全日本大学ホッケー王座決定戦決勝戦
山学大女子9年ぶりの優勝 盤石なチームの結果
男子は準優勝、次につながる基盤ができた

7月13日、2025年度「全日本大学ホッケー王座決定戦」男女決勝戦が大阪府茨木市・立命館大学OICフィールドで行われた。男女とも4年ぶりの決勝戦に臨んだ山梨学院大ホッケー部は、同じく男女で連覇を目指す立命館大と対戦した。午後1時、初めに女子の対戦が行われた。第1Q序盤、攻勢を掛ける立命館の得点チャンスを、GK高橋花鈴を中心に守り抜いた。第2Qも0対0で迎え、後半第3Q、開始早々から山学大が積極的に立命館大のサークルに攻め入った。5分、PS(ペナルティストローク)を獲得すると、#19齋藤はなみがヒットシュートで先制。さらに終盤、#12早助咲那がシュートを決め2対0と主導権を握った。第4Q序盤5分、立命館大は王者の意地を見せる1点を返し、勝負は予断を許さない状況になったが、中盤に#1澤口莉奈のリバースシュートで追加点を挙げ、その後はそのまま得点差を守り切り、9年ぶりの優勝を飾った。男子の決勝戦は午後3時に行われた。男子も女子同様、前半をボール支配率で立命館大に苦しめられたが、何とか0対0の無失点に凌いだ。後半第3Q、ようやく堅さが取れ、山学大もシュート率も良くなり一進一退のせめぎ合いになった。しかし、終盤にPC(ペナルティーコーナー)から先制点を奪われた。第4Q、ボール支配率で優位に立つ立命館大に序盤、終盤とPCで追加点を奪われ、0対3で試合終了。19年ぶりの優勝は成し遂げられなかった。
決勝戦の対戦相手は、2021年の決勝戦の延長SO戦で敗れて以来の立命館大
❖13日、大会4日目最終日。女子決勝戦は13時、山学大のセンターパスで開始された。うだるような暑さの立命館OICフィールド、収容人数約800人のスタンドは、ホーム立命館大の観客を中心にほぼ満席の盛り上がりを見せた。第1Q序盤、最初に攻撃を仕掛けたのは立命館大。サークル内に入り、すかさず打たれたシュートに山学大#3GK高橋花鈴(4年)が好セーブを見せクリア。その直後には、#12早助咲那(3年)もドリブルで中央突破を試みるが、相手ディフェンスに阻まれた。5分、立命館大がインターセプトからPCを奪い、1回目は相手のヒットシュートにGK高橋が身体を横に大きく伸ばし好セーブ。4回まで続いたPCをディフェンス陣が堅い守備で守り抜き、無得点に抑えた。このプレーが大きく流れを変えた。0対0で迎えた第2Q、互いにフィールドを左右に大きく使い攻撃。一進一退の運動量の多い展開も、実らず無得点で前半を終えた。
❖第3Q、立命館大のセンターパスで後半が始まった。開始早々から山学大は照り付けるフィールドの中、さらにギアを上げて立命館大ゴールを脅かし、流れは山学大に傾いた。4分、この試合初のPCを獲得し、#19齋藤はなみ(3年)のシュートは相手GKに阻止されたが、さらに攻め続けて9分、今度はPSを獲得。シューターは齋藤。相手GKと対峙し、落ち着いて足元を抜くヒットシュートで、準決勝に続き先制点を挙げた。山学大は衰えないハードワークで、このQは立命館がスピードに追いつけないまま、終了間際の14分、#9今井涼音(4年)のアシストで#12早助がスティックを振り切り2点目を挙げた。この時点での2点目は立命館大にとって重く圧し掛かった。第4Q序盤、山学大ペースで進むが、立命館大も反撃。5分、リバースシュートのこぼれ球を押し込まれ、2対1とされる。直後に山学大はPSを獲得し、#9今井の強いシュートは相手GKの好セーブに阻まれた。その後は互いに激しい攻守を繰り広げるが11分、#5松波芽依(4年)がドリブルで駆け上がりサークル内の#1澤口莉奈(4年)がパスを受け、きれいなリバースシュートで3点目を叩き出した。試合は3対1で終了。選手たちは主将の澤口に駆け寄り、喜びを分かち合った。山学大は2016年以来、9年ぶり7回目の優勝を飾った。

