関東大学テニスリーグ女子2部 1部復帰にチーム一丸
入替戦に向け負けられぬ法大との一戦に快勝
暫定2位、初のシングルス全勝。個々のやる気

大学テニス界全国屈指の強豪校が揃う関東地区の中で、王座の座を争う「2025年度第61回関東大学テニスリーグ戦」女子1・2部が9月7日開幕。9月27日までの入替戦まで、各6校の約3週間にわたる熾烈な激戦が各大学テニス場で繰り広げられる。山梨学院大は昨年まで14年連続1部を堅持してきたが2部降格を喫し、今回1年での復帰を目指し大会に臨んだ。山学大は1回戦2回戦を勝利したが、3回戦で駒澤大に敗れ2勝1敗。4戦目に山梨学院横根テニス場に同率の法政大を迎えた。両チーム、負けると入替戦が難しくなるため、互いに譲れぬ一戦。午前9時、強い日差しに照らされたコートにⅮ(ダブルス)1の中川原 凛・長谷川美愛、Ⅾ2露崎ひかる・辻さくらが立った。第1セット中川原・長谷川ペアは、序盤の2対2から5ゲームから連続でポイントを取り6対2でセットを奪った。第2セットも終始、主導権を握り6対1で勝利した。Ⅾ2の露崎・辻ペアは、3対6,1対6で敗れ1勝1敗。決戦は5人で行われるS(シングルス)に引き継がれた。最初に登場したS5の上田愛梨は第1セット先制するも、逆転で落とした。第2、第3セットで盛り返し勝利。S4の辻さくらはDからの約1時間弱のインターバルを開けての登場。第1セットをタイブレーク勝利。第2ゲームを2対6で退けた。3人目S3日野和佳子が第1ゲームを6対1、第2ゲームを7対5のタイブレーク勝利。山学大はこの時点で4勝1敗となり勝利した。残り、S2中川原、S1長谷川も順当に勝ちを収め6勝1敗で通算成績3勝1敗とし、19日の全勝専修大との一戦に入替戦を懸ける。
山学大テニス部女子は昨年14年間保持し続けた1部リーグの座を失った。2006年に創部。2009年に最速で1部昇格を果たし、これまで2度の準優勝、3位の実績を残しているだけに落胆の声が上がった。その声を払拭し1年で1部復帰を目指しチームは一丸となった。その後の、2024年全日本学生室内選手権大会で中川原と長谷川ダブルスペアがベスト8,シングルスでは、長谷川がベスト16に入り、今シーズンに入り関東学生テニストーナメントでシングルス7人、ダブルス4人が8月の全日本学生テニス選手権大会出場権を得て、本選では長谷川がシングルスで3位に入る大健闘を見せ、ダブルスでも中川原・長谷川ペアがベスト8に入った。
そして迎えた9月7日、「第61回関東大学テニスリーグ戦2部」1回戦、青山学院大との対戦は4対3で勝利。10日2回戦は立教大に5対2で2連勝。13日3回戦は1部入替戦でも対戦したこともある駒澤大と対戦。3対4で敗れ通算2勝1敗とし、残り2試合負けられない状況となった。
9月17日4戦目、ダブルス2試合から熾烈な入替戦権獲得が始まる
ダブルス2本、シングルス5本で勝敗を決める大会は午前9時、まずD1中川原 凛(4年)、長谷川美愛(3年)ペア、D2露崎ひかる(3年)・辻さくら(1年)ペアのダブルス2試合が通路を挟んだコートで同時スタートした。中川原・長谷川ペアは、8月下旬の全日本学生テニス選手権(インカレ)でベスト8入りを果たしており、この試合も正確なラリーから息の合った試合運びで6対2と第1セットを奪った。第2セットも中川原の力のあるフォアハンドから相手の甘くなったリターンを長谷川の鋭いショットで得点を重ね6対1で勝利。僅か1時間で勝負をつけた。中川原 凛選手は「D1ということで絶対に取らなければいけないというプレッシャーもあったですけど、出足が良かったので集中して入れ、勝ちきることができた」。長谷川美愛選手も「最初から流れを持ってこられたのは、相手をしっかり分析して二人で共有できたことから相手に向かって行くことができた」と話した。Ⅾ2の露崎・辻ペアは第1セット、2ゲームを先取され追う展開となり、互いに譲らぬラリー展開を見せるが要所で得点を奪われ3対6で落とすと、第2セット立ち上がり、露崎の力強いショット、辻のサービスエースで1対1。しかし、第3ゲームから第6ゲームまで相手の勢いに押され、ミスショットも重なり1対5と劣勢のまま2対6で敗れた。ダブルスで1勝1敗。試合後、芝田コーチは「2つ勝ってほしかった」と悔しがった。
シングルス5試合で全勝(登場順)
