第68回関東大学空手道選手権大会
女子『形』3位入賞。男子は3位から5位に順位を落とした
男女『組手』はベスト16。『形』『組手』ともインカレへ

令和7年度「第68回関東大学空手道選手権大会」が10月13日、“武道の聖地”東京・日本武道館で行われた。母校の名誉を懸けた団体対抗戦の『組手』には男子34校、女子32校、『形』は男子14校、女子10校の精鋭が集結した。試合は、男女団体『形』は2グループに分かれ女子は第1ラウンドを戦いそれぞれ上位2チームが決勝戦に進み、男子は第1ラウンド4位までが第2ラウンドに進出。それぞれのグループ1位の2校が頂点を争う。山梨学院大女子は第1ラウンドで気迫ある演武を披露。グループ2位となり惜しくも決勝には手が届かずも、総合で3位に入った。男子は、第1ラウンド、第2ラウンドをともに3位、決勝進出は逃したが総合5位に入り、男女ともに11月の全日本大学選手権(インカレ)の出場権を獲得した。続いて行われた男女団体「組手」競技(男子5人制、女子3人制)では昨年1回戦で敗退した女子が1回戦に筑波大を3対0で破り、2回戦で先鋒で勝利するも、後が続かず1対2で敗れた。男子団体組手は、2回戦から出場。二人が先行するも、2対3で逆転され男女ともここで大会を終了した。男女団体『組手』種目も全日本大学選手権出場を決めた。
静寂に包まれた“武道の聖地”日本武道館の天井からは大きな日の丸が掲げられている。その視線をパンダウンすると6つの大きなマットが敷かれ、競技の始まりを待っていた。
午前9時20分、大学空手道関東一を決める2025年度「第68回関東大学空手道選手権大会」が男女『形』競技と、男子『組手3人制』競技が同時に始まった。山梨学院(山学)は初めに女子の『形』がBグループ競技順1番目に登場した。『形』は全日本空手連盟の形競技規定で102の形の種類が提示されており、それぞれの流派の決まった形を演武し、技の切れ、力強さ、スピード、決め、気合などで相手との上手さを競う。団体形は男女ともに3人1組で形を演武し、5人の審判がフィギュアスケートや体操競技と同じように採点方式によりチームとしての一体感、技の上手さ、集中力の視点から評価され勝敗が決められる。
女子団体『形』 岡村萌愛、宇都宮令奈、荒木美琴、加藤友悠(リザーブ)
『キレ』『気迫』『美しさ』が要求される空手の形の原型とされ、最高難度の非常に難しい技といわれる。5チームによるAグループの先陣を切るのは山学女子。演武者は前中央に岡村萌愛(3年)、後左に宇都宮令奈(2年)、後右に荒木美琴(1年)の布陣。凛々しい表情で演武に臨んだ。演武は山学伝統の「ニーパイポ」。身体の屈伸や円運動による体捌き、受けからの肘固め、双手突き、一本拳による突きなどに特徴があり、機敏な動作と緩急をつけたリズミカルな演武が得点に評価される。山学女子の3人は速い動きからぴたりと動作の決めをつくる特徴的な形を、身体のバランスと呼吸の合った演武でまとめた結果は、グループ2位。昨年の得点を上回るも、1位通過が条件の決勝戦に進めずここで涙をのんだが、総合成績は3位と入賞は果たし、全日本大学選手権(インカレ)の出場権を獲得した。試合後、山学高OBの岡村萌愛選手は「今日は自信を持って練習通りに100%出せたのでやっていて楽しかったです。インカレには約1ヶ月あるのでより精度を上げてしっかり入賞できるように頑張りたい」と意気込んだ。
男子団体『形』高尾隆希 不知 迅、並木 護、内藤 新の布陣で上位を狙う
山学は、第1ラウンドを中央前正面に不知 迅(1年)、後左に内藤 新(1年)、後右に高野隆希(4年)の3人が並んだ。第1ラウンドは女子と同じく2グループに分かれ14大学で各グループ上位4位までの第2ラウンドを勝ち抜き、各グループ1位が決勝戦に臨む。山学の第1ラウンドは「クルルンファ」。動きの速い部分が多い演武で、猫の攻撃のように素早く粘りの動きに変わる緩急の動作が特徴で静から動へのスムーズな変化が要求される形。山学はこの難しい演武を切れのある動きをまとめあげグループ4位までの第2ラウンドへ3位で進出した。第2ラウンドの山学の布陣は後左を並木 護(1年)に、演武を「スーパーリンペイ」を選び、グループ1位を目指した。演武は、多種多様な動作が組みこまれており、剛柔流の「至高の形」として位置づけられている最高難度の演武。日頃の鍛錬の成果を見せた。結果はグループ3位と、決勝進出を逃した。総合成績は5位となり、インカレの出場権は確保した。高尾隆稀選手は5位という結果を受けて「今のメンバーはほとんどが1年生で4年生の自分はみんなを見てやってきました。正直もう少しできたんじゃないかと悔しさは残りますが、個々の力はあるのでそれを一つにまとめるように仕上げたい」と意欲を示した。
