第60回全日本大学女子ソフトボール選手権
前回大会優勝の山学大 2連覇を目指し初戦勝利
昨年MVPの手塚投手が怪我から復帰。好投を見せる

大学ソフトボール日本一を懸けて争われる「第60回全日本大学女子ソフトボール選手権」(インカレ)が8月29日、愛知県安城市を会場に開幕。全国7地区32校が各地区の予選を突破して集結した。山梨学院大は、前々大会でベスト4の最高順位の結果を残し、前回大会では悲願のインカレ初優勝を飾り歴史ある大会で優勝校の仲間入りを果たした。今回は2連覇を目指した。1回戦の対戦相手はインカレ関西予選を1部2位通過した同志社大(京都)。先攻は山学大。2回表、4番中込楓の安打と盗塁で一死三塁から6番田中愛花が中前適時打で1点を先制。2回には、9番本田紗彩、1番須藤里咲の二塁打で無死三塁二塁の得点好機に2番山下実莉の3連打で2者が生還、3対0と序盤で試合を優位にした。先発の手塚心彩は前回大会初優勝の立役者。今季は怪我のために長期離脱をしていたが復帰。マウンドに上がった。手塚は立ち上がりこそ安打を打たれたが、徐々に試合感を戻すとギアを上げ5回を2安打無得点。さらに味方打線が5回に先頭打者安打を足掛かりにセフティバンドと好走塁で1点を加え、さらに6回にも7番周藤南美の左中間三塁打を続く8番土谷流華の犠飛できっちり得点し5対0とした。先発の手塚は終盤も直球やドロップ、チェンジアップの持ち球を駆使し、4安打完封で初戦を勝利。2連覇に向け幸先の良いスタート切った。明日の2回戦は日本福祉大(愛知)と対戦する。
全日本大学女子ソフトボール選手権インカレとは全国各地区の予選を勝ち抜いた32チームにより「大学日本一」の座が争われる。山梨学院大は2008年の創部2年目、インカレに初出場。今大会で17回連続出場を果たした。東の実力校の一角として知られる存在だが、2013年と2019年にベスト8、2023年にはベスト4の成績を残しており、前回大会の2024年に悲願の日本一、初優勝を飾った。しかし、今年の山学大はインカレ出場まで苦しんだ。関東大会1部リーグで6位最下位となり、2位までに与えられるインカレ代表権獲得を落とし、次の関東大学地区予選では、敗者復活戦で競ったチームでサヨナラ勝ちを収め薄氷を踏みながらも17回連続インカレ代表権を手にした。
山梨学院大は初戦、投打のバランスが活き同志社大に快勝
8月29日開幕した1回戦16試合が行われ、2日目に2回戦、準々決勝、3日目最終日に準決勝、決勝戦が行われる。会場の愛知県安城市デンソーブライトペガサススタジアムA・B球場、隣接の安城市総合運動公園野球場A・B周辺には、連日の40℃に近い猛暑日にも関わらず全国各地から選手保護者、関係者、一般観客が集まり、キッチンカーやグッズ販売店も数多く並び、試合のみならず大会を盛り上げる賑わいを見せた。
❖1回戦、山梨学院大の試合は、15時試合開始予定時間が前3チームの試合が長引き16時50分に開始された。幾分、気温は下がったが西日が厳しい中、同志社大(京都)と対戦した。先攻の山学大は2回、先頭の4番中込 楓(4年)が右前打で出塁。一死二塁で走者中込が盗塁を成功させ三塁へ。6番田中愛花(4年)は、その直後の投球を右中間に運び1点を先制した。山学大先発の手塚心彩(4年)は、前回大会優勝の立役者でMVPを受賞。今季怪我のため長期試合から離脱。調整を続けていたが、この夏からようやく本格的に復帰。インカレに備えてきた。手塚は1回、2回の立ち上がり、単打と二塁打を打たれたが後続を抑え、まずまずの滑り出し。山学大の3回の攻撃は9番本田紗彩(2年)が初球を右前に弾き返し、続く1番須藤里咲(2年)も右前打を二塁打にする好走を見せ無死三塁二塁の得点好機に2番DF山下実莉(4年)が3連打で続き2点を奪い3対0とした。試合開始から約30分後、球場のナイター塔に照明が点いた。先発手塚は徐々にペースを上げ、ストレートと持ち味のドロップ、チェンジアップで3回以降、5回まで安打を許さず、本来の投球感覚を戻す好投で同志社大打線を無失点に抑えた。
