山梨学院大学ニュースファイル

山学大陸上競技部、歯科「GOOD SMILE」とスポンサー締結

Vol.3619 | 2026年8月5日

歯科医療×箱根駅伝。選手の健康もサポート
口腔ケアで「笑顔のたすき」つなげたい

山梨学院大学陸上競技部と甲府市の歯科・矯正歯科「GOOD SMILE」とのスポンサー締結報告・記念講話会が8月5日、山学大・広報スタジオで行われた。報告会はスポンサーである「GOOD SMILE」の薄井陽平院長、山梨学院大学側から青山貴子学長、麻場一徳陸上競技部長、大﨑悟史長距離駅伝監督、田原匠真主将(4年)をはじめ陸上競技部員ら約50人が出席した。
報告会は出席者紹介の後「GOOD SMILE」の薄井院長が地元・山梨の歯科医院として、山学大陸上競技部をサポートすることになった経緯や思いを語った。それに対し山学大・青山学長、麻場陸上競技部長らが謝辞を述べた。スポンサー締結発表を記念して薄井院長による講話も行われ、その中で薄井院長はアスリートにとって口腔ケアがいかに重要であるかなど、歯科医療とスポーツの興味深いかかわりをレクチャーした。また「GOOD SMILE」のロゴマークの入った新しいユニフォームも披露され、田原主将が感謝と今後の決意を表明した。
山学大陸上競技部のスポンサー契約は「GOOD SMILE」が2社目。契約期間は1年。ロゴは正式なユニフォームの左上部に入るほかTシャツなどにも採用される。10月の東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)の予選会に着用されるという。

健康あっての挑戦。箱根駅伝と重なる思い

報告会のあいさつで薄井院長は次のように話した。

「GOOD SMILE」は「すべては患者様の笑顔のために」という思いを胸に、この山梨で診療を続け今年10周年という節目を迎えた。一貫して大切にしてきたのは、健康な体と健やかな笑顔があってこそ人は前を向いて挑戦できる、という思い。
節目の年に、これまで山梨で頂いた恩を形にして返したいと強く考えるようになり、出会ったのが山学大陸上競技部。箱根駅伝の常連校であり、全国の舞台で長く挑戦を続けてきた姿は「GOOD SMILE」の健康な体があってこそ人は挑戦できる、という思いと強く重なった。
「GOOD SMILE」は歯科医療を通じて患者に笑顔を届け、その笑顔が未来を担う若い世代へとつながっていく、そんな「笑顔のたすき」をつなげていきたい。山梨から全国、そして世界へ羽ばたく若い力を地元企業として支えられるのは大変光栄。選手が思う存分競技に打ち込める環境づくりの一助となるよう、精いっぱい応援したい。

陸上競技と選手の健康への支援に感謝

薄井院長の言葉を受けて青山学長があいさつ、「GOOD SMILE」とのスポンサー締結を報告し次のように謝辞を述べた。
山学大陸上競技部のスポンサーとして「GOOD SMILE」様が加わることを大変うれしく思う。10周年という記念の年に、地域への恩返しとして本学を選ばれ、陸上競技部への支援は心強い。
山学大は地域に支えられ、全国レベル、世界レベルで活躍できる選手の育成を目指しスポーツ振興しているが、競技はもちろん、心身ともに健やかな選手の育成を掲げている。そこで大切なのは選手自身のコンディションづくり、つまり健康。今回、競技への支援はもとより、健やかな身体づくりという点でも支援頂けるのは非常にありがたい。
箱根駅伝ではサンリオさんのキティちゃんのスマイルとともに「GOOD SMILE」のロゴを全国に届け、選手の活躍する姿が見ている方に元気を与え、自らのスマイルにつながることを期待する。
この会見の実現にご協力頂いた関係者の皆様に感謝申し上げたい。

続いて、陸上競技部を代表して麻場部長が「素晴らしいご縁を頂きありがたい。箱根駅伝を目指している関東の大学は数多くあるが、その中で山学大は特に地域とのつながりが強い。今年は6年ぶりに全日本大学駅伝にも出場する。箱根駅伝も年々、力をつけて順位を上げている。薄井院長の話の通り、健康な身体と笑顔、スマイルを忘れずに目標に向かって行きたい」と感謝を述べた。

この後、スポンサー契約締結の記念として薄井院長が「走りを支えるお口の健康。呼吸・栄養・パフォーマンスの土台づくり」と題して講話した。薄井院長はアスリートの口腔ケアの重要性、口腔内の慢性炎症がスポーツ選手に及ぼすリスク、噛み合わせと笑顔がスポーツに重要であることなどをスライドを用いながら解説した。(詳細別掲)

