山梨学院大学ニュースファイル

2025年度全日本学生柔道優勝大会1日目

Vol.3501 | 2025年6月28日

優勝9回を誇る山学大女子、3回戦で姿消す
関東大会優勝後、怪我人続出。万全な態勢で臨めず

2025年度「男子74回、女子34回全日本学生柔道優勝大会」が6月28日、29日の日程で東京・日本武道館で開幕した。1日目は女子の1回戦から決勝戦までと、男子の2回戦までが行われた。この大会は全国地区から男子63校(7人制)、女子1部35校(5人制)が各2ブロックに分かれ、トーナメント方式で日本一を争う。9回の優勝を誇る山梨学院大女子は、初戦2回戦に近畿大(関西)と対戦。先鋒で1年生の橋本翔歩が、動きよく有効で幸先良い勝利を手にすると、次鋒宮井杏、中堅伊藤有美の4年生が手堅く引き分けに持ち込み、残りの副将西野愛華、大将山本海蘭に勝利を託した。西野は終盤、寝技に持ち込もうとするが返され、寝技で一本負け1勝1敗になった。勝負は大将戦に持ち込まれたが、山本が開始1分、小外刈りがきれいに決まり、2勝1敗で勝利した。3回戦は強豪国士館大(東京)と対戦した。先鋒の宮井、次鋒橋本は引き分けたが、中堅伊藤は立ち上がりの隙を突かれ、背負い投げ一本投げを喫し、続く副将福岡瑠璃は前半、劣勢に立つも後半我慢して反撃。接戦を演じたが有効を取られ敗れた。山学大はこの時点で勝敗は付いたが、大将の瀬戸美咲主将は落ち着いて相手を見極め、終盤に投げの技ありから寝技に持ち込み、合わせ一本で相手を下した。1勝2敗で、この大会を3回戦で終え、3年連続のベスト8から脱落した。関東大会優勝で今大会期待されたが残念な結果となった。

過去9回の最多優勝を誇る山学大女子の今大会の行方は

全日本学生柔道優勝大会の試合方法は、男子は7人制。女子は5人制(1部)と3人制(2部)のニ部制で行われ、山梨学院大女子(関東)が出場する5人制は、5人の点取り方式によるトーナメント戦で争われる。女子5人制の部は出場35校が出場、各試合の配列は、先鋒・次鋒は57㎏以下、中堅・副将は70㎏以下、大将は無差別と決められている。男子は、出場63校の選手選出、配列は自由と決められている。男女ともに2ブロックに分かれ、各ブロック1位によって決勝が行われる。山梨学院大学柔道部女子は2014年から2018年まで史上初の5連覇を含め、史上最多9回の優勝を達成。大学女子柔道界で一時代を築いた。しかし近年、各大学の実力が拮抗しており、怪我人や調整不足の影響によって順位が変動する。山学大女子は、ここ3年連続、準々決勝で敗れ8位(優秀校)と精彩を欠いているが、先月行われた関東学生柔道優勝大会で優勝した選手たちは、1ヶ月の調整をレベルアップ期間として、ベスト8の壁を破るべく今大会に臨んだ。

1日目2回戦は近畿大と対戦。昨年、全日本大学団体戦で敗れた雪辱を晴らす

◆6/28大会1日目 女子2回戦(初戦) 山梨学院大VS近畿大 2勝1敗2分

先鋒次鋒中堅副将大将
山学大橋本翔歩①宮井 杏④伊藤有美④西野愛華①山本海蘭③
〇有効引き分け引き分け●一本負け〇一本勝ち

※先鋒、次鋒は57㎏以下、中堅、副将は70kg以下、大将は無差別
※〇囲みは学年

初戦の対戦相手は、昨年度「2024年全日本学生柔道体重別団体優勝大会(7人制)」2回戦で0勝3敗4分と完敗した近畿大(関西)。山学大は先鋒に1年生の橋本翔歩を当てた。橋本は序盤から積極的に技を仕掛け、小外刈り、払い腰の2回の有効を奪い勝利。幸先良いスタートを切った。次鋒の宮井 杏(4年)、中堅の伊藤有美(4年)は優位に立つも、引き分けた。次の副将・西野愛華(1年)は、終了間際まで相手の攻勢に耐えたが寝技で一本負けを喫し、1勝1敗となり最後の大将戦に勝負は持ち込まれた。山学大の大将は、山本海蘭(3年)。開始1分、一瞬の電光石火。小外掛けが見事に決まり相手を倒した。2勝1敗、昨年の全日本の雪辱を果たし、3回戦に駒を進めた。