S(シングルス)5上田愛梨(4年)がシングルス1番手としてコートに立った。ダブルス終了後、インターバルを約30分開けた午前11時。第1セット立ち上がりから上田の力強く重いショットが相手選手を苦しめ第1ゲームから連続5ゲームを奪い第1セット勝利を確信させたが、連続攻撃での上田の失速から相手が逆転、タイブレークでこのセットを落とした。第2セットに入り、気持ちを切り替えた上田は力強いショットが戻りラリーでも優位に立ち6対1で追いついた。第3ゲームも6対3で取り約3時間半の激戦に終止符を打った。上田愛梨選手は「第1戦から出足が悪くて、今日の試合は出足から絶対リードするというのを集中してやったのですが、5対0からどんどん相手のペースに飲まれてプレーが消極的になってしまいファーストを落としてしまった。セカンドはファーストのことは忘れて自分の重たいボールで打ちきることを意識して、ファイナルセットも出足が悪かったですけど、後がなくやるしかないなという気持ちで最後まで自分の力を出しきることができた」と炎天下の激闘を制した。
S3日野和佳子(4年)は第1セット、対戦相手のスライスを多用し、ボールの変化で相手のミスを誘うスタイルに対し、日野はじっくりラリーで対応。時間をかけて6対1で快勝。第2セット。相手に3ゲームを先取されるも徐々に攻勢を積極的に仕掛け、タイブレークに落ち込み勝利。日野和佳子選手は「相手はこちらから打たせてくるタイプだと情報は入っていたのですが、苦手なタイプで自分のやるべきことと今までの試合で出た課題を整理して試合に臨みました。第2セットは、相手の調子も上がってきて自分ももたついてしまったのですが、自分がいい流れを持って行かないといけないと、しっかり気を入れ直しました」。
S4の辻 さくら(1年)の試合は日野とほぼ同時にスタート。ダブルス終了後約40分のインターバルを開けてコートに立った。辻は得意のフォアハンドショットでラリーから勝機を見出すタイプで第1セットは辻が粘りタイブレークで制した。第2セットは、途中までは拮抗した展開から疲れの見える相手に丁寧にショットをつなぎ4ゲーム連取の6対1で勝利した。辻 さくら選手は「ダブルスは負けてしまい気を入れ直してシングルスに勝てたので良かった」。「駒澤戦で結構反省点が出たのでそこを改善しながら引かずに自分から打っていくことを意識して頑張りました」。この時点でシングルス3勝、ダブルス1勝で4勝となり山学大の勝利が決定した。
続けて、S2の中川原 凛(4年)が登場。主将としてチームを引っ張り、ダブルスペアとして長谷川とともにチームの勝利に貢献する。第1セット、第1ゲームを奪われるも、強く正確なショットでコーナーを攻め、第2ゲームから6連取、6対1で勝利。第2セットも安定感あるラリーから攻め続け一方的な勝利を収めた。中川原 凛選手は「対戦相手が前に負けているリベンジマッチだったので今日は勝たねばいけないと作戦も立てて、それがしっかりはまったので勝てた」。入替戦に向けて負けられない一戦だったが。「あとがない状況だったのでみんなでミーティングして今日は絶対に勝つぞという気持ちが一丸となったのが今日の勝利に大きかった」と主将としての役割がチームを一つにした。
最後に登場したS1長谷川美愛(3年)は8月のインカレで個人初の3位に輝いた。正確なストロークを武器にボールをベースライン際深くに集め相手の動きを封印して得点を重ねていく。試合は、中盤まで相手の強いリターンもあり拮抗した展開から終盤、一気に鋭いフォア、バックハンドショットを相手コートに打ち込み6対3で勝利。第2セット、立ち上がりからミスショットやサーブミスが目立ち相手に3ゲームを奪われ、その時点で左脇腹の異変を訴え試合を中断した。その後、しばらくの治療の後、再開。復調した長谷川はサービスエース、リターンエース、鋭いショットが戻り、相手のミスも重なり驚異の復調で6連続ポイント奪い、このセット逆転の6対4で勝利。長谷川美愛選手は「相手がしっかり打ってくる選手で、ディフェンスになることが多かったですけど、我慢してボールを拾ってチャンスをつくることができたことが勝ちにつながった」。入替戦に向けて「相手校の選手も強い選手を倒して無敗できているので、臆せず自分たちのコートで出来ることを活かして勝ちにつなげられたら」と話した。
昨年から三好勲コーチからメインコーチを引き継いだ若きコーチ
テニス部OB・芝田詩歩コーチは「この間の試合から身体もボロボロの選手も多くて、中1日のきついコンディションの戦いでしたけど今日の試合は勝てて良かった」。どんな試合展開を。「ダブルスで2勝を考えていたんですけど、相手はシングルスも結構強いのできついな思ったんですけど、ここまでシングルス全勝はなかったので選手がよく頑張ってくれました」。入替戦にむけて「去年2部に降格してからみんなこの1年、1部に上がるという思いで練習してきているので、この次の専修との試合に勝てれば2部で1位があるので今日のいい流れを活かして次につなげたい」と昇格に強い意欲を示した。
山学大は、シングルス5勝。ダブルス1勝の6対4で通算3勝1敗。4勝0敗の専修大に続き2位つけている。3位、4位の青山学院、法政も2勝2敗で追随しており入替戦出場は混沌としており、19日の専修との直接対決で決着がつく。
文(K.F) カメラ(平川大雪)2025.9.17