大会終了後、女子チームインタビュー
寺本祐治総監督は、2016年以来の優勝に「立ち上がりは攻め込まれる厳しい場面もあったのですが、苦しみながらも終始安定したゲームを展開して勝ってくれました」と喜んだ。
ジョン・シアン女子監督は「そんなに勝てなかった認識はなかったですけど、振り返ってみると大学王座は縁がなかった感じでしたね」。今大会を振り返り、「チームが良かったですね。今年のチームは日本リーグもソニーだけに負けて、学生チームには失点せずに全勝し、関東リーグでもしっかり無失点で、この大会は最後に1失点しましたけれど、学生相手に前半戦は1失点で終えたことは、強いチームだと思います。今年は、全学年にいい選手が揃って、全学年がチームに貢献してくれています」と選手を労った。
澤口莉奈主将は今の気持ちを「このチームで日本一を獲れたのは本当にうれしいです」。今大会について、「一試合一試合ミーティングで話したことを試合で発揮できたことや全員で守備、攻撃全てにおいて全員でしっかりホッケーできたことが良かった」。最優秀選手賞を受賞して「個人的には、決勝の最後の3点目は、味方のパスをもらっていつものコースに決めることができたのですごくうれしい」と控えめに話した。これからこの優勝を続けていくために「秋にあるインカレも優勝して、2冠獲れるようにして、来年からも後輩にはしっかり優勝してもらえるように、しっかりチーム作りをしていきます」と主将としての顔を見せた。
2点目を入れた早助咲那選手は得点シーンについて「ヒットシュート。ちょっとかすった」と苦笑い。優勝について「自分は大学だけではなく、これまでホッケーをしてきて日本一になったことがなかったので、今回日本一になることができてとてもうれしいです」。欲しかった2点目は「立命館大学さんは強いので1対0のままだったら多分流れとかも変わってきたとは思いますけど、そこで2点目を決めて自分たちの流れに持っていけたのは大きかった」。
齋藤はなみ選手はこの試合も先取点を取り、チームを優位に導いた。「前半、結構攻め込まれて苦しい時間が長かったのですが、先制点でチームに流れを持ち込めて、そこから山学の雰囲気が作れてよかった」。さらに「王座は優勝しましたが、改善点はたくさんあるので、インカレに向けて一から頑張っていきたい」と気持ちを切り替えた。
男子決勝戦 2連覇を目指す立命館大との対戦
❖午後3時、女子の決勝よりもさらに強い日差しが照り付ける中、第1Q、立命館大のセンターパスで試合が開始された。立ち上がりから立命館大が早い攻撃で山学大のゴールを脅かした。中盤まで立命館大はシュート、PCを立て続けて繰り出すが、山学大の堅い守備で失点を凌いだ。一方的に守勢に回った山学大だが、終盤に#35篠原陵佑(2年)が鋭いシュートを放ち惜しい枠外となるなど、互いに決定打が生まれず0対0で第2Qに入った。序盤、やはり立命館大のボール支配率は高く、山学大は堅い守備で我慢を強いられる。しかし、山学大もカウンターからチャンスをつくり反撃するも、立命館大は守備力も高く得点には至らない。立命館大は終盤、PSを得るとGKとの1対1の好機にシュートをゴールポストに当て先制を逃した。その直後には#35篠原がシュートを狙うが、GKにパンチングで阻止された。第2Qも、苦しい展開が続くも、無得点で凌いだ。
❖第3Q、ハーフタイムを挟み、山学大も積極性を増して前半に比べ動きがよくなり、最初にPCを得ると#16佐藤宇央(3年)が強烈なフリックシュートを放つがゴール上に外し、先制点を逃した。その後は互いにゴールを狙う激しい攻防が続き、一進一退の時間帯が続いた。残り1分の終盤、立命館大がPC奪うと、シューターがGKの足元を狙うシュートで先取点を奪われた。試合が動くと第4Q、立命館大は序盤からPCを狙いサークルに迫った。狙い通りのPCを奪うとフリックシュートで2点目を追加された。互いにハードワークで体力を消耗して残り5分を切ると、山学大#10山崎稜賀(4年)の強烈なシュートも枠を捉えきれず、刻々と時間が過ぎていく中、立命館大が残り2分を切ったところで再びPCを獲得。ダメ押しのシュートを決められ0対3で立命館大が勝利。2年連覇10回目の優勝を果たした。山学大は19年ぶりの優勝とはらなかったが、4年ぶり2回目の準優勝に輝いた。

大会終了後インタビュー
三澤孝康男子監督は「完敗でした」。前半、相手にペースを握られたが「少し硬かったかなと思います。選手たちは大学に入って初めての決勝戦だったので、緊張とかはあったかなと思います」。後半良くなったが、「もちろん選手も慣れてきた面もありましたし、戦術的な指示も出しました」。今後について「この悔しさを糧に、秋のインカレに優勝できるように準備していきます」。負けはしたが選手の成長に目を細めた。
寺本祐治総監督は「いままで結果が出てこなかった中、何とか決勝まで来られたことは次のステップに進めるのではないか」と手応えを口にした。「今年はインカレを中心にやっているので、そういった面でシード権も取れましたし、インカレに向けた基礎が出来てきたかなと思っています」とチームの飛躍に期待を寄せた。
木村嶺央主将は「序盤から相手のポゼッションでゲームを展開されるということは予測ができていて、前半は粘って無失点で抑えられたのですが後半、隙間が少しずつできて、やられてしまいました。この隙間をインカレまでに修正できたらと思います」。その修正とは「サークル外のところで奪い切れるようなプレスの掛け方だったり、1対1だったり1対2の使い分けができたら」と課題を挙げた。優勝できなかった気持ちは「19年ぶりに優勝しようと思っていたところでできませんでしたが、今回学べたことを糧に、この夏から秋のインカレに向けて練習して、この王座決定戦での0対3のスコアとは逆スコアで、立命館大など強い諸々のチームを倒して優勝したい」とリベンジを誓った。
最終結果
女子
優勝:山梨学院大、準優勝:立命館大、3位:東海学院大、4位:天理大
男子
優勝:立命館大、準優勝:山梨学院大、3位:朝日大、4位:東京農業大
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2025.7.13