❖山学大は5回に9番本田の安打を1番須藤が絶妙なセフティバンドを成功させ、無死二塁一塁に走者を進めると、続く2番山下が遊ゴロ内野安打。その間に本田の代走で二塁走者の小宮裕希(3年)が好走塁を見せ1点を加え、山下はこの試合3打点目、4対0とリードした。6回にも、7番周藤の左中間三塁打を次打者土谷が犠飛できっちりつなぎ1点を加えた。試合は山学大が5対0で初戦を投打が噛み合った勝利で飾り、幸先のいいスタートを切った。
試合記録

山梨学院大先発出場メンバー
1,須藤里咲(中・2年)、2, 〇山下実莉(DP・4年)、3.大坪穂乃花(捕・3年)、4.中込楓(一・4年)、5.岩本唯花(二・2年)、6.田中愛花(一・4年)、7.周藤南美(左・4年)、8.土谷流華(右・4年)、
9.本田紗彩(三・2年)、FP手塚心彩(投・4年)
※DP(打撃専門選手)、FP(守備専門選手)、選手名の〇印主将
[バッテリー] 手塚→[捕手]大坪
手塚=投球回7 打者数25 投球数90 被安打4 奪三振6 与四死球0 失点0
[打撃] 安打10《長打=三塁打:周藤、二塁打:須藤》 四球0 三振1
[交代] 本田⇒(代走)小宮裕希(3年)⇒(再出場)本田、大坪⇒(代打)小野瀬真帆(4年)⇒(再出場)⇒大坪
1回戦後のインタビュー
清水 正監督は「どんな相手でも初戦が一番大変なので、どう勝ちきるかが課題でした。同志社大は今年関西2位で元々力のあるチームだと聞いており、色々な意味で締まって行こうと思っていたので、いい初戦を戦えたと思っています」。昨年同様、リーグ戦は良くなかったが「今年は特に怪我に悩まされて大変な思いをしましたが、よくここまで仕上がってきました。インカレでの戦いをここまで学んだというか、インカレに入る前までにいろいろな戦える武器をつくってここまでできたということは選手に感謝ですね」。明日、明後日があるが「とにかく先を見ずに目の前の一戦一戦、目の前のプレーを一生懸命やっていくだけ」と淡々と語った。
山下実莉主将は「先制点を入れて先手必勝で行きたいということから、流れをこちらに引き入れられたことが勝因のひとつだと思います。インカレに調整を合わせ、勢いを持って行くことで準備を進めてきたので、まずは初戦を突破できたことはいい流れになります」。自身も3打点と打撃で貢献したが「みんなの声援が聞こえてきて、ここは4年の意地というのを見せる、という思いから1本が出てよかった」と笑顔で答えた。
手塚心彩投手は調子を「あまり良くなかったのですが、最終回にかけて徐々に上げていくことができたので良かった。ドロップとチェンジアップを活かして組み立てていく意識で投げました」。1年生から4年生までマウンドに立った気持ちは「去年までは先輩方のために頑張ろうと思っていて、試合の入りはものすごく緊張していたんですけど、今年は自分たちの代で、出来ることをやるだけだったので、緊張することなくできました」。「次ももっともっとギアを上げていきたいです。次は福祉大ですが、強いチームほど燃えるので」と気持ちを引き締めた。
先制点を入れた田中愛花選手は「監督から力を抜くことだけを意識するようにと言われたのでそこだけに集中して打席に立ちました」。後2日間の戦いを「初戦をいい形で終えられ、次の試合につながると思うので、今日は個人的にも、チーム的にも打線がつながったのでこの調子で目の前の一戦を勝ち進めたい」と話した。
明日30日の1試合目2回戦を午後1時から打撃のいい日本福祉大学(愛知)とベスト8を懸けて対戦する。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2025.8.29