤、山学大がカウンターから#35篠原陵佑(2年)がつないだパスを#11木村嶺央(4年)がヒットシュートを放つも、相手GKの好セーブで凌がれ先制点を逃した。第2Q、立ち上がり朝日大の攻撃。#30GK折笠幸喜(2年)の好セーブで難を逃れると、朝日大陣営での攻撃が続いた10分、#5小野颯大(4年)のパスから#11木村が身体を反転させた絶妙なタッチシュートで先制した。先取点でギアが上がった山学大の激しい攻撃を朝日大も粘り強く対応。1対0で後半、第3Qに入った。8分、PCを獲得すると、#21伊藤凌楽(3年)のシュートはポストに阻まれ追加点はならず。朝日大も厳しい反撃で山学大を苦しめるが#30GK折笠の再三の好セーブで得点を阻止した。第4Q開始早々、サークル内の#11木村にパスがつながりシュートを放つもゴール上に外れた。1点を巡り攻防続く両チームはなかなか得点につながらず拮抗状態が続いた。残り1分、朝日大はGKを下げフィールドプレーヤーだけのパワープレーを仕掛けるが実らず山学大が1点を守り切った。男子も4年ぶりの決勝に進出。19年ぶりの優勝に挑む。三澤監督がプレーした大学2年生以来のことだという。

試合終了後インタビュー
三澤孝康男子監督は「内容的には朝日大学さんのペースの方が良かったと思うのですが、うちの選手がとにかく頑張って粘ってくれました。一番は守備の意識。これはディフェンスだけが頑張ったのではなく、フォワードもミッドフィルダーも守備に対する意識を強く持っていたので、特にシューティングサークルに入られる前に止める意識がすごく良かったですし、準決勝は攻守の切り替えの意識はものすごく良かったです」。「今は、他のどこの大学のチームよりも練習をしていると思うので、その成果が出ました」と選手たちを労った。
木村嶺央主将は「暑い中でもハードワークするというのが僕たちのチームのモットーでやっているのですが、攻撃、守備、気負わずに真っ向からぶつかって僕たちの力を出し切ることができたと思います。試合中に少しずつ修正して、チャレンジャーという気持ちで相手のスタイルに対してプレスから積極的に仕掛けられました。天理大学を目標に春先から練習してきて、そこに勝てたのがすごく勢いが付いたと思います。明日の決勝はどちらのチームとの対戦となっても自分たちのアグレッシブなホッケーを展開できたら」と意気込んだ。13日大会4日目、決勝戦は男女とも立命館大と対戦する。
文(K.F) カメラ(平川大雪)2025.7.12