関東大学テニスリーグ女子2部 1部・2部入替戦
山学大1年で1部復帰 慶應大に4対1で勝利
全員で立ち向かった涙の先に新しいスタート

大学テニス界全国屈指の強豪校が揃う関東地区の中で、王座の座を争う「2025年度第61回関東大学テニスリーグ戦」女子1・2部が約3週間にわたる熱戦が繰り広げられ各リーグの順位が決定。9月27日に入替戦が行われた。14年保持してきた1部の称号を昨年失い、1年での復帰を目指してきた山梨学院大テニス部(2部1位)は、慶應義塾大(1部6位)と慶應大学日吉キャンパスで1部の座を懸けて対戦した。初めにダブルス2試合(D1・D2)が行われ、D1に中川原 凛・長谷川美愛ペアとD2富樫りさ子・辻 さくらペアが出場。D2ペアが勝利1対1とした。その後、シングルス5組(S1からS5)の試合が次々に熱戦が繰り広げられ、そのうちS3の中川原、S4辻、S5上田愛梨が勝利。S1の日野和佳子、S2の長谷川の試合は事情で途中打ち切りとなったが山学大が4対1で勝利。苦難に耐えながらチーム全員で同じ目標に向かい、1年で1部復帰を勝ち取った。来季から再び激戦区1部での新しいスタートが始まる。
2024年度、山学大テニス部女子は14年間保持し続けた1部リーグの座を失った。2006年に創部。2009年に最速で1部昇格を果たし、これまで2度の準優勝、3位の実績を残しているが、降格の危機はこれまでにも何度もあった。そのたびに1部のプライドと名誉がチームを突き動かし乗り切ってきた。しかし昨年、1部リーグ最下位で2部東京国際大戦との入替戦で敗れ、守り抜いた壁を崩されたショックは大きかった。芝田詩歩コーチは「去年2部に降格してからみんなこの1年、1部に上がるという思いで練習してきた」。
1部昇格を懸けた戦いが始まった
そして迎えた「第61回関東大学テニスリーグ戦2部」1回戦、9月7日、青山学院大との対戦は4対3で勝利。10日2回戦は立教大に5対2で2連勝。13日3回戦は駒澤大と対戦。3対4で敗落とし通算2勝1敗とし、残り2試合負けられない状況となった。17日4回戦には法政大に快勝。4勝1敗とし、全勝でトップを走る専修大と19日、入替戦権を懸けて直接対決に臨んだ。試合は最初のⅮ(ダブルス)2試合でともに1セット目を奪ったところで雨天中断となり、再開は21日に行われⅮ1・2に続きS(シングルス)5試合が実施された。結果はDは2勝。Sは3勝2敗の5勝2敗で勝利。通算成績ともに4勝1敗ながら山学大が直接対決勝利。通算セット獲得数で上回り2部1位で1・2部入替戦に進んだ。
9月27日入替戦。慶應義塾大との生き残りを懸けた戦い
◆試合結果 山梨学院大学VS慶應義塾大学 会場:慶應義塾大学日吉キャンパス
❖✕D1:中川原 凛(4年)/長谷川美愛(3年)3-6、5-7
❖〇D2:富樫りさ子(4年)/辻 さくら(1年)7-5、6-0
❖ S1:日野和佳子(4年)0-1(打ち切り)
❖ S2:長谷川美愛5-5(打ち切り)
❖〇S3:中川原 凛7-5、6-3
❖〇S4:辻 さくら6-4、7-6(2)
❖〇S5:上田愛梨(4年)6-3、6-0
以上4勝1敗で勝利。1年で1部復帰を果たした。
試合後のインタビュー
中川原 凛主将は「去年の先輩方が築いてきたものを崩してしまって、チーム的にもとても悔しい思いで1年間、この日に昇格するためだけを目標に頑張ってきたのでそれが達成できてとてもうれしいです」。「シングルの相手は4年間やってきて3回ほど戦いましたが、一度も勝ったことがない選手でした。試合は自分に掛かっていることは試合前には分かっていたので、絶対勝って勝負を決める気持ちが後輩にも見せられたかな」と主将としての責任がチームを一つにした。
辻 さくら選手はシングルス2セット目の一方的リードを「5対0からまくられて苦しかったんですけど。タイブレークに入った時に気持ち切り替えて強気で行こうと決めて最後まで出来たのでよかった」と一瞬も気の緩みを反省。1部に復帰して来年に向けてどんな準備を「自分はチャレンジャーなので思い切りプレーできるように頑張りたい」とまだ1年生、自身の活躍でチームを活性化するつもりだ。
富岡好平監督は「この1年の最大の目標でした」と安堵の表情。「正直、厳しい部分もあるかなとも思っていましたが、今日もみんなテーピングをぐるぐる巻きにしていますけど、だんだんこのリーグ戦を通じて状態がよくなり、チームの雰囲気もとてもいい形になり1部昇格出来たということ本当に選手の頑張りです」と労った。来季に向けては「さっきも3年生以下の選手に言いましたが、こういう厳しい戦いが1部では毎回になるので、その辺をわきまえて明日から始まる練習をしっかりするようにと話しました」と選手に気合を入れ直した。
三好勲コーチは14年間の1部保持の苦しさを、「去年悔しい思いをして、学生には1年で戻らないと埋もれてしまうという話をしました。2部でも1敗しましたし、倒れる選手もいたりして本当に苦しい戦いでしたが、リーグ中に強くなってこうして2部の勢いを持ち込みアウエーでも頑張ってくれました」。「来年も厳しい戦いとなることは、これまでもやって来ているので重々、承知はしています。レベルが全然違うので、学生が浮かれないように新しく目標を持たせて頑張りたい」と新しい挑戦に踏み出す。
文(K.F)・カメラ(平川大雪) 2025.9.27