田中美佐稀『形』コーチは「結果は満足とまではいかなかったですが、特に女子については今、持っているものは全部出せたと思うので良い内容で終われたと思います。男子の方はまだできたと思いますので、しっかり修正して全日本に臨みます」と気持ちを切り替える。
女子団体『組手』 三村天音、田中旭、栗田さくら、天野芽依、小松京香、小室琴葉が昨年の1回戦敗退を払拭
今大会の女子団体組手は32チームがトーナメント方式でチームの勝利を目指し、個々の迫力に満ちた戦いが繰り広げられた。『組手』は突きや蹴りを駆使した攻防はもちろんの事、巧みな寸止めの攻撃の正確さがポイントとなる。昨年1回戦で敗退している山学女子は筑波大と対戦。先鋒・天野芽依(1年)、中堅・小室琴葉(1年)が快勝。大将の田中 旭(4年)も落ち着いた戦いぶりで勝利3勝0敗で1回戦を突破した。2回戦は、東洋大との対戦。先鋒・栗田さくら(2年)が1対0で辛勝。2番手三村天音(4年)が先行されるが、終盤の反撃も届かず3対8で敗れ1勝1敗となった。2回戦の勝利を託された大将の小松京香(1年)は立ち上がりの2ポイントを先取されたのが終盤まで響き3対6で敗れ山学は1勝2敗で2回戦で戦え終えた。ベスト16でインカレ出場を決めた。試合後、栗田さゆり選手は「関東は先輩と一緒に戦う最後の大会なので、長く戦うつもりで自分が勝ってつなげる気持ちで臨みました。」と意気込んだ。尾ノ井羅奈『組手』男女コーチは「先鋒の栗田の出来が良くて、2週間前にはメンタルの部分で落ちていましたが、練習で持ち直してくれたのが良かった。次鋒の主将の三村も大将の小松は1年生ですが負けてはしまいましたが次につながる試合をしてくれた」と選手を称えた。
女子団体『組手』■1回戦《山学大VS筑波大》■2回戦《山学大VS東洋大》
| 1回戦 | 先鋒 | 中堅 | 大将 |
| 山学大 | 天野芽依 | 小室琴葉 | 田中 旭 |
| 筑波大 | 〇7-1 | 〇4-0 | 〇1-0 |
| 2回戦 | 先鋒 | 中堅 | 大将 |
| 山学大 | 栗田さくら | 三村天音 | 小松京香 |
| 東洋大 | 〇1-0 | ●3-8 | ●3-6 |
男子団体『組手』3回戦布陣
昨年より2チーム増えた34チームで行われた男子団体『組手』に山学チームは、2回戦から出場。神奈川大と対戦した。布陣は1年生を中心に先鋒の中川瑠己(1年)、次鋒・志村緒季人(4年)、中堅・志村大和(1年)、副将・柿崎颯樹(3年)、大将に三浦礼誉(1年)の布陣で臨んだ。先鋒、次鋒と2連敗と苦しい立ち上がりなったが、続く中堅・志村大和(1年)、副将・柿崎颯樹(3年)、大将・三浦礼誉(1年)まで1ポイントも奪われない完璧な勝利で初戦を飾った。3回戦は過去に6回の優勝を誇る駒澤大と対戦。次鋒の佐々木夕祐(2年)が競った試合展開を見せるが奪われたポイントはきれいな寸止めの技術での失点。実力差を見せられた。続く中堅が敗れ0対3となったところで負けを申告。山学は3回戦で敗退。ベスト16でこの大会を終えた。インカレ出場権は獲得した。志村緒季人主将は「気持ち負けしないようにと作ってきたので自分たちの力はしっかり出せたと思っていますが、競り合った時に勝ちきれないというのがよくあるので改善していきたい」と次のインカレに照準を合わせる。
男子団体『組手』2回戦 《山梨学院大VS神奈川大》
| 1回戦 | 先鋒 | 次鋒 | 中堅 | 副将 | 大将 |
| 山学大 | 中川瑠己 | 志村緒季人 | 志村大和 | 柿崎颯樹 | 三浦礼誉 |
| 神奈川大 | ●0-1 | ●1-5 | ○6-0 | ○6-0 | ○5-0 |
男子団体『組手』3回戦 《山梨学院大VS駒澤大》
| 1回戦 | 先鋒 | 次鋒 | 中堅 | 副将 | 大将 |
| 山学大 | 武田龍之介④ | 佐々木夕祐 | 志村大和 | 柿崎颯樹 | 三浦礼誉 |
| 駒澤大 | ●1-5 | ●2-3 | ●0-6 | 不戦敗 | 不戦敗 |
試合後、田中 剛空手道部部長・監督は「11月の全日本に出場することが男女の最低限の目標でした。それは達成できましたが、組手は男女ともベスト8。『形』は男女とも優勝を狙っていましたので3位、5位という結果には全く満足はしていません。良かったところ悪かったところはありますが、強豪校との差は縮まっています。全日本では関東と同じ目標で臨む」と同じ日本武道館で波乱を巻き起こすか。
文(K.F)・カメラ(平川大雪) 2025.10.13