講話の後、田原主将が「本日はこのようなご縁を頂きありがとうございます。私たちができるのは『GOOD SMILE』のロゴをメディアに映すこと。来年1月3日の大手町では白い歯を見せて笑顔で喜び合えるように、シード権を獲得できるように、この夏しっかり強化します」と話し、新しいユニフォームでの飛躍を誓った。
最後に「GOOD SMILE」のロゴが左胸に入った真新しいユニフォームを占部大和副主将が着用し披露した。占部副主将は「走っている時に『GOOD SMILE』のロゴを見て、少しでも笑顔で良い結果が出せるよう頑張ります」と決意を語った。

「GOOD SMILE」薄井陽平院長の記念講話
『走りを支えるお口の健康。呼吸・栄養・パフォーマンスの土台づくり』要旨

本日はこのような機会を頂き誠にありがとうございます。
日頃、陸上競技に真摯に向き合っている皆様に、新たな気付きや実践に役立つ情報を少しでもお届けできれば幸いです。
最初に自己紹介させていただきます。今年10周年を迎えた「GOOD SMILE」は矯正歯科、歯並びの専門で歯周病、矯正、口腔外科、総合歯科などに専門の歯科医師がおり、私は理事長を務めています。私は大学時代、アメリカンフットボールの競技者としてスポーツに打ち込んだ経験から、歯科医療がスポーツパフォーマンスにどのような影響を与えるか関心を持ち、これまで研究・研さんを積んできました。日本スポーツ歯科医学会のマウスガード・テクニカル・インストラクターの資格も取得しています。

長時間走ると「口腔乾燥」が起こり細菌が増える

本日のテーマは次の3つ。
1.アスリートにおける口腔ケアの重要性
2.口腔内で起きる慢性炎症のスポーツ選手へのリスク
3.スポーツにも直結、噛み合わせと笑顔の大切さ

まず1.アスリートにおける口腔ケアの重要性について、長距離走と口腔環境の密接な関係を説明したい。

1-①長距離走中の口呼吸による口腔乾燥
長い時間走ると「口腔乾燥」が起こる。走っていると鼻呼吸から口呼吸になる。口呼吸は口の中がネバついたりパサパサしたりする。これは脱水のサイン。唾液が持つ自浄作用、抗菌作用、再石灰化作用が大きく失われ、口腔内の細菌が増殖しやすい環境が作られ歯周病の原因になる。

1-②休憩中のスポーツドリンク等による「酸蝕(さんしょく)症」
スポーツドリンクの糖分や有機酸により歯の表面(エナメル質)が溶ける症状。レース後半の唾液不足時は酸の中和が遅れ、エナメル質が酸性に長時間さらされる。「知覚過敏」や歯の先端が透けたり黄ばむなどの「見た目の変化」、歯が欠けやすくなる「歯の弱体化」につながる。

1-③免疫低下(オープンウィンドウ)と口内炎
激しい運動をした後は免疫系が著しく低下する。それを警戒すべき時間は24~72時間。免疫低下に伴い常在菌が急増して口腔内のバランスが崩壊、急性炎症やヘルペス性口内炎などを起こす。十分な睡眠、サプリメントの服用、1日3回しっかり歯を磨くなどで3日間をうまく乗り切ることが重要。

以上の実践編として、レース前からレース後の口腔ケアは次の通り。
●レース前日から当日朝
≪日常≫歯ブラシ+歯間ブラシ+フロス+フッ素洗口液でエナメル質を補強する。
≪当日朝≫起床直後に歯磨き&舌清掃。口腔内をリフレッシュし集中力を高める。

●レース中
≪給水時≫スポーツドリンク摂取後、一口の水で口をすすぎpHを回復(30秒で完了)。
≪強度低下時≫下り坂などで意識的に鼻呼吸に切り替え乾燥を防止する。

●レース後
≪直後≫水ですすぐ(直後のブラッシングは歯を削るのでNG)。
≪30~60分後≫丁寧にブラッシング。72時間は口腔ケアに注力する。

次に、最近言われているパフォーマンス向上技術「カーボリンシング(Carb Rinsing)」を考えたい。
①【脳への疲労軽減信号】
 糖分を口に含むと口腔受容体が脳へ「エネルギー補給」の信号を送り疲労感を軽減。
②【胃腸障害(GI障害)の予防】
 液体を飲み込まず吐き出すことで試合中の胃腸負担や吐き気を回避。
③【口腔内の冷却・潤い】
 冷たい飲料で口腔内を冷やしリフレッシュ。
補給飲料はスポーツドリンク、100%果汁ジュース、エネルギーゼリー、はちみつ飲料などがお薦め。