◆女子3回戦 山梨学院大VS国士館大 1勝2敗2分

先鋒次鋒中堅副将大将
山学大宮井 杏④橋本翔歩①伊藤有美④福岡瑠璃①瀬戸美咲④
引き分け引き分け●一本負け●有効〇一本勝ち

2戦目は、強豪ひしめく東京代表・国士館大との対戦。先鋒の宮井杏(4年)、橋本翔歩(1年)が積極性を見せ先に仕掛けるが、互いに決め手を欠き引き分けた。3人目の中堅伊藤有美(4年)は立ち上がり、一瞬の隙に相手の背負い投げで敗れた。続く副将・福岡瑠璃(1年)は、前半相手の攻勢に手を焼いたものの、後半に盛り返し一進一退の展開になった。しかし終盤、横四方固めの寝技に持ち込まれ、惜敗した。ここで山学大の勝利はなくなったが、大将の瀬戸美咲(4年)が主将の意地を見せた。終始落ち着いた取り口で相手の動きを見て、終了間際に払い腰で技あり、そのまま横四方固めに持ち込み合わせ技一本で勝利。チームは1勝2敗2分で、2戦目の3回戦敗退した。

試合後コメント

試合後に選手を集めて、西田孝宏女子・総監督は「関東(学生柔道優勝大会)後にこれだけ怪我人が出ると、試合が始まる前から負けたも同じです。万全の状態でも勝つかどうかが分からないのに、全員が大事な試合に合わせられるように調整しなければ話にならない」と管理体制の見直しを挙げた。関根健寿女子コーチは「怪我が多かったり、病気をしたりいろいろありながらもやってきました。ただ、痛いところとか苦しいところとかをみんな我慢してやってきたことは誇らしいし、今日の試合に関しても気持ちの入った試合が多かった。そこは次につながると思います。指導者側の責任でもありますが、準備の部分で不足していた部分はあったと思います。みんな力を出して負けはしましたが、ここで終わってしまうようなチームではないと思います」 「ああ、悔しいな負けると。次は勝とう」と奮起を促した。
瀬戸美咲主将は「今年は関東大会で優勝して、日本一になれるメンバーが揃っていた中での試合だったので、すごく優勝したい気持ちはありました」。今年のチームについて、「山梨学院はひとり一人が強いというよりも、みんなが力を合わせて強いというか、チーム山梨学院として戦っているので、誰かが負けても他でカバーし合える強い思いがあると思います」。次は「尼崎(で10月に行われる全日本学生柔道体重別団体優勝大会)では各階級が出られる7人制なので、山梨学院は強いと思います。尼崎こそ、日本一を目指すために日々の練習を含めて、これまで以上にできることはすべて準備して、日本一を狙いたい」と先を見据えた。

2025年度「第34回全日本学生柔道優勝大会」結果

大会結果は、優勝は環太平洋大(中国四国)、準優勝に明治国際医療大(関西)、3位に東海大(東京)と筑波大(関東)。ベスト8の優秀校には国士館大(東京)、龍谷大(関西)、東京学芸大(東京)、帝京大(東京)が入賞した。

一方、1日目2回戦まで女子と同時進行で行われた男子。山学大は2回戦突破

前回大会2回戦で敗れた山学大男子は、1日目の1回戦に大阪教育大(関西)と対戦。4勝0敗3分で勝利。2回戦は、駒澤大(東京)に5勝0敗2分の無敗で2日目の準々決勝に駒を進めた。29日の2日目は、先ずは2019年以来のベスト8(2020年はコロナ禍で中止)以上を目指し、岡山商科大学(中国四国)と対戦する。

文(K.F) カメラ(平川大雪) 2025.6.28