歯周病や口内炎がパフォーマンスを脅かす

2.口腔内で起きる慢性炎症のスポーツ選手へのリスクについて、歯周病や口内炎が身体の修復・パフォーマンスを脅かすことを説明したい。

身体の中で一番炎症が起こりやすいのは口。歯周病は世界で最も多い感染症で、私が一番なりたくない病気。空気感染はしないが、私が歯周病だとすると、私が飲んだ飲み物を別の人が飲むと歯周病菌がうつる。菌が口腔内から血管へ、そして血管から全身に巡っていく。

慢性炎症が全身に巡ることで及ぼすスポーツパフォーマンスへの四大リスクは次の通り。
①筋肉などの修復能力低下による「ケガの増加」
②筋力ダウンによる「競技力低下」
③筋肉痛の長期化による「回復の遅れ」
④風邪などにかかりやすくなる「免疫低下」
これらのリスクを避けるため3カ月に1回は歯科医院に行ってプロフェッショナルのケアを受けてほしい。大切なのは毎日のホームケア、1日3回しっかり磨くこと。

ここでセルフチェック。次の項目に当てはまる人は挙手を。
1.朝、口がネバつく
2.ブラッシングの時に出血する
3.口臭がある
4.歯肉の腫れ、痛みがある
5.硬いものが噛みにくい
6.歯が長くなった、隙間ができた

このうち3項目が該当する人は歯科での予防が必要。6項目該当する人は歯周病が進行している可能性がある。
歯周病はサイレントキラー、進行を止めることはできても治すことはできない。放っておくと心臓病、脳血管疾患、糖尿病、アルツハイマー病を引き起こし命にかかわる。ぜひ口腔ケアを大切にしてほしい。

記録が伸び悩む人にパフォーマンス改善をもたらす

3.スポーツにも直結、噛み合わせと笑顔の大切さについて。
噛み合わせは「体幹の安定」「バランス能力」「筋力発揮」「姿勢維持」に深く関係している。優秀なアスリートには歯並びの良い人が多いと思う。

噛み合わせが悪いと片側の筋肉ばかりを使い、身体の左右のバランスが崩れる。姿勢がゆがみ、ランニングフォームが崩れ、パフォーマンス低下やけがにつながる。記録が伸びない人は、噛み合わせに問題がある場合が少なくない。
短距離走や重量挙げの選手が奥歯を噛みしめる姿を見かける。これは選手の癖ではなく、噛みしめることで体幹が安定し力を効率的に発揮できるから。身体の軸が整うことでパワーが逃げにくくなる。噛み合わせを治すことで運動能力やポテンシャルの向上がスポーツ医学でも証明されている。

また矯正治療には機能回復にとどまらず、歯並びを良くして笑顔をつくるという役割もある。笑顔が「幸せホルモン」のセロトニンをもたらす。松岡修造さんも「辛い時こそ笑え」と言っている。もし試合中に辛くなったら、笑ってみるといい。笑って軽く噛みしめてほしい。速く走れるかもしれない。「笑う門には福来る」。笑顔が大切。
笑顔が走りにもたらす驚きの科学的効果を4つ紹介する。辛いと感じたら思い切り笑ってほしい。

①【酸素利用効率の向上】
  笑顔により呼吸が安定し走行中の酸素消費量が減少する
②【心拍数と緊張の緩和】
  副交感神経が優位になり肩や首の余計な力が抜ける
③【痛みの軽減(エンドルフィン)】
  笑いにより痛みの閾値(しきいち)が約10%上昇。長距離の苦しみを軽減
④【心理的ストレスの軽減】
  作り笑いでも効果あり。自己効力感が高まりポジティブな走りを維持できる

最後に次の言葉を贈りたい。
A smile can change the world.
A smile can save the world.

一人の笑顔が人を動かし未来への力になる。皆さんには、箱根駅伝を通じて山梨県にさらなる価値と感動をぜひ与えていただきたい。「GOOD SMILE」は笑顔で山学大陸上競技部を応援していく。
ご清聴ありがとうございました。

(文 古屋賢二)(カメラ 平川大雪) 2026.8.5